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「委ねて、回復させる」ヨガ
「リストラティブ」とは回復させるという意味。一般的にイメージされるヨガのように自らポーズを取りにはいきません。完全にリラックスした状態を作るために、ツールを利用して体を安全に「委ねる」ヨガで、疲労した身体、ストレスにさらされた精神を元の健康な状態に導くためのアプローチです。
リストラティブヨガの必要性
急速な変化、進歩を続ける現代社会を生きる私たちは、自分でも気が付かぬうちに自然の摂理とは懸け離れた生活を送っています。深夜まで、もしくは昼夜逆転しての労働や、長時間同じ姿勢での作業などによって、本来は日照時間に連動するはずの交感神経の切り替えも乱れがちです。
ストレスや疲労をためこみがちな現代人にとって、セラピーとしても活用できるリストラクティブヨガは今後も需要が高まっていくことでしょう。
こんな人にオススメ
慢性的に心身の疲れが抜けない方はもちろん、横になったまま行えるリストラティブヨガは、体を動かすことに制限のある療養中の方や高齢者、妊娠中の方にもオススメです。
- 全身の疲れダルさがとれない
- 寝つきが悪い、眠りが浅い
- 怪我・療養中、リハビリ中の方
- 高齢者
- 妊娠中の方
- 更年期障害で悩んでいる
- 日々頑張り過ぎている
アイアンガーヨガから派生
アイアンガーヨガの指導者でもある理学療法士のジュディズ・ラサター氏によって90年代に考案されました。アイアンガーヨガでは効果的に補助道具(プロップス)を用いることで、段階的に骨格や筋肉を正確なポーズが取れるように高めていきますが、ラサター氏によって、そこから派生したものがリストラティブヨガです。
プロップスに身を「委ねる」
リストラティブヨガでは、ボルスター、ブロック、ストラップ、ブランケットなどのプロップスを積極的に用い、最大限に心地よい状態を作ります。この状態で深い呼吸を繰り返し、リラックスすることで不調を取り除いていきます。
ただ静止しているのではなく、様々な体勢でゆっくりと圧迫やリリースを体に与えたり、ねじりを加えたりすることで、血流の改善や背骨の矯正も行います。これこそが「究極のリラックス法」とも呼ばれる所以です。
代表的なポーズ
壁に脚を上げるポーズ
頭を少し低くした無理のない逆転のポーズ。血流を良くし、足腰の疲れやむくみも軽減します。
仰向けの合せきのポーズ
股関節と胸を心地よく開くことで深い呼吸を導き、血流を改善。心地よい開放感を味わうことができます。
講師に求められること
リストラティブヨガでは講師が癒しを提供するのではなく、体験者の内側からのリラクゼーションを引き出します。また、必要な人ほど「自分には関係がない」と考えている人が多い分野でもあります。ですから、プロップスの使い方や解剖学はもちろんですが、リストラティブヨガの必要性も伝えられるということも重要です。
専門の講座を受けるだけではなく、講師自身も十分に経験を深めることや、ストレスの原因などに意識を向けておくことも大切になってくるのではないでしょうか。
日常に取り入れることで日々の健康維持につながり、一方で、セラピーやリハビリにも活用されているリストラティブヨガ。今後もますますニーズが高まっていくことでしょう。