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身体は否定形を理解しない!
「ピンクの象さんを頭の中で思い浮かべないでください」と言った時、あなたの頭には何が浮かびますか。「ピンクの象」が自然に浮かんでいませんか?
認知行動学などではよく知られていることですが、人間の脳は否定形を理解できないのです。脳は「肯定形」で言われたことに反応するため「ピンクの象」を想像しないようにしても、どうしても頭に浮かんでしまうのです。ですのでヨガ指導によく使われる「肩を上げないで」「力をいれないで」「緊張しないで」などの言葉は、実はあまり効果がないのです!
ヨガ指導は「やらないこと(否定系)」ではなく「やること(肯定形)」で!
「ピンクの象」を”思い浮かべない”ことを試したら、次に「青い鳥」を思い浮かべてみてください。一瞬でピンクの象のことは忘れ、青い鳥が浮かびませんでしたか??これは「やらないこと(否定形)」を「やること(肯定形)」で直接表現すれば、人は上手く動けることを証明しているのです。
ヨガの指導でも沢山の否定形を耳にしますが、それに気づいたら「肯定形にするにはどういうインストラクションになるか?」に1つ1つ置き換えてみましょう。そしてそれをグループレッスンで試すと、すぐに生徒さんの動きが変わってきますよ!
例えば、
- 「肩を上げない」→「肩を下げる」
- 「力を入れない」→「(どこか他のところを)使う」
- 「緊張しないで」→「楽に動く」
など、やってほしいことに合わせて言葉を選んでみましょう。習慣化することで次第に自分の動きも肯定形で考えられるようになり、ヨガの指導も楽にスムーズになってくるはずです。
「力を抜く、緩める、脱力する」はヨガでは伝わらない?!
筋肉には必要に応じて「使う」か「使わない」かのどちらかのモードしかなく、「緩める」という機能はありません。なので「抜く」「緩める」「脱力する」などは、身体が動きとして理解できないことも知っておくと良いでしょう。
“動詞”でシンプルに伝える
人間の身体は「動詞」に反応して動くように出来ています。
「上げる」「下げる」「伸ばす」などの動詞に、さらにどこに向かって何を動かすかを必要に応じて加えれば、それで充分に動けるようになります。「ゆっくり」「やわらかく」「頑張る」「力を入れて」などの形容詞や副詞は身体を直接動かす言葉にはならないのです。
「リラックスして」などの言葉は雰囲気を作るのには良いのですが、これも生徒さんに効果的に動いてもらうにはあまり役立たない言葉であることも覚えておきましょう。形容詞や副詞ももちろん使っていいのですが、基本的には”動詞でシンプルに伝える!”ことが大切です。すぐに、クリアに伝わることで生徒さんがリラックスできる環境づくりができるだけでなく、ケガの防止にもつながります。
時にはレッスン中の自分の声を録音してみて、週に1つでも気づいたことから改善していくと1年後にはあなたの指導は誰よりも素晴らしく、わかりやすく、自信が持てるものになるでしょう!
千里の道も一歩から。「やってみよう!」という気持ちを大切に、試してみてくださいね。