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愛には常に何らかの狂気がつきものだ。しかしながら、狂気にも常に何らかの理由がついてまわるのだ。
ー ニーチェ
恋愛は人生に生きがいを与えてくれるすばらしいものの1つ
恋に落ちると、周りのものが全て輝き始め、最愛の相手に畏敬の念を抱くようになります。恋に落ちた直後の魔法の波が収まった後もロマンチックな愛を維持し続けるのはなかなか難しいものです。
バラの花びらが時間と共に切なくしおれていってしまうように、愛も薄れていってしまうことが多いでしょう。愛は私たちを神聖なる岸辺に導き運んでくれる舟だとバクティヨガは教えます。愛なくては、空っぽに感じ、途方にくれてしまうのです。
愛の狂気と紙一重な献身的行為
バクティヨガのあらゆる面が、愛を育み、愛を思い出させてくれる設計になっています。神聖なるものの名を歌う行為は、恋人を求めて何度も何度も呼びかけるようなもの。
例えば、インドでの話。ヴィシュヌ神の生まれ変わり化身の一人といわれるラーマの名を、10年間継続して唱え続けている場所があるそうです。これって愛のなせる行為それとも狂気沙汰?愛の狂気がこれほどまでに献身的な行為に向かわせるの?と思うかもしれません。
愛に狂うのはバクティの目指す先の1つ。なぜなら、神聖なるものへの愛が揺るぎない時、そこで感じる愛、返ってくる愛は永遠なものだから。
自分の人生に惚れ込む!?
バクタにとっての愛は燃え盛る狂気。その愛の炎に他のもの全てが溶けてのまれていきます。皮肉なことに、こういった愛を他の何にも勝って維持することが出来れば、永遠なる至福、幸福を得られると言われています。
こう考えてみてください。自分の人生に深く惚れ込んで、神聖なものだと捉えていれば、時にどんなに辛いことがあっても、心から苦しむことはないでしょう。こういった観点からすると、神、神聖なる存在は傷のない完璧なダイアモンドのようなもの。何千もの形で愛を放ち、与えてくれるのです。
神聖なる愛への4つのステップ
日常のありふれた個人レベルの愛から、狂気じみた神聖なる愛にギャップを超えて辿り着くためには何が出来るでしょうか?
1.週に一度は何か突発的に行動しましょう
普段行かないような場所に行ったり、日課を変えてみたり、見知らぬ人に話しかけてみたり。花をつんでみたらどうでしょう?山を登ったら?とにかく自由奔放になってみる!新しいことや普段と違うことを行うと、自分自身をもっと知り、感じ、大好きなものを見つける余地を与えてくれます。
そうして沸き起こる新たな感情、気持ちを広げふくらませていくのがバクティの1つ。 どれだけ変わることができるのか、その自分の変容を楽しみ、人生の一瞬一瞬を新鮮に生きましょう。
2.恋に落ちましょう:恋愛関係だけではありません
夕日や映画、音楽、友人や家族に惚れ込むということ。自然を愛すること。恋に落ちたら、そこで終わるのではなく、さらに深く落ち続け、夢中になれてインスピレーションを与えてくれる新しい事を発見し続けましょう。惚れ込んだ対象の自然や音楽に愛の見返りを求める必要はないことを忘れないでください。
大切なのは、あなたが愛を注ぐということ。愛にほんの少し狂うにはそれで十分!
3.最愛の人のために贈り物を創りましょう
愛を表現するクリエイティブな実践です。 恋人からのプレゼントは誰もが大好きでしょう。心から湧き上がるものを贈ります。歌でもいいし、踊りでもいいでしょう。絵や詩、物語を書くのもいいし、おいしい料理やセルフマッサージでもいいでしょう。
自分自身を最愛の愛しい存在だと捉え、手作りの素敵な贈り物を自分にすることで得られる力を味わいます。お寺や教会に見られるすばらしい芸術作品の多くは、そういった愛からくる神聖な贈り物なのです。
4.感情・気持ちを認めましょう
情熱的に号泣したり、激しく笑いこけたり、怒って、必要なら枕をたたいても!感情にどっぷりのめりこんで、その奥に安らぎを見つけます。自分の本質を味わうには、ほんの少し狂ったように、性分に合わないこともする必要があるのです。
ついに出会うことが出来た、というのではなく、恋人たちは最初からお互いの内に存在していたのだ。
ー スーフィー詩人・ルミ
文:レイチェル・ジンマン
世界でも有数のパワースポットと呼ばれるオーストラリア・バイロンベイに拠点をおき、日本をはじめインド、バリ、ヨーロッパと世界中で活躍するヨギーニ。ヨガ歴20年以上指導歴18年のベテラン講師で、毎年バイロンベイにて日本人向けヨガインストラクター養成コースを開講、今年で9回目を迎える。彼女の実践するバクティヨガは「愛」のヨガ。ヤントラ(形)やマントラ(音)、ムドラ(印相)を用いてヨガに深みを与えることで、アーサナに偏りがちなヨガからホリスティックなヨガへと導いていく。近年ではヨガインストラクターとして更に成長していきたい方のための上級者向けリトリートをバリにて開催するなど、継続的な指導に力を注いでいる。