ついに決着?!インドが研究:ウォーキングVSヨガ

ウォーキングより効果的なヨガの実践法!メタボも改善?【インドが研究】

糖尿病の有病率とその対策

生活習慣病の代表ともいえる糖尿病。いまや「糖尿病が強く疑われる者」の割合は12.1%、「糖尿病の可能性を否定できない者」の割合も12.1%であり、糖尿病有病者と予備軍を合わせると約2,000万人いるといわれています。糖尿病予備軍だとしても、健康な人よりも血管の老化が進みやすく、心臓や脳血管の病気になりやすいものです[1]。だからこそ、糖尿病は予防が大切。食生活の見直しや運動を行い、体重を減らすこと、生活習慣を見なおすことが重要です。

今回は中でも「運動」にスポットをあてましょう。糖尿病予防としての運動は、ウォーキングなどの有酸素運動や筋力トレーニングが勧められています[1]。ヨガも効果的な運動療法であることは認められていますが、まだまだメジャーな対策とはいえません。しかし、インドで行われた臨床試験において、糖尿病高リスク者のウエスト引き締めにはウォーキングよりもヨガが有効的な可能性があることが示されました。ヨガは腹囲等のリスク因子を減らし、心理的にも幸福感を高める、有効な糖尿病の予防戦略になるかもしれないと期待を集めています。

糖尿病予防には歩くよりヨガ!?

どのような臨床試験が行われたのか、詳しく見ていきましょう。

糖尿病高リスク者インド在住の41名を対象に、ヨガクラスを受講してもらう群(21名)とウォーキングを行う群(20名)に分け、8週間後に血糖値や体重、自覚ストレスなど17項目について結果を比較しました。

ウォーキング群よりもヨガ群の方が良い結果が示された項目が3つあります。それが、「BMI」「腹囲」「体重」です。特に腹囲に注目すると、ヨガ群では、8週間後にウエストが平均4.2cm減少した一方で、ウォーキング群では平均1.4cmの増加という結果でした。

ヨガとウォーキングをおこなった時の腹囲の結果
ヨガとウォーキングをおこなった時の腹囲の結果

また、ヨガ群もウォーキング群も共に検査結果が良くなった項目は、以下の通りです。

  • 収縮期/拡張期血圧
  • 総コレステロール値
  • 不安や抑うつ
  • ネガティブな感情
  • 自覚ストレス

今回の試験では、参加した人数が少ないため、確定的なことは言えません。ですが、糖尿病高リスク者がヨガを行うことで、血圧や総コレステロール値、ストレスの改善が期待できるだけでなく、ウォーキングを行うよりも体重や腹囲を減少できる可能性が示されました。

また、「私はもう歳だから」と諦めている方はいらっしゃいませんか? この試験の参加者は、平均47歳です。60歳以上の方も参加しています。そして注目するべきは、年齢によって結果に違いがなかったことです。今からでも遅くありません!糖尿病対策にヨガを取り入れてみませんか?

徹底解説! ウォーキングより効果的な65分のヨガレッスン! その中身は?

それでは、どのようなヨガレッスンが糖尿病予防には適しているのでしょうか。今回の試験で、ヨガの本場「インド」で実際に行われたヨガレッスンを徹底解説します!

シークエンスに含まれるアーサナは、筋力を増やし、ストレス反応を改善させることが示されているアーサナを選び、構成されています。また、プラーナヤーマは基礎代謝量を上げることが示されているので、取り入れられました。それでは、その内容を詳しくみてきましょう!

効果的とされるヨガクラスのシークエンス

  1. プラーナヤーマ ―6分
  2. ウォーミングアップ(いずれか3つ) ―10分
    • 前屈/後屈/側屈
    • ツイストのポーズ
    • ガス抜きのポーズ (パヴァナムクターサナ)
    • 太陽礼拝(3回)
  3. 立位のポーズ(いずれか3つ) ―8分
    • 前腕をほぐす前屈 (パーダハスターサナ)
    • 半月のポーズ (アルダチャンドラーサナ)
    • 三角のポーズ (トリコナーサナ)
    • 身体の脇を伸ばすポーズ (パールシュヴァッコナーサナ)
    • 体側を伸ばすポーズ-(アルダカティチャクラーサナ)
    • 木のポーズ (ヴリクシャーサナ)
  4. 仰向けのポーズ―8分
    • 肩立ちのポーズ(サルワンガーサナ)
    • 鍬のポーズ (ハラーサナ)
    • 魚のポーズ (マツヤーサナ)
    • ガス抜きのポーズ (パヴァナムクターサナ)
    • ボートのポーズ (ナウカーサナ)
  5. うつ伏せのポーズ ―8分
    • コブラのポーズ (ブジャンカーサナ)
    • バッタのポーズ (シャラバーサナ)
    • 弓のポーズ (ダヌラーサナ)
    • ボートのポーズ (ナヴァーサナ)
  6. 座位のポーズ ー8分
    • 座位の前屈ポーズ (パスチモッターナーサナ)
    • 半分のツイストポーズ (ヴァクラーサナ/アルダマッティエンドラーサナ)
    • ラクダのポーズ (ウシュトラーサナ)
    • ウサギのポーズ (シャサンカーサナ)
  7. 屍のポーズ ―6分
  8. 瞑想 及び チャンティング -10分

ヨガを生活の一部に取り入れ、糖尿病を予防しよう

青いマットを広げる画像
毎日少しずつでもヨガを続けませんか?

今回は、糖尿病予防に関するヨガの研究結果と、その試験で実際に行われたヨガのシークエンスに関して紹介しました。ヨガの本場「インド」で行われているレッスンも、日本で行われているヨガレッスンに非常に近いシークエンスではないでしょうか。

「最近太ってきたな」「将来、糖尿病になりたくないな」といった漠然とした不安をお持ちの方は、ぜひ今日からヨガを生活の一部に取り入れてみませんか?体重やウエストの改善だけでなく、心理的な幸福感を高め不安を減らすことも期待できますよ。

また、この試験の結果だけでヨガの効果を断定することはできません。今後、日本人での研究や被験者が多い研究が行われ、ヨガの効果が証明されることを期待しましょう。

※ うつ伏せのポーズにナヴァーサナが含まれておりますが、参考にした論文の記載をそのまま踏襲しています。

参考資料

  1. 国立国際医療研究センター 糖尿病情報センター(参照日:2018年6月18日)
  2. McDermott, et al “A yoga intervention for type 2 diabetes risk reduction:p pilot randomized controlled trial,”BMC Complementary and Altenative Medicine, 2014, 14:212