記事の項目
捻る。
ツイストする、 スパイラルをかける…
もちろん、パーマの話じゃなくて背骨の話です。
ヨガのアーサナにおいてツイストほど段階が調整しやすい動きはないのでは?そう感じるほどに捻りのアーサナには種類が豊富にあり、種類によって捻る程度も様々です。
それが捻る系のアーサナならではの楽しいところでもあり、難しいところでもあります。
というのも「捻る」とだけ言うと、わりと簡単な行為ですが、それだけに深く捻ることにとらわれて、押さえるべきポイントがなおざりになりがち。
捻りのアーサナは、呼吸するごとに深まっていく感覚が本当に分かりやすいので、呼吸が浅くなったり、肩に力が入っていたりすると、とたんに台無しなんですよね…。
もちろんそれは全てのアーサナに共通することですが、吸う息ごとに背骨を長く伸ばし、吐く息ごとに背骨の下の方から丁寧に捻る捻りのポースは、呼吸ごとの変化を楽しむのにもってこいです。
あー、捻りたい!ほら、捻りたくなって来たでしょ!?
では、どこまで捻るのか?どんな目的で捻るのか?
今回は、一般的に良くお目にかかるツイストポーズを例に、どんな時にどの段階が心地良いかをプラーラと共に探ってみようかと思います(^^)
お付き合いください★
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段階が分かりやすい座位の捻り
基本のやさしい捻り
まずは、最もゆったりとした呼吸でキープしやすい基本の捻りのアーサナから。 片足を伸ばすことによって下半身が楽に安定するので、上半身の余分な力が抜け易くお腹周りを無理なく捻ることができます。
ウォーミングアップからクールダウンの手前でも使えるやさしい捻りのアーサナ。
捻りのアーサナは便秘の解消にも効果があるとよく云われますが、便秘は捻るという物理的刺激よりも、内臓の動きを促す自律神経のバランスを取ることの方がよっぽど重要です。そういう意味で、このやさしい捻りのアーサナはリラックス効果が高く、実は便秘の解消などにも1番適しているレベルなのではないかと思っています。
そして、このような穏やかなレベルのツイストは、捻りと同時に呼吸を繊細に行う練習にはピッタリですよね。吸って胸を引き上げおへそを縦長にするように背骨一節一節の間に隙間を作り、吐く息でその長い背骨を下から丁寧にツイスト。
深く捻ろうとするよりもお腹周りを心地よく捻ることに焦点を当ててみましょう。 もちろん、肩の力は、リラックスです。
登場頻度の高いアルダ・マツイエンドラ・アーサナ
次に、ハタヨガのクラスなどで行う頻度の高いアルダ・マツイエンドラ・アーサナ(=半分の捻りのアーサナ)です。
やさしい捻りの下半身から、下に来る脚を曲げ、かかとはお尻の外側に置きます。
その上で骨盤を立てるためには、左右の坐骨に均一に体重を乗せる必要があるので、ある程度の股関節の柔軟性が求められます。
息を吸いながら立てた脚と反対の方の腕を小指からひねり上げるように上に伸ばします。このように腕を少し内旋することで、最も脇腹から腕にかけてを伸展させることが出来ます。
吐きながらその腕の肘を腿の外側に深く引っ掛けます。 もしくは窮屈に感じるようなら、立てた膝を優しく抱え込んでもOK。
肘を引っかけられたのであれば合掌し、その手が胸の真ん中にくるところを目指してツイストしましょう。このとき、鼻先にも目が付いているようにイメージすると、自然ともうひとつ捻りが深まります。
腰骨を立てたままゆったりした呼吸でキープ出来るのであればとても気持ちよいアーサナです。 できればお腹周りだけではなく肋骨の捻りにもより意識を向けて、肩がすくまない段階で呼吸を繰り返しましょう。
さらに捻りを深めてみる
もう少し本気で捻りたい時は次の段階へ。 引っ掛けた腕を、肩の骨を自分から遠ざけるように内旋して、上の足のすねを外から掴みます。
もうこの時点で結構捻ってますよね…(^^)
さらに、ここから呼吸ごとに捻っていくのがこのアーサナ。 ここまで来ると、より背骨の繊細な感覚が必要になります。 吐く息ごとに腹筋を引き締めて肋骨を捻る!
背骨の下の方から一節一節丁寧に捻るのがポイント。
腕を深くかけることで胸が開き易くなるのが、この段階のメリットです。 肩や首がすくまないように、鎖骨周りを気持ちよく広げた上で、鼻からの柔らかい呼吸をキープ出来ればこのレベルの捻りが正しく出来ているということですね。
チャレンジしてみましょう
さらに深めたい時は後ろで手を繋ぐ、バッダ・アルダ・マツィエンドゥラーサナにチャレンジ!
これは背骨への意識に加え、骨盤の使い方にもコツが要るちょっと難度の高いアーサナです。
後ろで手を繋ぐために身体をコンパクトに集めましょう 。そのためには、決して骨盤から捻ろうとしないこと。 あくまでも捻るのは背骨の付け根からです。骨盤は安定させたまま背骨の付け根から捻る事で、初めて手を繋ぐことができます。
分かり辛ければ、骨盤を気持ち、背骨と反対方向へ旋回する意識を持って。そうすることで下腹部と股関節が凝縮されていきます。 実はこの感覚は、浅く捻るだけの段階でも必要なのですが、深くツイストしない限りは、多少抜けてもアーサナとして出来てしまうので、案外と抜け易いポイントでもあるんです。
しかし、バッダ・アルダ・マツィエンドゥラーサナまで深く捻るためにはより正しく身体を使わなければ形すら完成させられません。 手を繋ぐことによってさらに胸が開き、肋骨のツイストも深まるという…なんとまあよくできたアーサナではありませんか!
座位の捻りのアーサナでこの段階までこれたら、かなりの捻り力があるということですね!
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座位の捻りのアーサナは段階を調整しやすいし、どの段階にも良さがあるのが素敵ですね~★ゆったりとした呼吸が楽にできる段階はどこか、それは柔軟性や慣れによって人それぞれですが、その日の自分なりのちょうど良い段階を探るのはとても面白いです。
捻りがタイトになればなるほど、意識的に深く呼吸することが必要になってくるので、アーサナへの追求と心地よさのバランスをとりながら続けていけば、少しずつ心地よいと感じる段階が上がっていきます。
後ろで手を繋ぐためには、骨盤からではなく背骨の付け根からじっくりしっかり捻る必要がありますし、繋ぐことによってより鎖骨周りが広がり、鳩尾を緩め易くなります。
座位で余裕を持ってここまで捻ることができれば、次のステップへの準備完了!
ちなみに“余裕を持って”というのは、
- この型で背骨の長さを保つ
- お腹からの深い呼吸をゆったり繰り返しながらツイストを深める
- 肩の力を抜く
などのポイントを無理なく実行出来るという意味です。どんなアーサナも大事なのは型ではなく呼吸ですから、いかに心地よい呼吸で型を深めていけるかがミソです。
座位の捻りのアーサナで、捻る感覚に思う存分集中してみましょう。
立位の捻りでバランス感覚を強化
座位で呼吸と共に捻る感覚がしっかり身体に馴染み、かつ柔軟性も高まってきたらちょっと意識に余裕が出てきますよね。
ではその意識を今度はバランスに使ってみましょう!
ということで、立ちます(笑)
後ろで手を繋いだ、ランジのツイストポーズ。
これははっきり言って相当タイトです。一般向けのクラスでは、このレベルの捻りはあまり出てこないかもしれません。
このアーサナは座位で手を繋ぐより、さらに深いツイストをかける必要があります。 太腿を自分の良い位置に引き寄せるのではなく、自分が大腿をホールドしに行かなくてはならないので、背骨の付け根から正しく捻るのはもちろんのこと、肩関節を柔軟に使わなくては手が繋げません。(特に私のように腕が長くない場合はなおさらです涙)
バランス感覚とその礎となる脚力も必要ですし、安定させるためには否応無しでも腹筋が要るという、クリアすべきポイントが幾つかある高度なアーサナです。
意識はついつい前のめりになりがちですが、後足は軽くならないようにしっかり力強く踏み、内股は軽く寄せ合って足の強さを保ちましょう。
下半身が安定したら、あとはバランスを保ちつつツイストに集中! 吸う息ごとに後足から頭頂を遠ざけるように背骨一節一節の間に間隔を空け、吐く息ごとに一節一節丁寧に捻る、肩の力はリラックスです。
自分の身体がコンパクトに凝縮されるような濃厚さと、バランスに集中するピリッとした緊張感が絶妙なハーモニーを奏でるクセになる美味しさ!…なんて言うとまるで食レポのようですが(笑)
でも本当に、そのくらい味わい深いアーサナです。座位の捻りで捻り力が充分に高まって来たら、ぜひともやってみたいアーサナですね!
まとめ
何かひとつの感覚、例えば捻るとか前屈するとか体側を伸ばすなどを目的としたアーサナは、その目的行為を正しく効果的に行うために他の部分にも意識を向ける必要があります。
まずは呼吸を大切にしながらひとつひとつのアーサナの基本をしっかり身体に落とし込む。そして意識に余裕が出て来たら、少しずつアドヴァンスに移行してみる。
私はどんなアーサナの練習もいつもこのステップを心がけています。 何故なら、意識に余裕が無いうちに身体だけを型にはめようとすると、仮に型だけ出来たところでまったく心地よくないからです。
もちろん呼吸も深まりません。それは、ヨガではありません。
逆に、常に少し余白が残るくらいの加減でステップアップしていくと、いつも必ずそれによってさらなる気づきがあるから面白い!
そしてきっと、その気づきはその人の身体や心や色んな条件によって違うのでしょうね。
マットの上でのアーサナのプラクティスは、マットの外の素の自分=オフ・ザ・マットを少し深く知るための最高の方法かもしれませんよ。