夕陽に向って手を合わせ瞑想する人のシルエット

今更聞けない!ポーズが呼吸で深まるってどういうこと?

※この記事はヨガジェネレーションが主催する「ハートオブヨガ指導者養成講座」の卒業生が書いたものです。

ウジャイ呼吸法は、圧力を生み出す

ハタヨガでは伝統的にウジャイ呼吸を使います。ウジャイ呼吸は、鼻呼吸でありながら、声を出す器官である”声帯”を部分的に締めて、音を出す呼吸法です。声帯を締めることで、体内に圧力を生み出します。

呼吸の力でポーズが深まり、バンダが入る

ティッティバーサナ(蛍のポーズ)をする女性
バンダは身体への負荷を分散させ、体幹の働きを活性化させる

HOYシニア講師のJ・ブラウン先生(以下、J先生)によると、「呼吸の力が体幹の働きを強め、ポーズを支える」とのことです。その言葉は「ポーズって筋肉の力で取るものじゃないの?」と思っていた私には目からウロコでした。ウジャイ呼吸による圧力が、前屈や後屈をするときに脊柱を保護し、身体を怪我から守ります。これがヨガ用語で言う”バンダ”です。バンダは身体への負荷を分散させ、体幹の働きを活性化させます。

呼吸を意識したら、気持ちよくハンドスタンドできた

Jブラウン先生にハンドスタンドのアシストを受ける受講生
J先生のアジャストを受けながらハンドスタンド

J先生に「ウジャイ呼吸に重点をおいてハンドスタンドをしてごらん」と指導いただき、チャレンジしました。すると不思議なことに、今まで力ずくでやっていた場合とは全く異なる感覚があり、身体に軸ができたように感じられ、安定して立てたのです。しかも、苦しいどころか気持ちがいいくらいでした。

ウジャイ呼吸の圧力によって、腹部が自然と引き締まりバンダが入る。バンダが体幹を安定させるのです

と、J先生は説明してくれました。

呼吸の力で生命力を取り戻す

呼吸の素晴らしいところは、力強さだけではありません。呼吸は私達がもともと持っている自然な治癒力を高め、生命を癒し育む力を強めてくれます。生命は”あるべき場所に正しく置け”ば、自ら不調を治そうとする性質を持っています。あるべき場所に置くとは”あるがままでいられる状態”のこと。例を挙げるとすれば、アーサナや瞑想が深まっているときに感じる心地のいい状態です。

呼吸の力でストレスを軽減

カジュアルな服装の女性があぐらの姿勢で瞑想をしている
呼吸中心のヨガはストレスレベルを下げる

呼吸中心のヨガを練習することで、自律神経の乱れが整い、ストレスレベルが下がることで身体の疲れが取れやすくなります。例えばヨガをすると、いつもよりグッスリ眠れたり、肩や腰のコリが緩和されていたりと、身体が軽く感じますよね?これが呼吸のもたらす効果そのものです。

「呼吸はあなたのグルである」

このように、呼吸は力強い性質だけでなく、やさしい、癒す質も持ち合わせています。神経や脳科学の面から見ても、自律神経やホルモンのバランスを整えて気分をよくすることは、研究で明らかになっています。ハタヨガの父、または現代ヨガの父と呼ばれるティルマライ・クリシュナマチャリアは言いました。

呼吸はあなたのグル(先生)です。あなたのグルに従いなさい

どんな流派のヨガをしていても、呼吸が大切であることは変わりありません。呼吸が生む力強さと柔らかさを伝えられる指導者になりたいですね。

執筆:かっしー(柏原ゆうた)