記事の項目
ワークアウトでは肩甲骨を大きく動かせない
むしろそういう方のほうが効果は実感しやすいと思います。肩甲骨ヨガでは、最初はあおむけに寝て、微細でとろけるような動きから始めます。誰もつらくありません。そこから丁寧にステップを積み重ねていって、後半では筋肉を大きく動かすような操作も入れていきます。
最初はどんなに固まっていても、必ず「ゆるむ」実感が得られる。そうすると、ちゃんと身体がいうことを聞いてくれるようになるんですよ。
ワークアウトでいくら鍛えても、それは「アウターマッスル」。外側を固めるような筋肉なので、むしろ可動性が低くなることもあります。肩甲骨は、もっと深いところにある「インナーマッスル」を使わなくては動きません。きちんとフォーカスしてゆるめれば、きつい負荷をかけたりしなくてもちゃんと動きますし鍛えられますよ。
スポーツをやる人にも肩甲骨ヨガがオススメ!
スポーツやヨガをする人にはオススメですね。スポーツなら上達、ヨガならその質を高めるためにとても有効なんです。ランニング、ゴルフ、水泳、野球……あらゆるスポーツで、肩甲骨がきちんと動かせているか否かによって記録は大きく変わります。例えばボールを投げるにしても、肩関節から腕を振るのと肩甲骨の中心から振るのとでは、ふり幅がだいぶ違いますよね?
イチロー選手や陸上のウサイン・ボルト選手は、肩甲骨の動きにすごく気を遣っていますよ。ボルト選手のクラウチングスタートを見ていると、セットに入るときに必ず一度モリッモリッと自分の肩甲骨を出して、ゆるめています。
肩甲骨は「呼吸」の影響がダイレクトに伝わる
一番大きいのは「呼吸」を重視する点です。肩甲骨は肋骨(ろっこつ)の上に載っているので、呼吸によって肺がふくらんで肋骨が広がると、肩甲骨も動きます。自動的に動かされるんです。これが骨盤など他の場所との大きな違いでもあります。
まず、全身のバランスが調整されることですね。肩甲骨まわりが固まっていたりつまっていたりすることで、背中、腰、脚など全身が連動して姿勢の歪みが生じます。これが解消されてきます。日常のちょっとした動作も楽になるはずです。たとえば、それまで届かなかった棚の上のものが取れるとか。
さらにオイシイおまけとして、背中についた「ぽってりお肉」がとれて「シャープな背中」になる、ということがあります。肩甲骨がよく動くようにしておけば、日常の動作で勝手に肩甲骨が動いて脂肪を燃焼してくれます。わざわざ背中を鍛えたりする必要がないわけです。
プロップスは「身体を変革させるための備品」
ヨガ棒のメリットはたくさんあるのですが、一番大きいのは「使うことで筋肉をゆるませる」こと。たとえば肩に棒をかつぐポジションでは、担ぐことで腕を上げながらも僧帽筋がゆるめられるんです。
もう1つは「ごまかしが効かない」ということ。たとえば棒を使ってツイストすると、普段は身体を左右や上下に逃がしてポーズの形をつくっていたのが逃がせなくなります。だから最初はきつい。でも、それは本来使うべき筋肉をきちんと使えているということです。
こういったメリットは、プロップスを使うヨガにも共通しています。プロップスの使い方は無限大ですよ! ブロックやストラップにこだわる必要もなく、壁でもマットでも何でもプロップスになります。
私はプロップスを「その人の身体を変革させるための備品」と考えているので、むしろ積極的に使います。「届かなければ~」と言われると、「できない自分はダメ?」と思ってしまいますよね。私は「みんな使ってみて」と言います。そうしたら抵抗もなくなりますし、得られる効果は大きいです。
DVD代わりの先生はもういらない!
日本のヨガ界に思うのは、ヨガの本質を見失わずに、質の高い指導者が日本や世界へ羽ばたいていってほしいということです。
応用力のある、ふり幅の大きな指導者ですね。生徒は一人ひとりみんな違います。本当なら、生徒を目の前にして初めて話すことが決まるといってもいいくらいです。
TTで教わった知識を100%覚えて、流ちょうに説明できたってダメです。そんなマニュアルのようなクラスなら、家でDVDを観ればいいですよね。DVD代わりの先生はもういらないと私は思います。そういうことをもっともっと教えたいと思って、指導者養成講座などもやっているんですけどね。
まとめ
ヨガフェスタの出演でお忙しいなか、合間に取材を受けてくださった峯岸先生。それも、最後に語られた「後輩たち」への熱い想いがあるからなのだなぁと思いました。まずは肩甲骨ヨガやヨガ棒を体験して、その効果のほどを実感してみては?