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万物は木・火・土・金・水から成るという考え方、五行説。今回のキーワードは、『魄(はく)』です。
五行には、精神活動を主る(つかさどる)五神、魂・神・意・魄・志があり、『魄』は、木・火・土・金・水の 中で『秋』と同じ『金』に属します。
『秋』は、『魄』について学び、エネルギーを整えることに適しています。
『魄』の働きとは
東洋医学では、五神のバランスが整っていれば、五臓六腑のバランスも整うと考えられています。
魂・神・意・魄・志、それぞれに役割があります。
その中で『魄』は動物的本能と深い関係があり、味覚、嗅覚、聴覚、視覚、触覚、といった知覚、感情を主っています。
感覚は一瞬一瞬にフォーカスすることなので、『魄』のバランスが取れていると、マインドフルネス、今ここに集中できるようになります。
反対に、バランスが崩れてしまうと、過去に引きずられ、後悔や未練といった感情が増幅してしまいます。
『魄』と『皮膚』と境界線
『魄』は『皮膚』と同じ『金』に属し、『皮膚』は、身体の内側と外界との境界になります。
このことから、『魄』にも境界線の働きがあり、『魄』のバランスが整っていると、人との距離感を程よく保つことができます。
バランスが崩れると境界線が曖昧になり、人の言葉に傷つきやすくなったり、心理的な影響を受けやすくなったりします。
また、『皮膚』のトラブルが起こりやすくなります。
『魄』と呼吸
『魄』は『肺』と同じ『金』に属することから、呼吸に影響を与えます。
呼吸も今この瞬間に行われ、吐く息で手放し、吸う息で受け入れるということを繰り返しています。
『魄』のアンバランスは、呼吸器系の不調を引き起こします。
『秋』は呼吸にフォーカス
『魄』が属する『金』は、変化することや余分なものを取り除くという特性があります。
『金』に属する『秋』に、呼吸で不要なものを排出していくと、寒い冬も健康に過ごすことができます。
呼吸と関係する『鼻』と『肺』も『金』に属するからです。
中医学の1つである気功では、特に『鼻』 から吸って、口から吐く呼吸に浄化力があると考えられています。
冬は春に備えてエネルギーを蓄える季節になります。蓄えの季節の前に心身をクリアーにしておくと、純粋なエネルギーを蓄えることができます。
『秋』にお勧めのアレルギー対策
『鼻』のアレルギーは、『金』と関係しているので、『秋』の『鼻』のアレルギー対策は有効です。
ロシアの科学者、コンスタンチン・ブデイゴが気功とヨガの呼吸法を科学的な側面から研究し、生み出した『鼻』のアレルギー症状の緩和に繋がる呼吸法をお伝えします。
10分間の浄化の呼吸法です。
- 深い鼻呼吸を3回行います
- 鼻をつまみ、息を止めます
- 20秒間、鼻をつまんだ状態で歩きます
- 鼻を解放し深い呼吸を行います
- 1分間お休み 1~5を6セット行います。
ライオンのポーズで『魄』を整える
気功の中で五禽戯という5種類の動物の動きをもとにした健康法があり、『金』に属するのは『虎』になります。
『虎』の動きでは、息を吐く時に、思いっきり舌を出し、余計な感情を外へ出していきます。
ヨガのライオンのポーズに通じるものがあるので、ヨガクラスの中にライオンの ポーズを入れることも、『秋』のヨガシークエンスとしてお勧めです。
『肺』と『大腸』の経絡をタッピング
自然界を反映している私達の身体は、自然界と調和することで、沢山のエネルギーを頂くことができます。
私たちの身体に存在するエネルギーネットワークが経絡です。この経絡の流れがスムー ズになると自然界との調和力が高まります。
特に『秋』に整えると良い経絡は、『肺』と『大腸』 の経絡です。
『肺』の経絡は、鎖骨の下から始まり、親指で終わります。
『大腸』の経絡は、人差し指から始まり、反対側の鼻の外で終わります。
この2つの経絡をタッピングすることで、気の滞りが解消され、不調が起きにくい心と身体を作る ことができます。
参考資料
- 中医学基礎理論 上海中医薬大学附属日本校
- YOQI yoga+qigong MODULE:1 QIGONG FUNDAMENTALS TRAINING WORKBOOK