そもそも瞑想とは?
ヨガはもともと悟り(サマディ)に達するための、究極の修行であり、ヨガのポーズ(アーサナ)はサマディの一歩手前の段階、瞑想(ディヤーナ)のために体を整える方法とみなされていました。
瞑想とは
意図的に、今この瞬間に、価値判断を加えずに注意を払うこと
とされています。瞑想の効果は、疲労回復、不安軽減、集中力の改善等にも及び、多くの企業でも取り入れられるなど、近年注目を集めています。
そんな瞑想は、一般的に目を閉じながらおこなわれることが多いですが、それは何故でしょうか。
視覚の持つ力
私たちは、主に5つの感覚器「視覚」「聴覚」「触覚」「味覚」「嗅覚」により外界からの情報を得ています。その情報をもとに判断している「認知機能」に与える影響は、視覚が80%以上も占めるといわれています。また“メラビアンの法則”でも視覚が重視されていることがわかります。
メラビアンの法則とは、『「楽しいね」と言いながら、声のトーンは低く、不機嫌な顔をしている』というように、言葉と態度が矛盾している場合に、人にどのような印象を与えるかを検証したもので、結果は見た目が55%、口調や声のトーンが38%、会話の内容が7%という結果となりました。
「目は口ほどに物を言う」ということわざがありますが、実際に、人は聞いた内容よりも視覚から得た情報を信頼しているといえるでしょう。視覚に訴えかけるメディアやSNSが注目されるのも、納得できますよね。
私たちは集中したいとき自然に目を閉じている
これだけ視覚からの情報に頼って生きている私たちは、視覚以外からの情報には意識を向けづらい傾向があります。
視覚以外からの情報を感じたいときに、自然と目を閉じていた、という経験をお持ちの方もいらっしゃるのではないでしょうか。例えば、クラシックコンサートで目を閉じて音楽に浸ったり、美味しい料理を食べているときに、目を閉じて味わっていたり。
このように、私たちは視覚以外からの情報を得たいとき、最大の情報収集源である目をあえて閉じることにより、より繊細に他の器官からの情報に意識を向けることができるようになります。
目には見えない気付きを
人の気を引くためにも、視覚に訴えかける情報がとても多くなっています。そんな社会で生活している私たちの脳は、常に目から入ってくる情報を処理し続けています。
瞑想は、そんな脳を一旦休ませてあげる1つの方法です。目を閉じながら瞑想することで、他の器官から得られる情報に「気付き」、より「今、この瞬間」に意識を向けやすくなるのではないでしょうか。
この記事を読み終えたら、ぜひ一度目を閉じて、視覚以外からの情報にも意識を向けてみてください。
参考資料
- アン・スワンソン著、プレシ南日子、小川浩一 他訳『サイエンス・オブ・ヨガ』株式会社西東社、2019年
- 中村尚人著『体感して学ぶ ヨガの生理学』株式会社BABジャパン、2017年
- あしたの人事online「メラビアンの法則とは?第一印象が大切?誤解せずに理解してビジネス・接客・恋愛に役立てよう」