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第4回のテーマは「ヨガ指導者としての今、これから」
爆発的なヨガブームから次第にライフスタイルとして定着してきたヨガ。特に女性にとっては美容・ダイエットから、自分の心と体の調和やストレスとうまく付き合う1つのエッセンスとなってきているのではないでしょうか?
そこでヨガジェネレーションでは、ヨガの指導者として女性の体と心に寄り添い、第一線で活躍を続ける、産婦人科医 高尾美穂先生とサントーシマ香先生にヨガのこと、女性の心と体のこと、そして指導者としてのこれからなどをお話頂くスペシャル対談を行いました。
第4回のテーマは「ヨガ指導者としての今、これから」です!
指導者としての今、未来
更年期も卵巣機能の低下によるホルモンの低下であると同時に、社会的心理要因もあると言われていたりしますよね。やっぱりそういった妊娠、出産、産後、更年期といった大きな節目で大きなダメージがきている人が今、多いと思うんです。
それらの前のところでどれだけ自分の体や心に対して、自分の車のハンドルを握り続けることができるかが重要だと思います。
自分に対して自分の主導権、いわば手綱を持っていなくて、病気になってから何かすればいいやとか、体調が悪くなったら食べ物に気をつければいいやという態度で接してきている人が多く、自分自身との関係が歪んできているような気がします。
元々の両親から引き継いだ体質や、小さいころの親の育て方がしっかりしていた人ほど、多少無理しても特に若かったらそこまで影響が出なかったことが、そういった節目で年を重ねる程に出てきていると思うんですね。複合的な要因として。
どこかで自分が自分の健康に関わっていて、自分にできることがあるんだというセルフケアの意識がもうちょっと美容やダイエットと同じくらいのレベルまでになってきてもらって、本を読んだり勉強をしたりして、ちゃんとした知識を持ってほしいと感じます。
それによってどんなヨガのクラスに行くかも変わってくるし、経験が多い先生のところに行った方がいいと思うし、少なくとも自分が感じがいいなと直感的に思うような先生のクラスに行くことが大事かなと思うんです。
なぜかというと、この前、喫茶店で仕事をしていて、隣の席で中高年の女性のグループがお茶をしながらずっと、「この前病院に行ったら何とかの数値が高くってお薬をもらって」という話や家族の病気の話を順番にしていたんです。
もちろん本当に症状が辛いときはそれも大事だと思うんですけど、何かあったときに病院に行ってお薬をもらいさえすれば全部治るという考えや、その姿勢は問題なのかなと思います。
病気になる、ならない以前に、生活の質とか家族の幸せとか全部に関わってくるから、もうちょっと早いときから自分の健康や体について目覚めてほしいと思うんです。
いろんなことに振り回されるという感覚がないにしても、決められたレールが太くなったり細くなったりしてその決まったレールの上をみんななんとなく生活していると思うの。自分で止めることもできなければ、止めようとすることもしなくて。
特に30代後半以降の人がそうなんだと思います。会社や上司から必要とされて、自分もそれが嬉しくて、それに応えたいという気持ちは
すごく大事だと思うけど、本当に自分の60年、80年の人生を考えたときに、今、本当にこれでいいのかを考えてほしいですね。
自分の体が今どうなっているのかに興味を持っていない人が多すぎると感じています。それは検診を受けようという意味だけではなく、自分の今の生理はどうなのか、一つ前の生理がいつなのか、量は多い方なのかどうか、生理痛は人と比べるのは
難しいと思うけど正常範囲といっていいのかどうか、そういうあたりですら自分で判断できていない人が多いのも事実。
だからこそ体に起きていること1つ1つの評価をちゃんと自分の中でつけてほしい。それが専門家に相談する意義だと思うし、それがわかっていれば、より良くする、それより悪くしないためにどうするかの選択肢のひとつにヨガが出てくると思います。
ひいてはそれが生活習慣、例えば夜早く寝るとかそういう単純なことでいいと思います。あとは運動不足だなと思ったら一駅歩くとか、いろんなことが言われているじゃない?その中でなにを選んでそれを続けることが大切。
単発だと駄目なのね、ヨガもそうだけど。イベント的に参加するもあっていいけれど、継続してヨガを続けられる先生を選ぶということも重要ですよね。
私がよく思うのが、アジャストがすんなり受け入れられるかがポイントかなと思います。アジャストされて違和感があるときって自分でもあれ?って思う。完全な信頼が置けてないのかなって思いますね。
そこって自分の呼吸に合わせてもらっているかとか、そういうのが若干の差になってくるんだと思うんです。アジャストが気持ちいいかどうか。そこはなんとなく自分の判断材料にできると思っています。
だってヨガって本来、誰にも触られることなく終わるものでしょ?その中で人の手が加わるのはそこ(アジャスト)だけだから、そう思うと人の手が加わることが嫌な感じになるってことは、たぶんそのクラス全体が嫌なものになってくると思うんです。
同じ指導者として思うこと
たくさんある情報は、絶対に正しいということ、ほぼ正しいということ、まず違うだろうということの3つに大きくわけられると思います。
この「絶対に正しいということ」はほぼ覆らない。だからこそ、その部分は丸々信用していい時代だと思うから、少なくともそこは勉強してほしい。どんな方法だっていいと思います。
でもインターネットだけは、誰がそれを書いているかを確認すべき。そこだけは注意してもらいたいです。誰から学ぶのかってすごく大事だと思うし、そこも自分の選択になってくると思うからこそ、責任を持った選択をしてほしいと思います。
講座受けるのもそうだし、本も沢山出てるし。みんな意外と本を読まないんですよね。輸入された本はまだ限定的だけど、雑誌とかじゃなくてちゃんとした本、医学博士や理学療法士の方が書いた本、ヨガの先生でも長いこと指導していてその分野である程度認知されている人が書いた本を読むことだと思う。
それをしないで表面的なテクニックや習ったことをそのフレーズ通りにクラスで使うようなことはすごく残念だと思う。少なくと自分の体で落とし込んだり、理解したことを伝えないとどこかでズレが生じて続けられないと思うの。
だから勉強し続けることが一番大切だと思う。
あとは自分自身が健康になることだと思う。月経サイクルを整えたりだとか、練習したり、リラックスしたり。
当然だけど信号無視しないとか。そういう社会一般のルールを守り、理想とされるような生活を送る、もちろん多少外れる日もあっていいと思うけども。先生として、こうであったらいいなと思われるような人であってほしいなと思います。
“先生”と呼ばれる人になっちゃうんだからこそ、そこは気をつけなきゃいけないと思います。教える立場であるヨガの先生を見る社会の目というのは、温かくもあって厳しくもあるんだよ、ということを知っていてほしいなと思います。
あとはスキルアップと同時に常に新しい情報を取り入れて、塗り替えていくこと、自分の知識なりスキルなりを。
上っ面だけの言葉では誰も腑に落ちないと思うんです。だからこそ自分自身も経験を積んでいくことがヨガの先生だと思うし、その中で伝えたいと思うことが出てくることも当然だと思います。それが自分に合っている道だと最高だよね。
それが本当に今、日本では大切なことだと思う。
その中で自分の向いている方向性がどっちなのか、例えばキールタンなのかマインドフルネス瞑想なのか、そういうとこって自分で時間をかけて選んでチューニングできる部分だと思います。
だからこそ、自分に合っているのはどこなんだろうというのを選んだ上で、ある程度の数の中からふるいにかけないといけないと思う。
そしてもう1つ言うならば、解剖学だったり婦人科の知識は、完全に正しいとわかっている部分に入る訳です。絶対に変わらない、10年経っても変わらないこと。そこの部分ってほとんどの方がふるいにかけて、ちゃんとふるいに引っかかる部分だと思います。
だからこそ、そういう基礎となる部分は本当は全員が学んだ方がいいと思うんです。それ以外の音のことやクリスタルボウルだったり色々あると思うけど、その中で自分に合ったものを少しずつオーナメントの中でこれを外してこれをつけようという感じで、自分でツリーを作っていけばいいんだと思います。
ヨガって本当に一生ゴールがないの。どんな有名な先生、私の先生でもあるケン・ハラクマ先生だって毎日練習しているんですから。
私たちがヨガの練習を続けていく中で自分が教えたいことが溢れ出たときに本来は教えるべきだと思います。その後押しをしてくれるのがRYT200だったりいろんな指導者養成講座だと思います。
そのタイミングがあうのってすごくラッキーじゃないかな。順番は色々で先に指導者養成講座をとる人もいると思いますし。そこの時期があうのが幸せかと思う。
それを幹として、さらに自分がどんな分野で指導を深めていきたいかを選択し、チューングしながら学び続けることが、指導者として求められる姿勢なのではないでしょうか。
プロフィール
高尾美穂|Miho Takao
産婦人科専門医・医学博士・イーク表参道副院長・
スポーツドクター・Gyne Yoga主宰
東京慈恵会医科大学大学院修了後、慈恵医大病院 産婦人科助教、東京労災病院 女性総合外来などを経て現在イーク表参道
副院長を務める。大学病院では婦人科がん(特に卵巣がん)を専門としていた。得意分野は女性スポーツ医学、婦人科内分泌。日々、婦人科外来診療・分娩などに携わっている。
幼いころよりスキー、乗馬、ソフトボール、テニス、サーフィンなど様々なスポーツに親しむ。2003年にヨガと出会い、練習をはじめる。ケンハラクマ師に師事。
IYC アシュタンガヨガプライマリーシリーズ指導者養成修了
IYC アスリートヨガ指導者養成修了
IYCウェルエイジングヨガ特別監修を担当。
日本マタニティヨーガ協会マタニティヨーガ指導資格を持つ。
婦人科医として、手術はもちろんのこと抗がん剤、放射線療法、緩和ケアを含む終末期医療など大学病院で学び、実践してきたばりばりの『西洋医学』をベースとし、趣味が高じた『yoga』、アンチエイジング医学、漢方をはじめとした東洋医学、栄養学、スポーツ医学それぞれを総合的多角的に用い、女性がよりよく歳を重ねていけるようさまざまな角度からサポートしていくことをライフワークとしている。
サントーシマ香|Kaori Santosima
学生時代よりモデルや女優などの活動をおくり、生真面目な性格もあって心身のバランスを崩す。
試行錯誤を続ける過程で自然療法に興味を抱き、出会ったヨガに夢中になる。
2002年カリフォルニア移住後、インド古来の総合的なヨガ、
アーユルヴェーダ、ヨガニードラ、ヨガセラピーを学び、Berkeley市のスタジオYoga Mandalaにて英語でクラスを教え始める。
2008年の帰国後もアメリカやインドなどを度々訪れ、
海外のシニア・ティーチャーとの研修を積み重ねている。
数々の素晴らしい先生方との出会いと、自己練習を通じて得た気づきを生かし、自らが充足し、満ちあふれた調和のエネルギーが作為なく周囲に広まっていくような、現代人の毎日を
支援するためのツールとしてのヨガが広く役立つように情熱をもって活動している。一児の母。
著書に自宅で取り入れやすいヨガ練習を提案する「カラダが 変わる たのしい おうちヨガ」高橋書店
「サントーシマ香のムーンサイクルヨガDVD (2014)」竹書房など
NHK第一ラジオ「すっぴん!」内で「ゆる~りヨガ」(2012春~2013年3月末終了)
オハナスマイルヨガ講師養成講座、スピリットヨガ講師養成講座、ビーヨガ講師養成講座など