山の上に安楽座で座る人と「文学も、ヨガも、人生だ」のタイトル

文学も、ヨガも、人生だ

こんにちは!丘紫真璃です。

さてさて、『丘紫真璃ってどんな人?』に続いて、今回は、どうして『ヨガで文学探訪』というコラムを書くことになったのか?という理由について、今さらながら語らせていただきたいと思います。

読書は瞑想

夕焼けの公園で読書をする女性

ヨガインストラクター講座で瞑想体験をした私は、物語を考えるということは瞑想をしていることと同じだったんだという驚きの発見をしました。

その発見でヨガにつくづく興味がわいてきた私は、『ヨガ・スートラ』の解説本をあれこれ買い込んで、しげしげと読んでみたのです。

瞑想体験をするまで、私は瞑想といったら座禅を組んで目をつぶってじーっとするものだと思い込んでいました。

でも、『ヨガ・スートラ』を読むと、瞑想は座禅を組まなくても始めることができるんだということが改めてわかりました。

『ヨガ・スートラ』には、瞑想とは1つのことに集中することから始まるものだと書いてあったのです。

例えば、科学者がミクロの生物に集中して向き合って実験を行っている時、それは瞑想といえるわけです。

水泳選手が自分の手先から足先に至るまで神経を集中させて泳ぐ時、泳いでいることそのものが瞑想です。

春の夕方、庭先でただ無心に雑草を引き抜くことだって瞑想ですし、ひたすら玉ねぎのみじん切りに集中している時だってそれはもう瞑想です。

日常生活の中で、知らないうちに、すごく自然に瞑想を行っていたのです。

そこまで知った時、物語を考えることだけではなく、読書をすることだって瞑想なんだとわかってきました。

本のページを開き、そこに書かれている文章の世界に没頭することは、まさしく瞑想そのものです。

読書をするということは、ヨガをしていることと同じだったんです。

ヨガは心を見つめるもの

部屋の中で胸に手を当てて座る女性
『ヨガ・スートラ』に書いてあったことは、瞑想だけではありませんでした。

そこに書いてあったのは、ストレスだらけの人生をどうしたら穏やかに乗り切ることができるのか、そのテクがあれこれ書いてあったのです。

例えば、有名なところでいえば、呼吸ですよね。

怒っている時にはすごく息を吸い込んでいるものだから、フーッと吐くといい。フーッと息を吐くと、不思議なことに怒っていた心も静まると書いてあるわけです。

つまり、呼吸と心はつながっているから、呼吸を整えることで心も自然に整うんだよということが書いてあるんですよね。

イライラした時には心が楽しくなるようなものを見るとイイということも書いてあります。

例えば、キレイな花とか、赤ちゃんの笑顔とか、可愛い犬やネコとか何でもいいんですけれど、何かしら心が明るくなるようなものを見ることで、心は落ち着くよということも書いてあります。

ヨガが始まった6,000年前から人間には苦しいことがたくさんあって、それでも人はどうにかして穏やかに人生を乗り切りたいと思っていたんだ。だからヨガを考えたんだ。ということが、『ヨガ・スートラ』を読んで、私にもようやくわかってきたのです。

『インテグラル・ヨーガ パタンジャリのヨガ・スートラ』の著者であるスワミ・サッチダーナンダは、ヨガは人間の心をものすごく研究しつくしたものだと書いてありましたけれど、本当にその通りだと思います。

ヨガは、人間の心というものを深く見つめるものなんだということを、私はやっと知りました。

ヨガも、文学も、人生だ

開いた本から海や野原の世界が広がっているイラスト
ヨガというものがどういうものなのか分かった時、私はヨガと文学という全く共通点のなさそうな2つが、実は深く結びついているのではないかと思い当たりました。

文学は、人生という舞台の上で、人がどんな風にして笑って泣いて、悲しんで怒って、苦しんで、悩んで、そして成長していったのかということを言葉にして描き出したものです。

文学は人生そのものなんです。

そしてまた、ヨガも人生そのものだと言えるでしょう。

人間がどんな風に人生を生きていけば良いのか、それを研究しつくしたものがヨガなのですから。

文学も、ヨガも、人生そのものだとしたら、一見何の関係もなさそうなこの2つが、実は深く結びついていたのは考えてみたら当たり前のことでした。

私はまだまだヨガ初心者です。

文学についてもまだまだ知らないことだらけです。

それでも、物語を書いて文学に携わり、ヨガインストラクター講座でヨガを学んだものとして、文学とヨガのつながりについて書いてみたくなったことが、「ヨガで文学探訪」のはじまりでした。

連載85記事ほど書かせていただいていますが、名作と呼ばれる作品が必ずといっていいほどヨガと深くつながっていることに毎回驚くばかりです。

これからも、「ヨガで文学探訪」にお付き合いいただければ、うれしく思います。