SDGs、そしてヨガの現状
最近、サスティナブルという言葉を頻繁に耳にする。サスティナブル(sustainable)とは「持続可能な」という意味。サスティナブルな未来と地球作りのため、国連では17の約束「SDGs(Sustainable Development Goals)」を制定し、2030年までの実現目標として掲げている。
これは地球上の誰一人として取り残さない(leave no one behind)ことを誓うプロジェクト。貧困、飢餓をはじめとして、ジェンダーや不平等といった多様性にかかわる改善目標も含まれる。
さて、今の日本のヨガ業界はどうだろうか?
多くの人は、ヨガは女性がするものというイメージを持っている。美容意識の高い女性がボディメイクや、インナービューティのためにやるもの。そんなイメージが強い、ということは否めないだろう。実際、どのヨガスタジオをのぞいても、女性が大多数で、男性は少数派。
また、ヨガはポーズ、フィットネスとしての要素が強く、体に障害のある人は、一般的なヨガクラスに気軽に参加するのは難しいという現状がある。
多様性が重要視されるようになっている今、新しいヨガの在り方として、今年8/25(火)より、ユニバーサルデザインヨガ(以下、ユニヨガ)が始動した。
ユニヨガとは⁉︎
ユニヨガとは、「誰も取り残さないヨガ」をコンセプトに、ダイバーシティ&インクルージョン社会実現のため、公益社団法人日本青年会議所(以下JCI日本)が提案したヨガ。
ダイバーシティ(多様性)&インクルージョン(包摂)は、「多様性を受け入れて生かし合おう」といった意味合いで、身体的、精神的、空間的にヨガに挑戦できなかった人も挑戦しやすいヨガを提供する。
現在はオンラインでヨガを提供している。コロナ禍で、普及したオンラインヨガ。人目を気にしないでいい自宅から参加できる、オンラインならではの特性を生かし、ハンディキャップがある人も、男性も、親子でも、参加しやすいクラスが特徴だ。
ロゴにも、ユニヨガならではの思いが込められている。ニッコリとした顔は、すきっ歯やそばかすなど、コンプレックスと捉えがちな要素をあえて描き、逆に上肢、下肢などを含めた全身は描いていない。
個性を大事に、健常者だけではなく、すべての人を取り残さないという思いが表現されているのだ。
ユニヨガの三つの約束
ユニヨガでは、コンセプトの実現のため以下の三つの約束を掲げている。
1:ヨガへの参加前にプロフィールシートを記入し、参加者それぞれの個性を把握すること。
2:ヨガティーチャーが多様な個性を認めながら、参加者それぞれにとって満足度の高いヨガを目指すこと。
3:参加者それぞれが自分の言葉で話す「サットサンガ」を設け、個性を表現する場所を創ること。
プロフィールシートにはその時の体調、自分の体の特徴などを記入する。インストラクターが事前に参加者の体の状態を把握できるため、健常者だけでなく、障害のある人も安心して参加できる。
また、インストラクターは複数名でクラスを行い、ヨガマットの上でポーズを取る人、イスの上でポーズを取る人、立ち姿勢でヨガを取る人などデモ姿勢を複数パターン用意し、自分の体の状態に合わせてポーズを取れるように配慮されている。
そして最大の特徴が、ヨガクラス後に参加者同士で話し合うことができる場「サットサンガ」。ヨガのポーズでリラックスした後は、自分の気持ちを素直に話しやすく、個性を表現する場として最適だ。
さまざまなバックグラウンドを持つ参加者が自分の言葉で話すことで、互いの個性を理解し受け入れ合う機会となる。
助け合いアプリ『May ii』との連携
ユニヨガは、大日本印刷(DNP)がサービスを提供する助け合いアプリ『May ii』(メイアイ)と連携している。
『May ii』は、手助けを求める人(リクエスター)と手助けしたい人(サポーター)をつなげるスマートフォン向けアプリ。
心身を整えながら、多様な個性に触れる楽しさを感じてもらい、実社会における助け合いの輪を広げることを目指すユニヨガ。そして『May ii』は、助け合いの輪を実社会に広げるための、第一歩をサポートする。
誰でも簡単に参加できる助け合いの輪、『May ii』。
10月には、ユニヨガと『May ii』のコラボキャンペーンを開催。
『May ii』アプリをインストールすると、抽選でユニヨガの無料体験会に参加できる。
気になる人はぜひ応募してみて。
無料体験会の日程
・ 10月17日(土) 10:00-11:30
・ 10月20日(火) 18:00-19:30
・ 10月31日(土) 10:00-11:30
優しい社会をヨガとともに
ヨガのポーズや呼吸は気持ちがいい。それらがもたらしてくれる心の穏やかさや、フラットな自分は、ヨガの持つ力を体感している証拠だ。
ヨガは、心をほぐし、差別や偏見を生み出す、心のあかを洗い流してくれる。
多様性を受け入れ、みんなが気持ちよく自分らしく生きられる社会の実現に向けて動き出している今だが、このヨガの力を社会全体ではまだ共有しきれていない。
年齢、性別、人種、障害の有無にかかわらず、多くの人々が利用しやすいデザインを目指す、ユニバーサルデザイン。それをヨガに取り入れたユニヨガは、今世界全体が目指す社会の在り方を体現していると言える。
ヨガ界に吹く新しい風をみんなで後押ししていきたい。
文=Yogini編集部