こんにちは!丘紫真璃です。今回は文学からちょっと脱線して、片づけのノウハウ本である『人生がときめく片付けの魔法』を取り上げたいと思います。
いったい何だって「ヨガで文学探訪」とかいうコーナーで片づけ?と思われるかもしれませんが、私自身、片づけとヨガがあまりにも深く結びついていた事に驚いて、つい取り上げたくなってしまったのです。
そもそも、私は片づけが得意な方ではありません。
何しろ、めちゃくちゃ面倒くさがりやですから、引き出しの中には、いらないものがいっぱい、クローゼットの中もいらないものでいっぱい、長年開いていない引き出しがいっぱい……といった具合です。
けれど、たまたま、この『人生がときめく片付けの魔法』の本を読んで、片づけはヨガなんだ!と驚き、そして、片づけがしたくなってしまったのだから不思議ですよね。
そんなわけで、なぜ、片づけはヨガなのか、お話していきたいと思います。
世界的に大活躍の片づけコンサルタント、こんまりさん
『人生がときめく片付けの魔法』の著者は、世界的に大活躍なさっている片付けコンサルタントの近藤麻理恵さん。
“こんまりさん“という呼び名で親しまれている片付けのオーソリティーです。
何しろ5歳から主婦雑誌を愛読し、小学校では整理整頓係、中学生から本格的に片づけを研究し、大学在学中から片づけコンサルタントとして活動を始めたというのですから、片づけ歴は本格的ですよね。
そして、こんまりメソッドという独自の片付け法を編み出して、『人生がときめく片付けの魔法』の本を発売したところ、世界40か国以上で翻訳出版され、シリーズ累計1000万部を超える大ベストセラーに。
2015年には米『TIMES』誌で「世界でもっとも影響力のある100人」に選出され、現在も世界的に活躍なさっています。
ときめきますか?
こんまりメソッド1番のポイントはズバリ、ときめきです。
「さあ、片付けをはじめよう」と思った時に、まず何をすべきなのかというと、「洋服をどこか1ヵ所に山積みにすることだ」と、こんまりさんは言うのです。
そして、1つ1つ手に取って、「この服はときめくか、ときめかないか?」「この服を持っていて幸せかどうか?」「この服を持っていて心がときめくかどうか?」考えてみることから始めるべきだと言うのです。
ときめく服は手元に残します。ときめかない服は思い切って手放します。
そうして、本類、書類、小物類、思い出の品といった順に全てのモノを1つ1つ手に取って、ときめくか、ときめかないかを決めていくことが、こんまりメソッド流。
ときめくモノだけを手元に残し、ときめかないモノを思い切って手放すことで、自分の持ち物はグッと減りますよね。すると、収納もスッキリやりやすくなるというわけです。
このように、ときめくモノだけを手元に残すということが、ものすごく大切なことなんだとこんまりさんは書きます。
心がときめくモノだけに囲まれた生活をイメージしてください。それこそ、あなたが手に入れたかった、理想の生活ではありませんか?
心がときめくモノだけを残す。あとは全部、思いきって手放してみる。
すると、その瞬間から、これまでの人生がリセットされ、新たな人生がスタートするのです。
(「人生がときめく片付けの魔法」)
自分と向き合う
そうは言っても、「ときめかないけど捨てられないモノはどうするの?」と疑問を持たれた方も多くいらっしゃることでしょう。
私もときめかないけど捨てられないモノが山ほどあるような気がしますが、そんな時には、ときめかないけど捨てられないモノと、とことん向き合ってみるべきだとこんまりさんは、言います。
捨てるのをためらうことが悪いことだと主張したいわけではありません。それだけ、そのモノに対する思い入れがあるということだし、誰だって直感だけですべてを決断できるわけではないからです。でも、だからこそ、たんに「もったいないから、捨てられない」ですまさず、とことんそのモノに向き合ってみてほしいのです。
「なぜ、私はこれを持っているんだろう。これが私のところにやってきたことに、いったいどんな意味があったのかな?」
(「人生がときめく片付けの魔法」)
例えば、かわいいと思って買った服だったのに、実際は似合わずにほとんど着なかった服があるとしますよね。
そういう服は、あなたにどんな事を教えてくれているのでしょうか。
「こういう服は自分に似合わないんだな」という事を教えてくれているのではないでしょうか。
だとすれば、「私に合わないタイプの服を教えてくれて、ありがとう」といって、手放せばいいんだと、こんまりさんは言います。
そうして、1つ1つの自分の持ちモノにきちんと向き合っていく作業は、滝に打たれて瞑想状態になる事と似ているらしいのです。
片づけを真剣にしていると、瞑想状態とまではいかないまでも、自分と静かに向き合う感覚になっていくことがあります。自分の持ちモノに対して、1つひとつときめくか、どう感じるか、ていねいに向き合っていく作業は、まさにモノを通しての自分との対話だからです。
(「人生がときめく片付けの魔法」)
ときめくか、ときめかないか?
自分に問いかけながら、1つ1つの自分の大量の持ちモノと向き合っていく作業は、ヨガの瞑想そのものなんですね。
片付けで自分を知る
自分が今持っている大量の持ちモノを1つ1つ手に取って、ときめくか、ときめかないか決めていく作業。
それは、自分がどんなものにときめいて、どんなものにときめかないか、改めて知る作業でもあります。
自分が好きなものを改めて見つめ直すということは、自分の価値観を知るという作業でもあるのです。
自分の価値観を改めて知ることで、自分という人間が改めて見えてきますよね。
自分を知るということは、まさしくヨガの目的そのもの。
やっぱり、片づけはヨガと深くつながっているんです。
さらに、捨てられない原因を突き詰めていくと、自分の生き方の傾向もわかってくると、こんまりさんは言います。
こんまりさんによれば、捨てられない原因は2つ。「過去に対する執着」と、「未来に対する不安」です。
例えば、このアクセサリーは大好きだった彼にもらったものだ。あの時はよかったな……。なーんて思って、過去に元カレからもらったアクセサリーをなかなか捨てられない場合。
今はそのアクセサリーを見ても全然ときめかないけれど、あの時、元カレが好きだった気持ちを思い出すと、どうしても捨てられない……。
これってけっこうありますよね。私もたくさんありますが、自分が「過去に対する執着」で捨てられないモノがいっぱいあるということを知ることで、自分が意外と過去にとらわれているということを知ることにもつながるというのです。
反対に、この調理器具は今年は使わなかったけど、来年は使うかもしれないし…。そう思って取っておくものってたくさんありますよね。
これまた、私もたっくさんありますが、自分が「未来に対する不安」で捨てられないモノがいっぱいあるということを知ることで、未来にも不安を持っているということを知ることにつながるというのです。
そうして、自分が過去にとらわれがちなのか、未来に不安を持っているのか、それとも両方なのかということを知ることが大切なのです。
過去にとらわれている自分や、未来に対する不安を持っている自分にとことん向き合ってみることで、今、何が必要かということが見えてきて、今を大切にすることにつながると言います。
モノを通して「過去に対する執着」と「未来に対する不安」に向き合うと、今自分にとって本当に大切なモノが見えるようになります。すると、自分の価値観がクリアになり、その後の人生の選択に迷いが少なくなるのです。
(「人生がときめく片付けの魔法」)
今、自分に必要で、今、ときめくもののために空間を使う。
今のときめきを大切にするということは、これまたヨガの思想とつながってきますよね。
片付けでサントーシャ
こんまりさんは、1つ1つのモノをものすごく大切にします。
手放していくモノには今までありがとうと必ずお礼を言うことが大切だと言うし、今、手元に残すときめくモノにも、やっぱりありがとうとお礼を言うことが大切なんだと言うのです。
そうして、1つ1つのモノにありがとうと心を込めてお礼を言うことで、自然に気持ちが満たされていくんだというのです。
たくさんのモノを手放すのですから、自分の持ち物の量は減るわけですよね。
けれど、手元に残ったモノは、今、ときめくモノばかりだから、満足の気持ちでいっぱいになるそうなんです。
これってまさしく、サントーシャの心境。ヨガの心境ですね!
こうして少しご紹介しただけでも、片づけはヨガなんだということがお分かりいただけたでしょうか。
そう言ってえらそうに書いている私も、実はまだ、こんまりさんのいわゆる「片づけ祭り」を実行できていません。
けれども、自分の好きなモノを改めて知り、今の自分を大切にしたくなる片付け魔法をやってみたいなと、私はすごく思っています。
みなさんも、片づけ魔法がしたいなと思ったら、ぜひ「人生がときめく片付け魔法」を読んでみて下さいね。
片付けに役に立つ豆知識がいっぱい!ですよ。
参考資料
- 『人生がときめく片づけの魔法』(2019年:近藤麻理恵著/河出書房社)