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「酒は百薬の長」と言われているけれど本当?
「適量のお酒は体に良いから!」なんて言いながら、ついつい飲みすぎてしまって二日酔いに。そこまではまだいいですが、酔いに任せて言い過ぎてしまったり、周りに迷惑をかけてしまったり、そして記憶すらなくし同席した友達に翌日に自分の醜態を知らされ青ざめたり。。。といった経験をお持ちの方も少なくないのではないでしょうか。
アーユルヴェーダが説くお酒の効果
アーユルヴェーダでは、お酒類のことをMadhyam(マディヤム)といい、以下の影響をもたらすとしています。
疲れを取り除くもののなかでは酒類が、上機嫌を生ずるもののなかでは酒類が、判断力と忍耐力と記憶力を喪失させるもののなかでは酒類に溺れることが、もっともすぐれている。
ーアーユルヴェーダの教科書「チャラカ・サンヒター」総論 25章
ここから考えて、お酒を飲むことによる効果はいくつかの段階にわけられることがわかります。
お酒による脳の影響4段階
「アルコール健康医学協会[1]」の提唱している、「酔いによる脳への影響」も併記して解説します。
第1段階
- 気分が高揚し、幸せに感じ、歌や踊りを楽しみたくなる。合わせて、性的興味や睡眠が高まる。
- 脳の動き:理性をつかさどる大脳皮質の活動が低下。一方で、抑えられていた本能や感情をつかさどる大脳辺縁系の活動が活発になる。
初対面の相手とも打ち解けられたり、辛いことも忘れられたり、ストレス発散ができてとても良い状態です。さらにチャラカ・サンヒターでは、適量のほど良いお酒は「知性UP」「滋養強壮」「消化力UP」と、まさに良いことづくしと言われています。
第2段階
- 発言と行動が一致しなくなる。落ち着きがなく、呂律が回らない状態。
- 脳の動き:理性をつかさどる大脳皮質がマヒし、さらに活動が低下。大脳辺縁系の活動が抑えられない状態に。体温上昇、脈も上がる。
第3段階
- ふらふらと千鳥足になる。食欲も増して、暴言などの攻撃性もでてくる状態。
- 脳の動き:理性をつかさどる大脳皮質のマヒにとどまらず、さらに内部の小脳まで麻痺が広がることで、運動失調(千鳥足)状態になる。吐き気、嘔吐も発生。
第4段階
- 情緒不安定になり、分けの分からない行動をとる。思考能力の低下。
- 脳の動き:脳の深層部にある海馬(記憶の中枢)が麻痺すると、今やっていること、起きていることを記憶できない(ブラックアウト)状態になる。
大人のお酒のたしなみ方
お酒を飲むと何がどうなるのか理解し、ほどほどなところでやめておく。それが一番ですね。それでは、ほどほどなところとはどの程度なのでしょうか?
「健康日本21」による基準:20g(≒20cc)
※日本においては、厚生労働省が「節度ある適度な飲酒」を提案。20gとは大体「ビール中ビン1本」「日本酒1合」「チュウハイ(7%)350mL缶1本」「ウィスキーダブル1杯」などに相当します。[2]
食前酒程度の量で、意外と少ないです。さらに、自分が酔うとどんな傾向があるのかをドーシャ別に理解も深めましょう。
ドーシャ別 お酒を飲んだ時にどうなる?傾向と対策
- ヴァータ:最大の特徴は「無意味なおしゃべり」。もともと不安定な心の状態がさらに悪化するので注意!
- ピッタ :熱を生みやすいピッタ。怒りの感情や体温上昇、発汗。特に、蒸留酒やワインはピッタを上昇させるので注意!
- カパ :体を温めるお酒は体温の低いカパには良い効果もありますが、飲みすぎると、眠気や疲労状態を引き起こすので注意!
自分のこと、お酒による影響をしっかりと理解して、美味しく楽しいお酒をいただきたいですね。
参考資料
- アルコール健康医学協会
- 健康日本21(厚生労働省)