バクティヨガ2:日々の生活の中で献身の心を養う

バクティヨガ3:生活の中で5つの気持ちを養う

あらゆるところに私を見出して…友人のように私を愛して…最愛の人のように私と踊って…子を抱くように私を抱きしめて…真なる自分の魂に尽すかのように私に仕えて…

バクティヨガは感情・気持ちのヨガ

感情は人生経験の大部分を占めています。喜び、幸せ、愛といった感情は、安らぎや達成感を与えてくれます。反対に、怒りや悲しみ、恐怖心のような感情は扱いにくいものです。

バクティでは、美しさや難しさに関係なくどんな感情であろうと全て、私達の人生を描くためのパレット上の色とりどりの絵の具と捉えています。

感情を抑えたり、否定したり、逆に囚われ過ぎてしまっては、今という瞬間から意識が離れてしまいます。バクタとして、お庭に咲き乱れるお花を扱うかのように自分の感情をいつくしみ育ててあげるといいでしょう。

毎日の生活の中で養っていける5つのバヴァ(気持ち)

1:あらゆる所に、あらゆるものに、神性を見出しましょう

生い茂った緑の濃い葉
葉1枚1枚も科学的にみれば振動する粒子の固まり

人工のもの、自然のもの、私達の身の回りに存在するもの全ては、地・水・火・風・空の五元素で成り立っていることを知っていますか?五元素は母なる自然からの贈り物です。

葉っぱは一見、固体に見えるかもしれませんが、科学的にみれば振動する粒子の固まりです。葉っぱだけでなく、全ての物質は顕微鏡レベルで観察すると動いている事が科学的に証明されています。

ヨギたちはこの振動をシャクティ(エネルギー)と呼び、このシャクティの存在を認めることで、人生に更なる神秘や美しさを可能にしてくれるのです。

実践:

次に何かを口にする時、その食べ物は神聖なるエネルギーによって出来ている事を思い出しましょう。家族や友人と意見の不一致で衝突した時、彼らも神聖な存在であり、私達同様、それぞれ自分なりのベストを尽くして生きているだけなのだと思い出しましょう。地下鉄に乗った時、電車を作り上げている五元素全てと繋がってみましょう。触れるものすべてが神聖なのです!

2:友人に対する愛情深い態度を育みましょう

友情は人生において大きな役割を果たしています。子ども時代の友情は、安全で遊び心あふれた環境の中で自己を見出し探っていく助けとなります。大人へと成長していく過程で、楽しい時を一緒に分かち合ったり、大変な時に支えてくれるのも友人です。

良い友達でいるのは大切なことです。この内なる友情の気持ちを養うと、忠誠心という形で現れる愛と結びつくことが出来ます。誰かに忠誠であることは、自分自身を信じる心の余裕をも作り上げます。

実践:

誰かに対して良い友達であるとはどういうことなのか、心に聞いてみましょう。また、反対に「自分にとってこの人は良い友達だな」と思わせるのはどういうことなのかも考えてみましょう。友情は自然で無理のないものであるべきです。次に友達と過ごす時、その友達に対してどうしたらより良い友人になれるだろうかと意識しましょう。そうすることで自分自身との仲も深まるはずです。

3:子に対する母親の気持ち

赤ちゃんの指先に優しくキスする母親
子に対する母親の愛は無限であり果てしなく献身的

母と子の姿を見て瞬時にその繋がりの深さを感じ取ることのできた瞬間が誰にでもあるはずです。子に対する母親の愛は無限であり、果てしなく献身的です。身の回りの全ての人を自分の子どもとして捉えることで、寛容に、愛情深く人に接する助けとなるでしょう。

母親の愛を育む、それは、どんなにひどく泣いていても、ありのままで完璧なんだとわかってくれるまでキスして抱きしめてあげる、全世界を腕いっぱいに抱えて愛する気持ち。

実践:

私達には皆、母親がいます、いました。母がどれだけ自分を愛してくれているか、愛してくれていたかを思い出し、敬意を示す時間を今とりましょう。母の心から自分の心にしみ込んでいく愛を感じます。その繋がりの温かさ、心地よさを味わいます。今感じているこの温かい気持ちを自分自身、そして世界に向けて発します。愛の波となって自分を超え、友人に、家族に、更には見ず知らずの他人にも打ち寄せていきましょう。男性・女性関係なく、母親の愛を通して、私達全ての心をつないでくれる偉大なる愛を思い出しましょう。

4:恋人に接するような気持ち

クリシュナと恋人
クリシュナと恋人

官能性やセクシュアリティは最も魅惑的な愛の形です。バクタは人生に喜び、快楽を受け入れ、そこから生まれる気持ちを育みます。恋人といるときに感じる気持ちは時に恍惚的で耐えがたいほど強いものがあります。セクシュアリティは内なる神性へと私達を導き運んでくれる力ですが、愛の交歓や快楽は恋人とのあり方のほんの一部にすぎません。

お互いの話に耳を傾け、抱きしめあい、ただ一緒に過ごすだけでも、深い愛や安心感を感じることができるでしょう。

実践:

恋人と向かい合って座り、お互いの目を見つめあう時間をとってみましょう。呼吸のリズムを一緒に合わせ、相手に対する愛が心いっぱいに満ちていくのを感じましょう。わきあがる感情を全て心にとどめます。愛する恋人を神聖な存在として見つめます。相手を知ることは、自分自身を知るということです。恋人がいない場合でも、神聖なる最愛の恋人を思い浮かべ、上に述べたように実践しましょう。恋人の有無に関わらず、バクティヨガが目指すのは、世界を最愛の存在として捉える姿勢です。

5:奉仕の心を取り入れる

奉仕は他者に対する愛情を示すのにすばらしい方法です。自己を顧みずに人に与えるとき、ハートが開きます。人のために働くと、自分自身の問題から離れ、自分だけでなく誰もが苦しみを抱え、誰もが支えを必要としていることを思い出すことが出来ます。

実践:

どうしたら人に奉仕することができるでしょうか?誰かを助けるのに自分が今週出来ることを3つ挙げてみましょう。知り合いの誰かでもいいし、全くの他人に対してでもいいでしょう。愛に仕える者の気持ちで自分の時間とエネルギーを捧げると、何千倍にもなって自分に返ってきます。

寺院に供えられたたくさんの花
奉仕は他者に対する愛情を示すのにすばらしい方法

献身にはげむ者、純粋な魂をもち、自らの思考や感覚をコントロールする者は、皆を慈しみ、皆に慈しまれる存在。休むことなく絶えず献身に努めるが、決して(人生の網に)もつれることはない。

レイチェル・ジンマン バクティヨガ
レイチェル・ジンマン

文:レイチェル・ジンマン

世界でも有数のパワースポットと呼ばれるオーストラリア・バイロンベイに拠点をおき、日本をはじめインド、バリ、ヨーロッパと世界中で活躍するヨギーニ。ヨガ歴20年以上指導歴18年のベテラン講師で、毎年バイロンベイにて日本人向けヨガインストラクター養成コースを開講、今年で9回目を迎える。彼女の実践するバクティヨガは「愛」のヨガ。ヤントラ(形)やマントラ(音)、ムドラ(印相)を用いてヨガに深みを与えることで、アーサナに偏りがちなヨガからホリスティックなヨガへと導いていく。近年ではヨガインストラクターとして更に成長していきたい方のための上級者向けリトリートをバリにて開催するなど、継続的な指導に力を注いでいる。