ヨーコ・フジワラ先生

【後編】何があっても、マットの上は“安全な場所”だから。~ハワイ・サンガワイ代表ヨーコ・フジワラ先生インタビュー〜

ハワイ×ヨガの生活はどんなふう?

ハワイでは、毎日どんな生活を送っているんでしょうか? 以前、ヨガジェネレーション代表、酒造との対談の際に、「ひものついている靴が1足しかない(あとはすべてビーチサンダル)」とお話しされていたのが印象的でした。
ヨガジェネレーションのロゴ
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ヨーコ・フジワラプロフィール写真
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そうですね、毎日ビーサンとヨガウェアです(笑)ウィークデイは、朝5時半に起きて30分座禅を組んで、7時~8時はホテルで教えています。その後、午前中はスタジオで2~3時間自分のプラクティスをして、午後はフリータイムです。夕方に3時間ほどPurple Yogaで教えて、夕食後、22時くらいには寝ますね。

フリータイムは、プライベートのお客さんに教えたり、友人と会ったり、食事や海に行ったり……。日曜は午後だけ、土曜は完全オフにしています。

“いい先生”と“そうじゃない先生”の違いはどこにある?

ヨーコ・フジワラ先生
ヨーコ・フジワラ先生
ヨーコ先生ほどになっても、毎日2~3時間ヨガを練習するんですね!
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ヨーコ・フジワラプロフィール写真
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私はわりとしっかり練習時間を確保しているほうかも。それができないようなお仕事の依頼は、申し訳ないけど断っています。だって、ヨガを教えるのはすごく好きだけど、自分がやるのはもっと好きなんですよ!

それに、「練習しないで教えるのはダメじゃない?」というのが私の持論。経験したことを伝えるのが、ヨガの先生だと思っているから。いろんな考えがあるとは思いますけどね。

確かに、自分が「たくさん練習したい!」と思わないものを人に教えているような先生は、なんだか信用できません。
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ヨーコ・フジワラプロフィール写真
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今はビジネスとしてヨガの先生の需要もたくさんあるし、ティーチャートレーニング(以下、TT)を受けに来る人の中には「ヨガの先生=格好いい」みたいなイメージで来る人もいます。そうすると、「えっこんなに練習しなきゃいけないの?」と思うかもしれない。でも結局、“いい先生”と“そうじゃない先生”の違いは「ちゃんと練習して経験から教えているかどうか」じゃないかと思うんですよね。

教えることは、おもしろい!

アジャストするヨーコ・フジワラ先生
アジャストするヨーコ・フジワラ先生
先生にとってヨガを“教えること”と“練習すること”は、常にリンクしているんですね。
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ヨーコ・フジワラプロフィール写真
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うん、そうですね。長く教えれば教えるほど、教えるための“引き出し”の数は増えますよ。でも、同じ引き出しばかり使っているとおもしろくない。ちょっと語弊があるかもしれないけど、教えることにエキサイトしたいじゃないですか。

だから例えば「今度のTTでは、この夏に自分が座禅で経験したことを上乗せして教えよう」とか、生徒さんの反応によっていろいろ変えています。

3種類のインストラクター像

チェーン展開をしているようなスタジオだと、マニュアルがきっちり決まっていて「どの先生のクラスを受けてもほとんど一緒」ということがあります。先生の教え方は、それとは真逆ですね。
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ピンクのウエアでポーズするヨーコ・フジワラ先生
ハワイの大自然の中ポーズするヨーコ・フジワラ先生
ヨーコ・フジワラプロフィール写真
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私も最初はマニュアルをびっちり作っていたんだけど、だんだん「こう言ってみたらもっと伝わるんじゃないか」とか、試したくなっちゃって(笑)インプットとアウトプットに関しては、たぶん3種類の先生がいると思うんですよね。

  1. ヨガがうまくて、教えるのもうまい
  2. ヨガがうまくて、教えるのはヘタ
  3. ヨガがヘタで、教えるのがうまい

この3つのうち、マニュアル通りに教えるなら3でもいけるのかもしれないけど、私はちょっとイメージできないなぁ。2は結構いますよね。先生自身はヨガを極めているんだけど、伝えるのがヘタだったりちゃんと伝えるつもりがなかったりすると、独りよがりになっちゃって生徒はついていけない。

私は一応1だと自負しているんだけど、そのためには、生徒さんそれぞれに伝わるよう表現を変えることが大事だと思うのね。「このアプローチでダメならこっちからいってみよう」と。その表現のバリエーションって、自分のプラクティスがないと出てこないんですよ。

プラクティスは”聞く準備をすること”でもある

“引き出し”を増やすためにも、プラクティスが大切なんですね。
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ヨーコ・フジワラプロフィール写真
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そうね。あと、同じ相手に同じ言い方をしたとしても、ヒットする時としない時がある。これは私も経験があるんだけど、練習中に「あ、これってキャシーが言っていたあれね!」って気づいたことがあって。それを彼女に伝えたら「ヨーコ、それはずっと前からあなたに言っていたじゃないの」と言われたの(笑)。

“聞く準備ができていないと聞こえない”ことって、結構あるんですよね。だから、教えるのって楽しいんです! こんなに毎日好きなことをやれる仕事で、本当にありがたいですよ。

“マットの上は安全”だから、ヨガでは安心していろんな感情を出して

大自然の中でポーズするヨーコ・フジワラ先生
大自然の中でポーズするヨーコ・フジワラ先生
最後に、日本でヨガをする人たちにメッセージをお願いします。
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ヨーコ・フジワラプロフィール写真
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一番伝えたいのは、“自分らしくいていい”ということ。簡単なことだけど、難しいですよね。つい人と比べちゃうし、日本だと周りの視線が気になったりもするし。でも、いい先生のもとでヨガを続けていると、“自分は自分でいいんだ”って思えるようになるはず。ヨガを続けていると「自分の腕の長さはここまでだ」とか「股関節はここまでしか開かないわ」とか、どうにもならない自分の“固有のもの”に気づくでしょ?

プラクティスのしかたもすごく性格が出ますよ。負けず嫌いの人はすっごく頑張るし、いい加減な人はすぐあきらめるし、強引な人は強引。でも、ずっとは続かないと思うんですよ。特にアシュタンガなんてきついプラクティスだから。そこで、だいたい2つに分かれます。1つはヨガをやめてしまう。

もう1つが、“自由になる”です。「あれ、自分は何を今まであがいていたんだろう?」とか「今までなんて適当だったんだろう」とか、ふっとゆるんだときに自分自身の生き方にも気づいて、すごく自由になれるはずです。

ヨガを通じて、そこにたどり着いてほしいということですね。
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ヨーコ・フジワラプロフィール写真
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ヨガスタジオやマットの上は“安全な場所”だから、それができると思うのね。マットの上なら、どれだけイライラしても悔しがっても、逆に喜んでも、誰も相手にしないでしょ?

現実社会でそれをやると、周りを傷つけたり気をつかわせたりするかもしれないけど、マットの上なら、どんな感情を出してもいい。

そうやって続けるうちに、マット上の経験が現実社会にも反映されるようになると思う。マットの上で行動を修正すれば、日常の行動も修正されるようになるわけです。これは私も経験してきたことだし、誰でも確実にそうなると思いますよ。ただし、“練習を続けていけば”ですけどね!

笑顔のヨーコ・フジワラ先生と受講生
笑顔のヨーコ・フジワラ先生と受講生
ヨーコ先生の語る言葉は力強くてあたたかくて、(行ったことないけれど想像するに)オアフ島の太陽のようです。その芯となっているのは、プラクティスの積み重ね。先生がつくる“安全な場所”に、私も行ってみたい!と心から思いました。