妊婦さんの未来のために。ヨガインストラクターが知っておくべき産後の知識

全てのママに安心・安全な産後の未来を

産前産後のためのヨガクラスをしていると、ヨガインストラクターを目指しているかた、勉強中のかたから「マタニティヨガの勉強はしたけれど、産後ヨガの勉強って必要ですか?」「200時間のトレーニングは受けましたけど、それだけじゃだめですか?」と聞かれる事があります。

マタニティ(産前)ヨガに関しては、「妊娠していない身体と、妊娠している身体では全く違う」という認識のもと、積極的にティーチャーズトレーニングなどで勉強されるかたが多数。一方、産後ヨガに関してとなると、性別や年齢の対象がない通常のヨガのトレーニングで十分、と思ってしまう方がいるようです。

お産をした女性は、妊娠前の状態に戻るという事ではない

お産を経験された女性ならば、誰しもが「とても疲れやすくなった」「いつも疲れている」と自覚された事があるでしょう。

オーストラリアのバイロンベイに本拠地を置き、マタニティヨガや産後ヨガなど、女性のためのヨガに特価して世界中でヨガ講座を展開する団体Bliss Babyのアナ・デイビス先生は

お産をされた女性の体力が戻るには1年を要する、一生以前の状態に戻らないケースもある

と仰っています。

つまり、お産をしたことによって「妊娠前にしていたようなヨガの練習に戻るには1年近い年月が必要」になるのが産後の女性の肉体的な状況です。

産後の3ヵ月は妊娠しているのと同じ状態

分娩をしてから、産後の3ヵ月間は妊娠後後期と呼ばれ、”妊娠しているのと同じ状態”と理解します。

「じゃあ、妊婦さんと同じことをすればよいのね」と勘違いしがちですが、骨盤が開いている妊婦さんと骨盤を閉じて行こうとする経産婦さんとではアサナをするときの注意点が異なりますし、身体的・精神的不調を引き起こす生活場面もまた、産前と産後では劇的な変化を遂げているのです。

肩こりや、腰痛、仙腸関節や恥骨などの骨盤域の痛みといった産後の女性特有の身体的不調を感じているかたや、連続して眠れない事や癒えぬまま育児に突入した事による余裕のないかたなど様々。

そんな女性がリフレッシュをしたくてクラスに来て、「元気で若々しい女性や男性に対して提供するのと同じ内容」を受けたとして、果たして彼女たちはそのクラスで心地良さを感じる事ができるのでしょうか。

「自分の身体とこころの状態に合ったクラスを受けた」と思ってもらえるのでしょうか。

マタニティヨガと産後ヨガは2つで1つ

「産後はいつからヨガの練習を再開したらいいでしょうか」
「産後、ヨガクラスに通えない時期に、何をしたらよいでしょうか」

マタニティヨガのクラスを開催していると、生徒さんから必ず受ける質問です。妊娠中の女性は、必ず終わりがある妊娠とその後の生活にとても関心があり、そのためのアドバイスを求めてくる方が多いのです。

産後ヨガは、マタニティヨガの延長線です。マタニティヨガクラスの中でも、すでに産後ヨガの知識が求められています

妊婦さんがお産を終えて、慣れない育児を含めた生活に突入していく時に、安全で必要なケアが出来るようにすること。そして、妊婦さんの出産後の不調を解決するための産後ヨガの知識を持っておくこと。

それらは、的確さと愛に溢れたアドバイスが出来るマタニティヨガインストラクターとして必要な要素なのではないでしょうか?

そんなインストラクターであれば、最も「自分の身体とこころの状態に寄り添ってもらったクラスを受けた」と思ってもらえる、そう感じています。

文・吉備真樹子