5月病には片鼻呼吸
4月から新年度、新しい環境に慣れないことも多い中、毎日一生懸命頑張っていると、5月に入りどっと疲れが出てくることも。いわゆる「5月病」の症状ですが、聞いたことがあったり、実際体験された方も多いかと思います。
この「5月病」は、頑張りすぎやストレスから来る、自律神経の乱れが一因として考えられます。ここでは、そんな「5月病」にも効果的な、「片鼻呼吸=ナディーショーダナの呼吸」をご紹介します。
片鼻呼吸のヨガ的仕組み
ヨガで呼吸は「プラーナ」、その通り道が「ナディー」と呼ばれ、体内に多く存在しています。
その中でも代表的なものは3つ。
- スシュムナー・ナディー
背骨を中心にまっすぐ1本通った道 - イダー・ナディー
陰のエネルギー、リラックスや落ち着きを司る道 - ピンガラ・ナディー
陽のエネルギー、明るさや活力を司る道
イダーとピンガラは中心のスシュムナーの周りに螺旋状に存在します。
左の鼻での呼吸は陰のエネルギーを、右の鼻での呼吸は陽のエネルギーを巡らせることができます。片鼻ずつ交互に呼吸することにより、陰と陽2つのエネルギーのバランスが整い、中心のスシュムナーにも下から上に上昇するエネルギーの流れを作ることができると考えられています。
このことから、片鼻呼吸をおこなう上でのポイントは、片鼻ずつ呼吸することと、背筋を長く伸ばすことです。
片鼻呼吸の生理解剖学的仕組み
片鼻呼吸を「ナディー」という概念を持たずに考えてみると、どうなるでしょうか。
陰と陽のエネルギーは、生理解剖学的には自律神経の交感神経と副交感神経に似ているようにもと感じられます。右利きの人は左脳派、左利きの人は右脳派と言われるように、私たちの体は左右反対の脳によって制御されています。
同じように、右の鼻の呼吸では左脳の交感神経の活動が、左の鼻での呼吸は右脳の副交感神経の活動が、それぞれごくわずかに増加することがわかっています。
そして、背骨に関しては、長く伸ばす意識を持つことで、呼吸活動の約7割を占める横隔膜の動きがスムーズになるため、背中を丸めた状態よりも呼吸がしやすくなります。
片鼻呼吸で快適な毎日を
ヨガ的な考えだけでなく、生理解剖学的にも片鼻呼吸は自律神経のバランスを整える方法の1つです。仕組みを理解することで、より具体的なイメージを持ちながら取り組むことができます。
ストレスの多い社会で、自律神経のバランスも乱れやすい今を生きる私たち。5月だけでなく、日常生活にこの「片鼻呼吸=ナディーショーダナの呼吸」を取り入れることで、エネルギーが循環し、心身ともに安定した、より快適な毎日を送ることができるかも知れません。