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一度は学んでおきながらも苦手な人が多いのが「アジャストメント」
ヨガ指導者になるために「ヨガ指導者養成講座」を卒業されたかたが多いと思いますが、ほとんどの講座には「アジャストメント(以下、アジャスト)」を学ぶ時間があります。
どの指導者養成講座にも入っている必須の知識でありながらも、その時間は講座の中でも相対的に見て短く、十分と言えるほどではありません。実際「アジャストは苦手なのであまりしない」という先生もいらっしゃいます。
ヨガで「アジャストメント」という時には多くの場合、ポーズの修正やより効果を出すためのサポートを意味します。その方法には
- 言葉でインストラクションをする方法
- 身体に触れてインストラクションをする方法
の2通りがあります。
言葉で「もっと脚を踏み込んで」「もう少し肩の力を抜きましょう」といったようにアジャストするヨガ指導者は多いですが、「クラスで実際に身体に触れてアジャストをしますか?」という質問をすると、一気にその人数が減ります。
その理由は
- どのタイミングでどんなアジャストをするのがベストかわからない
- どこをどんな風にするのが効果的なのかわからない
- 短時間で学んだだけなので自信がない
- ポーズの修正が出来るほど人の身体を見た経験がない
などが挙げられます。
では、学んでいながらも苦手という人の多いアジャスト、実際にクラスではどのように活かしていくのが良いのでしょうか?
アジャストメントは「生徒さんとの向き合い方」を体現したもの
生徒さんに「安全にヨガを楽しんでもらうこと」はヨガ指導者としての最低ラインですが、それを超えたアジャストの意味には「ヨガ指導者として生徒さんとどう向き合いたいか」が含まれています。
あなたはヨガ指導者として、どういうクラスをしたいと思っていますか?
例えば「みんなに頑張って欲しい」「ヨガのポーズにどんどん挑戦して欲しい」という想いもあれば「自分の世界に入って欲しい」「リラックスして欲しい」「ただただ楽しんで欲しい」という想いもあると思います。
その想いは言葉で伝えることもできますが、クラスでは言葉や身体に触れるアジャストを通して、あなたが気づかないうちに生徒さんにはメッセージとして伝わっています。
「私がしっかりサポートするのでどんどん難しいポーズに挑戦してください!」と考えている先生であれば「身体に触れない」という選択は難しく、しっかりと支えるためには「触れるアジャスト」がほかの指導者よりも多く必要かもしれません。「そんな先生が好き」という生徒さんは「しっかりと支えられること」を望んで参加していると言えます。
一方で「あまり触れられたくない」と考えている生徒さんも多く、ヨガによって怪我をしたことのある生徒さんであれば、少し強めに触られることでさえ恐怖に感じるかもしれません。
そんなことを考えていると「どこを触ったら良いのかわからない」「生徒さんを傷めてしまいそうで怖い」という言葉が聞こえてきそうです。
でも、安心してください。アジャストをする側も、される側も、無理せず安心して、でも効果的にアジャストをおこなう方法はあります。
知っているだけでアジャストメントがうまくなる極意
極意1:安定したアサナへと導く
身体が不安定な状態にある時、意識は周囲に向くため身体に余計な力が入ってしまいます。逆に身体が安定した状態にあるなら、自分の呼吸や内面に意識を向けることができ心を安定した状態へと導くことができます。身体と心の安定が、余計な力の入らない軽さや心地よさを作り出します。
極意2:加える力を最小限に留める
ポーズをとっている時に大きな力を加えられると、それが正しい方向であったとしても多かれ少なかれバランスが崩れます。なぜなら加えられる力は「安定しよう」としているものに対する”衝撃”となるからです。ポーズを安定するためにおこなうアジャストで、余計に相手をふらつかせてしまった経験があるかたもいると思います。相手が持っている”安定”を乱さないためにも、できるだけ加える力を最小限に留めた上でアジャストをおこなってください。
無理にぐいぐい押したり引いたりしてアジャストをするよりも、小さな力で大きな変化を出すほうが安全であり生徒さんにも喜ばれます。
小さな力のアジャストで大きな変化を出すために必要なこと
もちろん、小さな力で大きな変化を出すためには技術が必要であり、その技術は学んだ後、何度も何度も実践することで得られるものです。だからこそ、まずはしっかりと正しくアジャストメントの技術を学ぶことが大切。
この小さな力で大きな変化を出すアジャストメントを得意とし、ヨガ指導者として経験を重ねて来た指導者がいます。
彼女の生徒さんが彼女のクラスについて語る時には「生徒1人1人を的確に修正するその教え方がすごい」とアジャストのスキルを人気の理由に挙げるほど。その技術は、シュリ・K. パタビジョイス、ジョン・スコット、ナンシー・ギルゴフ、ベリル・ベンダー・バーチ、デイヴィッド・ライフ、シャーロン・ガンオンといったヨガ業界を代表する面々によって引き継がれてきたものです。
その指導者の名前は、キャシー・ルイーズ。
なぜキャシー・ルイーズはアジャストが必要な場所が的確にわかるのか
キャシー先生ご自身に、アジャストで意識していることをインタビューしました。
よくなぜ私が「アジャストが必要な場所が的確にわかるのか」と質問されますが、生徒さんを見ればビジュアルでおかしなアラインメントや異変に気づくことができます。生徒さんのポーズから感じ取り、わたしの手が勝手に生徒のポーズを修正しているのですが、それは20年以上かけて何千人もの生徒を見てきたからこそわかることでもあります。この経験が、わたしがアジャストに関する指導をする時の自信になっています!
私のクラスに参加した全ての生徒がハンズ・オンのアジャストで自信を持って生徒と向き合えようになることが、最も大切なことだと考えています。