ベクトルを感じよう!猫のポーズから広がるバランスポーズ

猫のポーズからのバリエーション!身体の使い方とポイントを解説

呼吸に合わせて背骨を丸めたり反らしたりする、猫のポーズ。背骨一節一節を滑らかに動かすことで背骨全体のストレッチ、そして身体の中心軸に意識が向くので集中力も高めることが出来るという、ヨガのレッスンでは前半に行うことが多いシークエンスですよね。

さて、そんな猫のポーズ色々な、本当にたくさんのバリエーションがあるのですが、その中でも今回は、猫のポーズから広がる膝位のバランスポーズに焦点を当ててみたいと思います。

そして各バリエーションをキープするための力の方向性やポイントを探ってみましょう!

基本の猫のポーズ

まずは基本の猫のポーズ、キャット&カウを確認してみましょう。両掌を肩の下に付き、膝は骨盤幅に開いてお尻の真下へ。顎を軽く引いて首の後を長く保っておきます。

吐く呼吸で背骨を丸め、吸う呼吸で反らす、あるいは一旦吸いながら四つ這いに戻って吐きながらを反らしても構いません。要するに呼吸と背骨の動きを丁寧に合わせることが重要ですよね!自律神経のバランスを整える効果もUPします。

キャット&カウ
キャット&カウ

注意点としては、反らすときは腰を強く反らすのではなく、肩甲骨を寄せ合って胸を反らせることを意識していきます。思いっきりやるのではなく、無理のない範囲で動かすことで背骨が緩み、リラックス効果やストレッチ効果、腰痛予防の効果も高まります。

バランスポーズに入る前のエクササイズ

気持ちよく背骨をストレッチできたら、今度は少し腹筋を使うエクササイズを行ってみると、後に来るバランスポーズに必要な感覚が強化されます。

例えば、吸いながら右腕、左脚を前後に伸ばし、余裕があったら軽く胸と左の踵を引き上げます。そして吐きながら背骨を丸く突き上げて右肘と左膝をおへその下でタッチします。

少し腹筋を使うエクササイズを取り入れた猫のポーズ
少し腹筋を使うエクササイズを取り入れた猫のポーズ

これを数回繰り返して。もちろん、終わったら同じ分、反対側も行います。奥深いコアマッスルである腹筋、つまり丹田の感覚がクリアになってきます。

では、いよいよ膝位のバランスポーズに入っていきましょう!

膝位のバランスvol.1:前後に伸ばす

猫のポーズからのバランス、と聞いて、私がまず1番に思い浮かぶのはコレ。

猫のポーズ
猫のポーズ

ヨガっ子にはたぶんかなりお馴染みのポーズかと(^^)
四つ這いになってあごを軽く引いて、片腕と、反対の方の脚を床と平行に伸ばすのですが、はい、ここでポイント!

腕や脚を、持ち上げるのではなく前後に伸ばす意識でバランスを取ります。つまり、背骨を前後に引き延ばす意識。(※イラストのピンク矢印を参照してみてください。)

これが出来ると、開きがちな上げている脚の骨盤も修正されて骨盤が床と平行に保てます。
例えば右腕と左脚を上げているのなら、右手の指先から左の足先(もしくは踵)を遠ざけるつもりでやってみましょう。
自然と右の骨盤が正しい位置に閉じて、体幹の感覚がありありと感じられるようになります。

この、体幹の感覚、つまりは胴体中心軸の感覚がこのポーズの鍵なんですよね。
体幹を意識出来れば、一気にバランスがとりやすくなるから不思議です。

コツさえ掴めばとても簡単なポーズなので、気軽に取り組むことが出来ます。
バランス感覚の強化はもちろんのこと、腹筋と背筋を程よく使うので自然と呼吸が深まり、効果的にコアマッスルが鍛えられます

膝位のバランスvol.2:背骨全体を伸ばす


さて、今度はもう少しアドバンスをいってみましょう。

伸ばした腕で、伸ばした脚の膝を曲げ足の甲を掴む。
そして、余裕があれば引き上げます。

背骨全体を伸ばすのがポイント
背骨全体を伸ばすのがポイント

このバリエーションは、肩関節と股関節が対角線で引き上がるため、骨盤が傾きにくく(横に開きにくい)、その意味ではやりやすいです。意識すべしは背骨全体を伸ばすこと

例えば、肩がすくんでいては腰に負担がかかりやすくなるし、顎が上がりすぎると首に負担がかかってしまいますよね。背骨全体を正しく使うには腰椎、胸椎、頸椎全ての背骨全体の節を引き延ばすような感覚が必要です。
そしてそのためにはやっぱり、お腹は引き締めておく事。

丹田(下腹部の内側重心)を中心に引き締め、そこから引き上げた足先へ伸びるベクトル、頭頂へ向かって伸びるベクトルを意識すると、自然と脊椎が無理なく引き延ばされます。(※イラストのピンク矢印を参照してみてください。)

背骨を反らすだけなら普通の猫のポーズでも出来ますが、このバリエーションでは反らした背骨をさらに伸ばす事もできるので、日常生活の姿勢のクセで縮こまった背骨を矯正することができ、姿勢の改善に繋がります♬

ただし!
繰り返しますが、腰に負担がかかりやすいので絶対に下腹部は引き締めておくべし。背骨を反らせるポーズのお約束、ですね★

なので、vol.1のバランスポーズで腹筋背筋を程よく鍛えて、ある程度持久力がついた段階でこのバリエーションにトライしていくのが安全な流れというわけです。

ちなみにこのポーズ、上げている腕の肩関節も伸びるので胸が開きやすくなり、そういう意味でも美しい姿勢をとりやすくなる効果が期待出来ます。

膝位のバランスvol.3:腹筋背筋を使って


さらに難度高めのやつをいっちょ、いってみましょう。数ある膝位のバランスポーズの中でもかなり洗練されたバランス感覚が必要なポーズ。

四つ這いから、片脚を持ち上げて曲げる、そして同じ方の手で持ち上げた足の甲を掴み引き上げる。このとき、床に下ろしている方の足先は少し外にずらしてバランスを取りやすくしても良いでしょう。

さらに難易度の高い猫のポーズに挑戦!
さらに難易度の高い猫のポーズに挑戦!

支えている方の腕と同じ方の脚で支えるので、安定させるのはかなり難しくなってきます
ちょっと半月のポーズ、アルダチャンドラーサナのバランス感覚に近いですね。

ただし、この猫のバランスバリエーションとアルダチャンドラーサナの違いは骨盤の向きにあり!アルダチャンドラーサナやトリコナーサナは骨盤を真横に開くのに対して、この猫のバランスポーズはあくまでも骨盤は床と平行(つまりおへそは床方向)を保とうとします。

どうしたって上げている脚の骨盤は横に持ち上がって開きがちですから、上げている脚の骨盤をあえて閉じようとする意識が必要になるわけです。

そして、そのためにはそれと拮抗するベクトル、つまりは脚を上に引き上げる力も意識しなくければいけません。
というかそうしないとバランスが取れません。(※イラストのピンク矢印を参照してみてください。)


これを実現するためには腹筋と背筋、特に腹筋をしっかり使います。出来れば目線は上に向けて、耳を肩から遠ざけるように頸椎も伸ばすことを心がけましょう

バランス感覚と腹筋背筋、そして集中力も要るというちょっと難しいポーズですが、骨盤と背骨のコントロール力だけでなく体幹のバランス感覚まで鍛えられる、美味しいポーズでもあります。

膝位のバランスvol.4:最難関ポーズ?

最後に、おそらく四つ這いからのバランスでは1番難しいのでないかと思われるものを見ていきましょう。

前に伸ばした腕と、同じ方の脚を後に伸ばす!

前に伸ばした腕と、同じ方の脚を後に伸ばす!
前に伸ばした腕と、同じ方の脚を後に伸ばす!

もちろん、骨盤は開きません(^^)

骨盤が開いていいならさほど難しくも無いのですが、四つ這いの基本体位を保ちつつ上げるのは正直かなりプルプルします(笑)

重心を、反対側の縁にぐっと寄せる!力の置き所が難しいのですが、自分の中でバランス感覚を探ることこそが有益なヨガです。ぜひトライしてみてくださいね★

***

というわけで、猫のポーズから広がる四つ這いからのバランスポーズを4つご紹介致しました。どのポーズも要になるのは丹田の意識です。

誰もが持っている、丹田(おへその少し下の深層部)にあるエネルギーの塊の存在感は、ムーラバンダ=会陰部の引き上げとウディヤナバンダ=下腹部の引き込みで物理的にも感じ取る事が出来るかと思います。(バンダについてはまたいつか、こってりお話したいと思っています。)

この自分の重心となる核から、各方向に向けて力を伸ばしていくこと。
これってすべてのバランスポーズにおいて、重要なポイントと言えそうですね。

美しい姿勢も、その意識とそれを維持する持久力があってこそです!膝位のバランスポーズで背骨と骨盤をコントロールし、バランス感覚を養えば、美しい姿勢に近づけること間違い無しですよ~♬