『Yogini』の取材でわかった八支足の順番の意味
1月20日に発売になる『Yogini』Vol.80は呼吸の特集。呼吸のすごさを検証したが、改めてわかったのは、ヨガの八支足のスゴさだった。
八支足には、ヤマ(他人とのつき合い方を改める)→ニヤマ(自分とのつき合い方を改める)→アーサナ(坐法・体を整える)→プラーナーヤーマ(エネルギーを巡らせる)→プラティーヤーハーラ(五感をコントロールする)→ダーラナー(集中する)→ディヤーナ(瞑想状態になる)→サマーディ(没我する)という流れがある。
これは同時進行的に起こるとする説明もあるが、多くが段階を踏んでいるというもの。さまざまな先生方の話を聞いたり、実感から、ある部分は同時進行的ではあるが、段階なのだなと思う。しかもらせん階段を上るように、階層は変わっても同じことを何度も学んだり、気づかされたりする。同じように感じている人も多いのではないだろうか?
呼吸から集中状態への流れ
さて、呼吸。今回の取材でまさに出てきたのは、呼吸が鍛錬されていると集中状態に入りやすいということ。これも経験でわかっている人も多いと思うが、それがデジタルな数字で出てきたので驚きであり、感動だった。八支足の順番は、ヨガの修行をしていくと起こる経験の順番なのだという結果だった。
呼吸は、意識した時点でリラックスできない。鍛錬者でもデジタルな数値としては交感神経が上がる。それだけダイナミックな身体活動であり集中状態なのだろう。しかし、続けていくと集中状態が深まり、ざっくり言うと、ボーッとした状態になる時がくる。意識していることも忘れるぐらい集中している時だ(瞑想状態ですね)。
プラティーヤーハーラの醍醐味
今回ちょっと伝えたいなと思ったのは、その瞑想の一歩手前の話。八支足で言うと、プラティーヤーハーラ。ヨガニドラーやヒプノセラピーでは、このプラティーヤーハーラ状態が、集中から瞑想に入っていくより少し長いと思うので経験しやすいが、体はリラックスしていて、脳の活動もボーッとしていて、でも聞こえている、香っていることには気づいている。でも、その感覚にとどまっていない。
この時の状態を思い出してほしい。本当に気持ちいい、ボーッとした状態。そう、寝る前の体が弛緩しきっている、うつろな時間と同じ。よく脳波ではθ波になっていると言われる。
「今ココ」にいる極限
この時は、体の重さを忘れて無限の世界をさまよっているのではないだろうか? でも五感には気づいているから、かろうじてまだ「ここ」にはいる。そんな時。瞑想もステキだが、このプラティーヤーハーラを楽しむことをオススメしたい。雑念の後、瞑想の手前。何もしていない電車の中。お風呂の中で。寝る手前。きれいな景色を見ながら。ボーッとしているが、だからこそ「今ココ」にはいる。極上の無限。
ヨガの八支足はダーラナからをサンヤマというが、プラティーヤーハーラは、サンヤマを迎えるための、ゴージャスな至福タイムに違いない。
テキスト=Yogini編集部