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第3回のテーマは「本当のところ、ヨガって効くの?」
爆発的なヨガブームから次第にライフスタイルとして定着してきたヨガ。特に女性にとっては美容・ダイエットから、自分の心と体の調和やストレスとうまく付き合う1つのエッセンスとなってきているのではないでしょうか?
そこでヨガジェネレーションでは、ヨガの指導者として女性の体と心に寄り添い、第一線で活躍を続ける、産婦人科医 高尾美穂先生とサントーシマ香先生にヨガのこと、女性の心と体のこと、そして指導者としてのこれからなどをお話頂くスペシャル対談を行いました。
第3回のテーマは「本当のところ、ヨガって効くの?」です!
女性の体の悩みにヨガは何ができるのか?
脳の中の視床下部と脳下垂体という部分がストレスに対して自律神経を調節する役割をしているので、そこの緊張を緩和してあげることで、脳がストレスホルモンから性ホルモンの分泌にエネルギーを使えるようになると思います。
私もいろいろな本を読むのが好きなのですが、その中で医学生のための婦人科学の教科書の中に、女性の月経サイクルが全ての生体リズムの中でもっとも調和的なものだということが書いてあって、それがすごく嬉しかったんです。
もともと体が持っているリズムが自然に働くように、余計なノイズを少なくすることがヨガはできるのかなって思ったんですよね。
ここ数年、骨盤を整えるヨガなどずーっとブームが続いていますが、そういった筋骨格系はもちろん体にあるんですがそこにメッセージを送っているのは脳ですし、その脳は感情やストレスにダイレクトに影響を受けるので、そこのところをやっぱり緩めてあげることが重要だと思います。
もちろんそれだけは不十分で、アーユルヴェーダでいう毒素がすごく溜まっている人はそれを出してあげることが重要だし、卵管が詰まっている人はきちんと検診を受けることも大事だと思います。
そして2つ目がストレスを感知する場所。3つ目が自律神経を調節する場所。その働きのどこかに問題が起こると全てに問題が出てくるの。
そう考えたときに、一番影響を受けやすいのがストレス。大きすぎるストレスを受けることで視床下部の働きの残り2つどちらもが影響を受けてしまうの。
よくお話しする例の一つに「戦時無月経」というのがあって、第二次世界大戦の時にナチスがひどいことをして、その後約90%の女性の生理が止まったというデータがあるくらいなんです。
いずれ正確なデータが出ると思うけど東日本大震災のときも、何割かの女性が生理に不調が出たとも言われているんです。それを考えると女性の場合、ストレスと体はものすごく直結していると言えるよね。
ヨガでこの自律神経をコントロールすることがある程度可能ということがもうわかっているの。この自律神経をコントロールすることで、視床下部の働きをうまくコントロールしようというのが基本的な考え方と言えます。視床下部に働きかけることができるというのは本当にヨガのいいところだと思います。
自分に合ったヨガを続けることで見えてくること
その時間中というのはヨガのスタイルやその人の受け取り方にもよるけど、多くの人は自律神経が上手に働くような時間にできていると思います。
それが日常の生活、つまりストレスが多い生活に戻ったとしても、そういう時間を意識的に作ってあげることがいいことなんじゃないかなと思います。
ただ、今って陰ヨガやリストラティブヨガ、ヨガニードラといったタイプのヨガが脚光を浴びている一方で、動的なヨガの運動の効用というのもありますよね。そこをヨガという時間に求めるかどうかもあったりもするんだと思います。
その人が長くヨガを続けていこうとするときにこのあたりにしよう、と選ぶのもありだし毎日の練習の中で「今日はこっち寄りだな」と選んでもいいと思います。
例えば生理中には瞑想寄りにしようという、それだって十分ヨガだと思うし。それを自分の中でチューニングすればいいのかなって思います。
でもある程度健康が底上げされてきたら、違うタイプのヨガを取り入れるのもいいかもしれないなって思います。
最近面白い本を読んで、「Go Wild 野生の体を取り戻せ」というハーバード大学の臨床精神医学の教授をされている方が書いた本なんですけどね。また、その方が書いたもう一冊、別の本のタイトルには、「脳を鍛えるには運動しかない」というものがあって、こちらも興味深かったです。
内容もフィーリングではなくホルモンだったり神経伝達物質だったり、そういったエビデンスを多用していて、マインドフルネスや自然の中で過ごすこと、ある程度心拍数を上げるような運動と掛け合わせた内容がすごく面白くてお勧めですね。
私もそれを読んで走りに行きました!ウォーキングしてジョギングしてダッシュしてというのを繰り返して(笑)
自分の体、自分の日常に責任を!
当然まずそれを続けることがベース。でも自分がそれだけのおかげで変われると信じ込むことは大間違いってこと。
90分のクラスにだけフォーカスするのではなくって、それ以外があなたの日常なんだよっていうことに気づいてほしい。
静かなくつろいだ時間が日常になくて、リラックスしてと言われてもできなかったりする人が多いから、1時間でも30分でもいいから
マインドが静かになってほわーとなる時間を持つことも重要ですよね。
いち産後のママという立場からですが、静かに横になってボーっとする時間というのが圧倒的に欠けてて、本当にそういう時間があることはいろんな問題に対しても大切なんじゃないかなって思います。難しいんだけどね。
いろんな社会的な要因だとか責任とか。でも女の人ってどのライフステージでも、いろいろありますからね。
ヨガがいいきっかけになってくれたらって思います。
しかしながら、週に数回、時間にして数時間のヨガクラスで全ての不調を何とかしようとするのではなく、自分の体、自分の日常に責任を持ち、取捨選択をしていくことも同時に必要なことではないでしょうか。
プロフィール
高尾美穂|Miho Takao
産婦人科専門医・医学博士・イーク表参道副院長・
スポーツドクター・Gyne Yoga主宰
東京慈恵会医科大学大学院修了後、慈恵医大病院 産婦人科助教、東京労災病院 女性総合外来などを経て現在イーク表参道
副院長を務める。大学病院では婦人科がん(特に卵巣がん)を専門としていた。得意分野は女性スポーツ医学、婦人科内分泌。日々、婦人科外来診療・分娩などに携わっている。
幼いころよりスキー、乗馬、ソフトボール、テニス、サーフィンなど様々なスポーツに親しむ。2003年にヨガと出会い、練習をはじめる。ケンハラクマ師に師事。
IYC アシュタンガヨガプライマリーシリーズ指導者養成修了
IYC アスリートヨガ指導者養成修了
IYCウェルエイジングヨガ特別監修を担当。
日本マタニティヨーガ協会マタニティヨーガ指導資格を持つ。
婦人科医として、手術はもちろんのこと抗がん剤、放射線療法、緩和ケアを含む終末期医療など大学病院で学び、実践してきたばりばりの『西洋医学』をベースとし、趣味が高じた『yoga』、アンチエイジング医学、漢方をはじめとした東洋医学、栄養学、スポーツ医学それぞれを総合的多角的に用い、女性がよりよく歳を重ねていけるようさまざまな角度からサポートしていくことをライフワークとしている。
サントーシマ香|Kaori Santosima
学生時代よりモデルや女優などの活動をおくり、生真面目な性格もあって心身のバランスを崩す。
試行錯誤を続ける過程で自然療法に興味を抱き、出会ったヨガに夢中になる。
2002年カリフォルニア移住後、インド古来の総合的なヨガ、
アーユルヴェーダ、ヨガニードラ、ヨガセラピーを学び、Berkeley市のスタジオYoga Mandalaにて英語でクラスを教え始める。
2008年の帰国後もアメリカやインドなどを度々訪れ、
海外のシニア・ティーチャーとの研修を積み重ねている。
数々の素晴らしい先生方との出会いと、自己練習を通じて得た気づきを生かし、自らが充足し、満ちあふれた調和のエネルギーが作為なく周囲に広まっていくような、現代人の毎日を
支援するためのツールとしてのヨガが広く役立つように情熱をもって活動している。一児の母。
著書に自宅で取り入れやすいヨガ練習を提案する「カラダが 変わる たのしい おうちヨガ」高橋書店
「サントーシマ香のムーンサイクルヨガDVD (2014)」竹書房など
NHK第一ラジオ「すっぴん!」内で「ゆる~りヨガ」(2012春~2013年3月末終了)
オハナスマイルヨガ講師養成講座、スピリットヨガ講師養成講座、ビーヨガ講師養成講座など