昨年から、新型コロナウイルスの流行により、うつ病を発症したり、日常的にうつ症状を感じたりしてしまう方が多いようです。そんな中、近年うつ病やうつ症状の緩和や改善にヨガが効くといういくつかの研究結果が発表されていることをご存じでしょうか?
今回は、ヨガとうつ病をテーマに解説します!
精神的な不調とヨガの関係
皆さんご存知のとおり、ヨガは身体の姿勢、呼吸の制御、瞑想を組み合わせた古代の東洋発症のもので、各ポーズの強度、持続時間が異なるいくつかのスタイルがあります。
そして、ヨガはうつ病の効果的な治療法であると複数の研究で結論付けられています。
研究結果からみる精神的な不調とヨガの関係まとめ
持続性うつ病の女性に対する補助療法としてのヨガの長期的有効性が発見されています。ヨガは周産期のうつ病の緩和にも有効性を示しましたが、周産期の症状には、運動よりも瞑想と呼吸制御に重点を置いたインテグラルヨガ※1が効果的でした。
不安障害の治療においては、ハタヨガ(米国で最も一般的なスタイル)がより重度の人に最も効きました。ただし、全体的な効果は比較的小さかったため、認知行動療法、行動療法、選択的セロトニン再取り込み阻害剤、または他の抗不安薬などの補助療法として使用するのが最適です。
いくつかの研究は、ヨガは無治療と比較して不安症状を軽減するのにより効果的であるかもしれないことを示唆しています。また、ある研究では、単剤療法または補助療法としてのヨガがパニック障害の治療に有効であることが示されました。
ヨガの最適な期間や頻度を決定するのに十分な証拠はありません。初期の研究では、ヨガを週に1、2回行った場合、うつ病の症状の軽減に違いは見られませんでした。ただし、より頻繁にヨガをすることは不安症状の軽減に寄与します。3〜24週間で、頻度は1週間に1回から毎日、1回40〜100分継続することで変化が現れました。
ヨガはうつ病のひとつの治療法として提案できますが、うつ病と不安障害の補助療法とするのが良いようです。
最適な頻度と期間は不明ですが、研究では週60分のセッションで症状が軽減することが示されています。
- ※1 インテグラルヨガ(Integral Yoga):1966年にスリ・スワミ・サッチダナンダによって紹介されたハタヨガのスタイル。リラクゼーションや瞑想とともに、ゆるやかなハタヨガのポーズを行う。ヨガの教えを日常生活に統合することが目的。
うつ病や不安神経症の治療に対するヨガの有効性の研究一覧
- うつ病や不安の症状がある人の通常の治療(治療の有無にかかわらず)と比較して、6週間にわたって週に60分のヨガを行った場合
- 軽度から中等度の大うつ病性障害のある治療歴のない人々におけるヨガの研究
- うつ病および/または不安の症状のある年配の女性におけるヨガの研究
- 心的外傷後ストレス障害のある男性兵士におけるヨガの研究
- 低頻度のヨガ(週に2回の90分セッションと3回のホームセッション)と高頻度のヨガ(3回の90分セッションと4回のホームセッション)の症状軽減の違いの比較
- 大うつ病性障害に対するヨガと対照の比較
- 持続性大うつ病性障害のある人々における補助ヨガと健康維持管理の研究
- 周産期うつ病に対するヨガの研究
- 不安に対するヨガの研究
- うつ病および不安のある女性における研究(毎週vs.週2回のヨガvs.コントロール)
- パニック障害のある人におけるヨガvsヨガプラス認知行動療法の比較
- 不安のある女性における研究(リラクゼーションを伴うヨガvs. インテグラルヨガvs.非アクティブコントロール)
- 乳がんと併存する不安障害の女性におけるヨガと通常の治療の比較
結論
不安やうつ症状の緩和にはインテグラルヨガが最も効果的なことが発見されています。ステイホーム期間が長引き、心身の不調を感じていらっしゃる方はインテグラルヨガを日常に取り入れてみてはいかがでしょうか。
※ヨガは治療ではなく、あくまで補助的なものです。症状が持続的で日常生活に影響を及ぼすレベルの方は専門医の受診をおすすめいたします。通院中の方は必ず医師の指導のもと、ヨガなどの運動を行ってください
参考資料
- Sy Atezaz Saeed , Karlene Cunningham et al. Depression and Anxiety Disorders: Benefits of Exercise, Yoga, and Meditation 2019