美しい言語 -サンスクリットを学ぶ

知っておきたい神聖な言語 “サンスクリット”のこと

祖語はインド最古の文献「ヴェーダ」に用いられているヴェーダ語

インド最古の文献「ヴェーダ」
インド最古の文献「ヴェーダ」

インド・アーリヤ人の宗教であるバラモン教の聖典群「ヴェーダ」(紀元前1000年頃〜紀元前500年頃 文献により諸説あり)で用いられていたサンスクリットの古い形を「ヴェーダ語」、後に文法学者パーニニ(紀元前5~前4世紀頃)が教養ある民衆のための標準語として文法規則を体系化したものを「古典サンスクリット」として区別しています。

サンスクリット語は言語学的にはインドからヨーロッパにかけて広く分布しているインド=ヨーロッパ語族に属し、かつてインドなど南アジアや東南アジアで使われていた古代語で、文学、哲学、学術、宗教などの分野で広く用いられていました。

現在も日常的に使われている?

インド紙幣にはサンスクリットを含め10数種の言語が記載
インド紙幣にはサンスクリットを含め10数種の言語が記載

サンスクリット語を、西洋におけるラテン語のような存在として、すでに日常では使用されていない言語として捉えている方も多いでしょう。ところが、実際には国勢調査をすると1%にも満たないとは言え自らの「母語」であると答える人がいるそうです。ですが、どうやら生活語として使っているということではなく、司祭階級において父から子へと教授され、学者や司祭階級で文章語として使用されているようです。

当然、それらの人々は音声としても使いこなすことができますが、宗教的文脈での使用であり、日常会話には別の言語を用いているのではないかと考えられます。神聖な言葉、文化として守られ続けているといことでしょう。歴史あるサンスクリット語は、現在でも22の指定公用語の1つであると憲法で定められています。

日本語にもある、サンスクリットがルーツの言葉

西洋の言語と兄弟関係にあるサンスクリット語ですが、日本にも深い影響を与えていることをご存知の方も多いことでしょう。サンスクリットは仏教を介して日本に入ってきました

たとえば、「旦那」という言葉はサンスクリットの「ダーナ」という言葉に由来しているそうです。「ダーナ」は、「贈り物」「布施」の意味。これが日本に入って、最初は「檀家」の意味で用いられていたものが、「旦那」として一般の家庭でも用いられるようになったようです。その他にも、「阿呆」「馬鹿」「米」「名前」などもサンスクリットが語源のようです。

ヨギーにとって世界と“繋がる”共通言語

ここでひとつひとつ列挙するまでもなく、アーサナの名称やチャンティングはサンスクリットです。ヨガをする人の全てが多くのサンスクリット名称を覚える必要はありませんが、覚えることのメリットはもちろんあります。

海外でヨガをする機会も多いヨギーにとって、ある程度のアーサナやチャンティングを覚えておくと、例えその国の言葉は理解できなくても、世界中のどの国のヨガレッスンにも気兼ねなく参加することができるでしょう。文化の違う土地でも、ヨガを通じて繋がることができる喜びを体験できます。まさに、「ヨガ=繋がる」ですね。

いかがでしたでしょうか?壮大な歴史背景を持つヨガに携わる者の一人として、言葉の意味やルーツを知ることは、その恩恵を今まで以上に感じ、自身のヨガを深めていくきっかけになるのではないでしょうか。

参考文献:
Wikipedia
驚くべきサンスクリット語と日本語との共通性
弥生人の原郷と日本語のルーツ:サンスクリット起原説
世界史の窓 サンスクリット語
サンスクリット語のはなし1