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マスター・ヨーダとは?
台詞の前に少しおさらいしましょう。『スターウォーズ』は、暗黒面(ダークサイド)の心を持つ人々と、平和と中立を重んじる光明面(ライトサイド)の人々との戦いを描いたスペースオペラ。その作中で、ライトサイドの指導者として位置しているのがマスター・ヨーダです。
かつてはライトサイドの戦士・ジェダイの育成をしており、人として正しく在ることを若いジェダイ達に説き続けていました。彼の言葉の数々は、ヨギーとしてどう生きるべきかを教えてくれるヨガの哲学を連想させます。
1:やってみるではなくやるかやらないか
No. Try not. Do or do not.
「やってみる」ではない。やるかやらないか、じゃ。ーエピソード5/帝国の逆襲より
沼に沈んだ戦闘機をフォースで引き上げるよう、ヨーダから指示を受けたルーク・スカイウォーカー。半信半疑で「やってみる」といったところ、ヨーダがこの言葉を放ちました。
この言葉は、ヨガの「アヴィヤサ(修習)」にとてもよく似ていますね!「やってみる」という探りながらの姿勢ではなく、まずは「全力でやる」ことを教えています。
自分のやることに疑いや不安を持たずに実践すれば、結果はどうあれ自分のためになるはず。ルークがヨーダに叱られたのも、やる前から考え過ぎな部分だったのかもしれませんね。
2:戦いは人を偉大にしない
Wars not make one great.
戦争は人を英雄になどせんよ。ーエピソード5/帝国の逆襲より
「クローン戦争時の英雄的なジェダイ」としてヨーダを訪ねていったルークに対し、ヨーダが返した言葉です。ヨガでは「アヒムサ(非暴力)」という言葉があり、「アヒムサに徹したものの側では全ての敵対が止む」という教えがあります。
ジェダイは本来平和と正義の調停者。戦いではなくまずは話し合いにより解決を図ります。そしてこの言葉だけでは分からない、「どうしたら戦わずにいられるのか」もストーリーを追っていくと随所にヒントがあります。
ヨガのアヒムサが、他人だけではなく自分自信も追い込んではいけないという意味が含まれているのがポイントです。気になる方は探してみてください!
3:恐怖はダークサイドに通じている
Fear is the path to the dark side. Fear leads to anger, anger leads to hate, hate leads to suffering.
恐怖はダークサイドに通じておる。恐れは怒りに、怒りは憎しみに、憎しみは苦しみに通じておる。ーエピソード1/ファントム・メナスより
故郷を離れ、ジェダイとなるためにヨーダと顔を合わせた幼い頃のアナキン・スカイウォーカー。彼の心の中の不安を見抜き、ヨーダが放った言葉です。
ヨガの瞑想に通じる大変興味深い台詞です!ヨガでは、様々な心の動きが邪魔をして、本来の自分を見失ってしまうと言われています。特に「ドゥヴェーシャ(憎悪)」や「ドゥッカ(苦しみ)」は私たちの心を曇らせてしまう大きな要因です。ヨガでは瞑想により、この苦しみの元を鎮めます。
常に公正な判断を求められるジェダイにとって、自分をきちんとコントロールできることは重要だったのですね。
4:死は生きることの一部
Death is a natural part of life.
死は生きることの一部じゃーエピソード3/シスの復讐より
ジェダイナイトとして成長したアナキン・スカイウォーカー。彼の強すぎるフォースが見せた予知夢により、妻であるパドメ・アミダラに死が迫っていることを知り、どうにか防ぐ方法をヨーダに相談しました。ヨーダは、死にとらわれないことをアナキンに説きます。
ヨガでは「アヴィニヴェーシャ(生命欲)」という言葉があります。生命に対する執着心が苦しみを生み出すため、なるべく取り除くべきものとして説かれています。しかしながら、賢人でさえも持つと言われる生命欲。アナキンは結局苦しみを取り除くことはできなかったことから、ヨーダほどの人物でも納得させることの難しさがわかる、非常に感慨深いテーマです。
5:全ては繋がっている
You must feel the Force around you. Here, between you…me…the tree…the rock…everywhere! Yes, even between this land and that ship!
フォースはお前とわしの間にもある。木にも。石にも。いたる所にある!この大地と戦闘機の間でさえも。ーエピソード5/帝国の逆襲より
フォースの力を信じられないでいるルークに対して、ヨーダが教えた言葉です。どんな物体同士の間にもフォースが存在していると言います。
ヨガという言葉も、そもそも「繋ぐ」という意味のサンスクリット語「ユージ(Yuj)」に由来します。ポーズ名に生き物や自然の名前が多く、「ヒコーキのポーズ」といったアーサナがあるくらい、あらゆるものとの繋がりを大切にしています。自分一人でなんとかしようとせず、周りを見回してみると、思わぬ力が発揮できることを教えてくれているのかもしれませんね。
スターウォーズは東洋哲学がヒントに
実はスターウォーズシリーズの監督であるジョージ・ルーカス氏は心理学者・ユングの哲学の流れを汲んでいます。ユングは東洋哲学を学び、ヨガの本を出版するほど深く研究をしていました。
これほどの監督、そして作品にも多大な影響を与えたヨガ。こうやって考えると、もっと深くヨガの考え方を知ってみたくなりますね。ヨガ哲学をちょっぴりハードルを高く感じる方は、ぜひスターウォーズの中でヨガとの共通点を探して、楽しみながら学んでみてください。
それでは皆様、May the force be with you!(フォースと共にあれ!)