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アーユルヴェーダで考える、恵みの秋の食事
朝晩の寒暖差が大きく、乾燥した冷たい本格的な秋の深まりを感じる今日このごろ。市場に並ぶ農作物もガラリと変わり、各地で秋の恵みを目にしますね。
日本でも「食欲の秋」と言いますが、アーユルヴェーダでも同じく、消化の火(アグニ)の勢いが増し、消化力が上がることで食欲が出ると考えられている季節です。
さて、そんな「魅力的な食材」と「限りない食欲」が混在するこの季節。果たして何をどのように食べればいいのでしょうか? 秋を代表する食材の特徴と食べ方を、アーユルヴェーダ的に見ていきましょう。
秋の「新米」
新米は古くなった古米に比べ、水分が多く甘味があります。秋は乾燥して軽いヴァータ(風)の季節になるので、逆の性質を持った新米は心と体に安定感を与えます。
ただし、インドで食べられているさらさらしたインディカ米に比べると、水分を多く含み、消化に重い日本のお米。食べすぎには注意をして、よく噛んで食べるなど工夫が必要です。
秋の「根菜」
サツマイモやサトイモなどの秋の根菜は、夏の野菜に比べ、甘味を含みどっしりとしているので、ヴァータ(風)の季節に適しています。ただし、やはり消化には重いので粘性や重みが体内の流れや、腸管を詰まらせることもあります。
クミンやシナモンなど、流れを整える作用や、駆風作用(ガス抜き作用)のあるスパイスでの調理がオススメです。
秋の「果物」
ナシやブドウやカキなどの秋の果物は、甘味があり水分を適度に含んだものが多く、やはりヴァータ(風)の季節に適しています。
また、秋の季節の体調不良は、夏の間に体にため込んだピッタ(火)のエネルギーが原因となることが多いのですが、十分に水分を含んだ甘味のある果物はこれらのエネルギーを放出してくれる効果もあります。
その他の秋の「食材」
秋の味覚として代表的なのはキノコ類ですが、アーユルヴェーダでは、キノコ類は、未消化物(アーマ)を作りやすく、特に神経系を乱すものとされています。
心や体に乱れがある時は食べすぎに気をつけ、クミンやブラックペッパーなどのスパイスで調理することで調整します。
また、消化に重いとされる肉や魚を食べることも悪くない時期で、滋養に富んだ食材を適度に食べることが勧められています。ただし、生野菜はヴァータ(風)を乱すので避け、油で炒めたり、蒸したりして温かく調理したものを食べましょう。
我慢はほどほどに、体の声に素直になろう
アーユルヴェーダでは、食欲が出るのは消化力が上がっていること、と考えます。そして、その消化力に見合った量やものを食べることがいいとされています。
つまり、食欲が出ている時は我慢せず、適量を食べる必要がある、ということです。逆に食欲がある時に我慢をすると、メラメラと消化の火を激しく燃え上がらせ、必要以上の食欲を引き起こしてしまいます。
季節の食材と恵みを十分に享受し、地球と宇宙の流れに同調すること。同時に欲望と心に惑わされずに自分の状態を受け入れること。どの季節も、アーユルヴェーダ的な生活を考えた時には、この「自己受容」からすべて始まります。
アーユルヴェーダの実践とは、自然の流れ(ダルマ)に沿った、無理のない生き方をすることです。思う存分、秋の季節を楽しみましょう。
Recipe
南インドで食べられる、ココナッツミルクのポタージュを紹介。最初にスパイスの香りを油に移すことで、本格的なケララ風の一品になります。
秋の味覚を丸ごと味わう「サツマイモのポタージュ」
材料(2人前)
・サツマイモ(薄切り) 300g
・ココナッツミルク 300g
・水 200g程度
・塩(あれば岩塩) 小さじ1/2程度
・黒胡椒 適量
*テンパリング
・太白ごま油 小さじ2
・クミンシード 小さじ1/2
・シナモン 5㎝程度
・カレーリーフ(あれば) 10枚程度
作り方
鍋に油をひき、テンパリングの材料を入れ、焦がさないように香りを立てる(弱火)。
香りが立ったら、サツマイモとココナッツミルクと水を入れ、サツマイモが軟らかくなるまで煮る(水分がなくなったら、分量外で調整)。
塩と黒胡椒で味を整えて完成。
写真・文=Kazuya(冨岡和也)
料理人、フードコーディネーター、栄養士、インド政府機関認定アーユルヴェーダセラピスト。食のアトリエ『Natural Lifestyle』代表。 instagram: @kazuya_naturallifestyle