聖地リシケシの先生に聞いた「インドでヨガを学ぶ効果」と「ヨガ的食生活」

聖地リシケシの先生に聞いた「インドでヨガを学ぶ効果」と「ヨガ的食生活」

今回は、生徒さんから聞かれることの多い質問について、ヨガの聖地リシケシで長年指導をされているスニール先生に尋ねてみました。

昨年は新型コロナウイルスの影響で国間の移動ができませんでしたが、リシケシで学ぼうと予定していた方や、パンデミックが終わったら思い切ってインドに来たいと願う方がいらっしゃいます。

聖地リシケシには、例年沢山の生徒が訪れて、毎年通う人も多いのですが、自国で学ぶのと何が違うのでしょうか?

インドまでヨガをしに来る効果

スニール先生の講義の様子。世界中からリシケシにヨガを学びに来る
スニール先生の講義の様子。世界中からリシケシにヨガを学びに来る
永井由香さんのインタビュー写真
永井由香さんのインタビュー写真
インドにヨガを学びに来たいという人たちがいます。

ヨガはインド発祥なので、本場を体験したいと思うのですが、日本でヨガを学ぶのと何が違うのかが気になるようです。

まず、1年に1回でも、快適な日常から離れる意義があるね。

自分の町でヨガを日常的に練習していることもとても大切だけど、その環境から離れてヨガの修業を行うと、全てのエネルギーや時間をヨガに注ぎ込むことができる

日常では仕事があるし、家族がいるし、沢山の人が周りにいて、それは無理だろうから。インドじゃなくても外に出れば、日常から離れてヨガに専念できるのだから、効果は大きいよね。

これが一つ目。それはとても大きな違いになるよ。

スニール・シャルマ先生プロフィール画像
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永井由香さんのインタビュー写真
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だから伝統的な修行者は、家族を捨てて出家するのですね。
そう、それは自分の時間を確保して、集中を保つため。

2つ目の理由として、リシケシに来ると、様々な経験をする。それによって、心の中にあったこだわりを壊すことができて、自由を感じることができる

リシケシに来て、ガンジス川沿いで時間を過ごし、ローカルの人たちがいて、そこで新しい経験をする。それが脳の神経系に良い影響を与えてくれる。

新しい場所に来て、新しい文化を知り、新しい学びを得る。その効果は大きい。

スニール・シャルマ先生プロフィール画像
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永井由香さんのインタビュー写真
永井由香さんのインタビュー写真
だけど、これらの影響は外部からくるものですよね。
それが助けになっているのだよ。

確かにヨガは内側の鍛錬だけれど、山があり、ガンジス川があり、様々な体験をして、それらは全て新しいもの。

これによって、脳に新しい回線が繋がるようになる。そして、フレッシュな感覚も与えてくれる。

スニール・シャルマ先生プロフィール画像
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永井由香さんのインタビュー写真
永井由香さんのインタビュー写真
例えば、ガンジス川沿いで瞑想をしている人たちは良い効果を得ていますが、このフレッシュな感覚は、ガンジス川のエネルギーですよね。

でも、いつかは同じ感覚を内側に見つけるのがヨガですよね。

もちろん。多くのインド人はガンジス川を訪れて、ここで沐浴をする。ガンジスの水の中では、身体全体が一つになる感覚を得られる。

そういった体験をしたことがあると思うけど、でも、彼らの家にもシャワーの水はあるよね。それなら自宅のシャワー室に行けば体験できるじゃないか。

だけど、ガンジス川に沐浴をした経験が初めてその感覚を与えてくれるんだ。リシケシに滞在して、フレッシュな感覚を体験して、それを自宅に持ち帰る。

そのフレッシュな感覚はしばらくしたら失われてしまうのだけど、そうしたらまた来ればいいじゃないか。こうやって、自分をフレッシュな状態に磨いていくこと

最終的な目標は、外の環境を変えなくても自分の内側からフレッシュな感覚を見出すこと。だけど、そこに到達するためにリシケシに来ることは良いよね。

スニール・シャルマ先生プロフィール画像
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ヨガで学んだことを日常に活かすには

シヴァリンガ
ヨガの神であるシヴァの象徴、シヴァ・リンガ
永井由香さんのインタビュー写真
永井由香さんのインタビュー写真
リシケシに来る人もそうだし、普通のヨガスタジオでも同じですが、そこでヨガを実践した時には心地が良く解放されてサントーシャ(満足)な状態だと感じる人が多いと思います。

でも、自宅にその感覚をどうやって持ち帰ったら良いだろうと考える人は多いですよね。

自分自身がその状態にいれば、心地いい状態は自然に周りの人にも伝染していくものだよ。

だけど、自ら学んだことを人に勧めようとするのは良くない。ヨガの恩恵を知るためには、みんな自らヨガクラスに来て、体験しないといけないよ。

スニール・シャルマ先生プロフィール画像
スニール・シャルマ先生プロフィール画像
永井由香さんのインタビュー写真
永井由香さんのインタビュー写真
では、プレッシャーに満ちた社会生活に戻る時、私たちはどうすればいいのでしょうか?
そうだね、自分自身のヨガのための小さなスペースを作ると良い。その中では君は心の働きから完全に自由である。

そのような場所があれば、外に出てストレスの元になる事柄が起こっても、それらはスペースの中にまで侵入できない。

スニール・シャルマ先生プロフィール画像
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永井由香さんのインタビュー写真
永井由香さんのインタビュー写真
それは物質的な意味でのスペースですか?
心の中のスペースだよ。内側にスペースを作って、そこに座って、自分のための瞑想をする。そういった心の中のスペースがあれば、どこにいても大丈夫。

そのような経験をリシケシで育んで、それを自分の日常に持って帰る。1日に30分でも15分でも良いから、心のスペースの中で静けさを感じる時間を作る。そうすれば君はどこにいても大丈夫になる。

スニール・シャルマ先生プロフィール画像
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永井由香さんのインタビュー写真
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そっか、毎日瞑想することは大切ですね。

ヨガ的な食事の選択の仕方

サトヴィックな食事を提供するリシケシのターリー・アシュラム
サトヴィックな食事を提供するリシケシのターリー・アシュラム
永井由香さんのインタビュー写真
永井由香さんのインタビュー写真
ヨガの実践が深まってきた人たちは、生き方をヨガ的にしたいと考える人が増えます。

食事の選択もとても大切ですよね。でも、ヨガ的な食事を理解するのはとても難しいです。

世の中にはビーガンや、次々と流行の食事法が情報として溢れています。

それはとても個人的なもので、自分の経験から見つけないといけない。

ヨガ的な食事を見つけるためには、自分の心への効果を観察する必要がある。ものを食べた時に、どのように体に、エネルギーに、思考に影響を与えるのか。

外からの情報に耳を貸すのもいいけれど、自分の経験を観察することは忘れてはいけないよ。

スニール・シャルマ先生プロフィール画像
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永井由香さんのインタビュー写真
永井由香さんのインタビュー写真
なるほど、ヨガ的な食事はすごくオーダーメイドなものなのですね。
それを土台に、世の中には3種類の食事があると考えられている。

  • サトヴィック(純質)な食べ物
  • ラジャシック(激質)な食べ物
  • タマシック(暗質)な食べ物

どうやって目の前の食べ物がタマシックかラジャシックか判断するかというと、自分の経験で考察するしかない。そうやって、どれだけの量、何を食べるべきなのかを考える。

もちろんビーガンやベジタリアンは素晴らしいけれど、まずは君の普段の食事から観察することを始めればいいよ

スニール・シャルマ先生プロフィール画像
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永井由香さんのインタビュー写真
永井由香さんのインタビュー写真
たしかに、「純質・激質・暗質」と3つに分類すると、分かりやすい気がします。
サトヴィックな食べ物とは、君を穏やかに、リラックスした状態にしてくれるもの。ラジャシックな食べ物は、君をアクティブでダイナミックでエネルギッシュにする。タマシックな食べ物は、不快で怠慢な状態を作り出す。

あらゆる果物や、適量のスパイスで調理された野菜はサトヴィックな食べ物。アクティブさを増すスパイスを沢山加えたらラジャシックになるね。過度に調理したり、前日に料理されたり、古いものはタマシックな食べ物。

スニール・シャルマ先生プロフィール画像
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永井由香さんのインタビュー写真
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ギーターでは、ラジャシックな食べ物にもっと具体例を書いてくれていますね。塩辛く、苦く、酸っぱい食べ物

それらは全ての人が避けるべきですか?アーユルヴェーダでは食べられる食材ですよね。

それは、君が何を必要とするかで変わってくる。君が健康的で体内の炎が強ければ安易に消化することができる。

君が怠慢で何もしなければ、ラジャシックな食べ物を食べてもタマス(鈍い)状態になるよね。

君の身体の状態や必要性によって決めなくてはいけないよ。

スニール・シャルマ先生プロフィール画像
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編集後記

食事だけではなく、自分の生き方を決めることはとても難しいことです。食事について考えることは、日常の選択について考えるためにとても良い例だと思ってお聞きしました。

今回教えていただいた通り3つのグナ(サットヴァ・ラジャス・タマス)を基に考えることはとてもいいヒントだと思いました。

また、人からの情報ではなく、自分の経験をもとに判断することも忘れないようにしたいです。

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