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母趾球の感覚で集める、締まる、安定する
土台が強いと上物も安定する。 土台が安定していると上に長く伸びる。
草も木も人間も、何でもそうですよね…
ヨガもまた然り!
そもそもヨガの目的とは何かというと『心の働きを止滅すること』、現代人の生活に当てはめるなら心を広く平穏に導く、といったところでしょうか。
そのために身体を使って行うのがアーサナです。 そのアーサナを安定させるにはまずは下半身を安定させること、そして上体の余分な力を抜くことこそが基本なわけですが、洗練されたバランス感覚無しにはキープできないアーサナも結構ありますよね。
ことに立位のアーサナは、「なんでやねん」というくらい難しいものもありまして…しかーし! そこでしっかり意識することで安定感がギュイ~ンと上がるポイントがあるとしたら!?
というわけで、立位アーサナにおける足指の付け根(母趾球)の重要性について。
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正しく立つ、を基本から確認
さて、まずは「正しく立つ」とは、どういうことなのか確認してみましょう。
全ての立位に共通する基礎となるアーサナが、タダーサナ(直立のアーサナ)です。 タダーサナはインストラクターにもよりますが、レッスン中に行う場合は足元から整えていく場合が多いのではないでしょうか?
私なんかは、そりゃもうガンガン足元からです。床との接地面、そして脚力が重要! タダーサナは直立のアーサナなので、体重の掛け方が最もシンプルで、そして難しいのですよね。
- 親指の付け根、小指の付け根、かかと、この足裏3点に均一に体重を乗せ、
- 内股やお尻の締め、下腹部の引き締め、
- 背筋をスラリと伸ばし肩の力は抜いて…
これらのポイントが押さえられると、力強い下半身と柔らかく力の抜けた上半身、つまりは上虚下実が叶い、心身ともに理想的なバランスを保ちやすくなります。
自然とS字カーブを描いた背骨の延長線上に頭頂。どっしり安定しながらも天井への広がり、両肩の左右への広がりが感じられる状態。
でも、こうやって丁寧に整えたタダーサナ、立位の色んなアーサナを行う際に何故かその正しい土台が崩れさる…気がついたらフラフラしてバランスが取り辛く、呼吸も浅くなってしまうことがあります。
うーん、人間なんてそんなものですよね。
では、立位のアーサナを安定した土台のまま行うためには何を意識すべきでしょうか。これはそのアーサナによっても変わってくるのですが、今回は特に、親指の付け根=母趾球の感覚が要になるアーサナについて見ていきます!
片脚のアーサナ
例えば、ブリクシャーサナ(立ち木)などの片脚のアーサナ。
足裏の重心が外、つまり小指側に逃げないように、気持ち内側に寄せる意識を持つと、 自然と太腿が締まって股関節から内転がかかります。
この感覚こそが片脚立位アーサナを安定させる上でとーてーもー重要!
立位のアーサナで大切なのは、如何に中心軸=背骨を安定させられるかであり、そのためには腹筋をどれだけ効果的に使えるかということが鍵なんです。
親指側の母趾球で床をしっかり押すことでお腹に力の入る感覚を探りましょう。
背骨を上に伸ばす力も脚で床を下に押す力も、腹筋が重要であることがよく分かります。
脚を前後に開くアーサナ
そしてこの感覚が重要なのは片足のアーサナだけではありません。 英雄のポーズやハイランジなどでも同じこと。 中でもフラフラしがちなウッティータ・アシュワ・サンチャラナアーサナ(ハイランジのポーズ、正式名称はこんなに長い名前です)を例に出してみましょう!
小指側に逃げがちな体重を内に寄せて親指の母趾球でしっかり床を捉える。 もちろん後足にもちゃんと意識を向けるのも大切なポイントです。 ハイランジの場合は、後足の母趾球、とくに親指の付け根で意識的に床を押し、さらに内股同士を寄せ合うように内転筋を引き締めましょう。
すると、どうでしょう。 どしっとぐさっと、足が強烈に安定するではありませんか! ちなみに私、ハイランジってその昔大嫌いでした(笑)
「何が楽しいねんこのアーサナ、良さが全っ然わからん」って思ってました。 そもそもヨガに”分かりやすい楽しさ”を求めてるのは私のアホさ故ですが、それを差し引いても良さが全く分からなかった、それがです。 今では大好き!
ひとえに、ハイランジのときの足の安定感が好きになったからです。 ハイランジの足が安定すると、上体だけ動かすようなこんなシークエンスも楽々にできるようになります。
ハイランジの脚を安定させたまま、吸いながら指先遠く後ろを通って吐いて前に、同時の上半身もついていきましょう。
さらにツイストを入れて…
- 吸って指先を天井方向
- 上体を上に伸ばし
- 吐いてウエストからツイストして両腕を横に(目線は見れたら後へ向けて)
- 吸いながら後ろに伸ばした腕下から回して上体正面に戻し
- 吐いてまたツイスト
どちらも数回繰り返します。
常に後足の母趾球をしっかり踏みしめることを意識して。そうすることで後脚が長く保たれ、下半身が驚く程に安定します。足の母趾球の意識は内股まで響き脚全体の強さを引き出すための鍵だというわけですね。 ではその母趾球、足指の付け根を鍛えるためにはどうすれば良いのでしょうか?
足指の付け根を鍛える方法:つま先立ちに慣れる!
例えば、両腕を上げてつま先立ちになってバランスを保つのも良いでしょう。これ単体で練習してももちろん良いですし、太陽礼拝のようなフローの中にこういったアーサナを挟みつつやってみるのもオススメです。
それに慣れたら…
立ち木のポーズの足でしゃがみ、片足つま先立ちで 『パダ・アングシュターサナ』 力も心も真ん中に集めつつ、ちゃんと緩める… (緩める過程で半笑いになるのは私だけでしょうか)
相当の集中力が要りますが、つま先立ちをより自然体でキープする訓練になります。
これが左右ともキープできるようになれば、ハイランジのようなアーサナは格段に呼吸が楽になります!身体って不思議ですね、それを教えてくれるヨガ、やっぱり面白いです。
身体、呼吸、そして心
下半身(=土台)が安定すると、上体の力みが取れて呼吸が深くなります。そうすると、自然と精神も安定していきます。
脚を強化するアーサナはヨガではたくさんありますが、そのどれもが、心の安定・心のコントロールに繋がっていくこと、少しずつですが私も身体で理解しつつあります。
どっしりと肝が据わった身体と心、きっとヨガを続けるごとに、近づいていけるんちゃうかなあって思っています★