心を開ける場所はありますか?
みなさんには、ホッと落ちつく場所、居心地がいいと感じられる場所はありますか?
前回、自然についてお話しましたが、
わたしは、広々とした場所を目の前にすると、フワーッと身体の内側から緩んで、外側へ広がってどこまでも大きく、どこまでも行けそうな気がしてきます。例えば大きな芝生の公園や、広がる海、山の上から見下ろす広大な景色など。
ヨガクラスでよく、
ヨガは身体の内側にスペースを広げていく練習です。身体に広がりが生まれると、心にもゆとりが生まれます
というお話をします。
ギューッと内側へ向っていく時間も大切ですが(収縮)、そのあと、外側へ広げていく(拡張)時間をバランスよく持つことで、体内の循環、心の循環が促されます。どんなこともバランスが必要なのです。
一度、どんな場所でもかまわないので、自分が安心できて心と身体が安らぐ場面を経験すると、どんな時にでもその光景を思い出し、「あの景色を知っているわたしは、どんなことがあっても大丈夫」と心を落ち着かせることができるようになります。
広い海を眺めるとほつれた糸がほどけていく
大きく広い海(Ocean)を眺めるのが大好きです。何もしなくても、海面のさざ波を見ているだけで、自然の中にポツンと在る自分の存在を愛おしく感じ、生まれてきた奇跡、健康に生かされていることの感謝、自分は他の誰でもなくこの景色を知っているわたし自身なのだ、ということを改めて実感します。
たいていの場合、悩みや苦しみは自分で作り出して目の前に映し出しているものです。原因があり、それが複雑にからんでいるように見えて、さらに迷宮に迷い込んだように感じます。
けれど、自分自身で作り出しているのです。原因があるのです。解決は自分次第。原因があれば、それを改善していくか、辞めていくことで解決の道は開けて(Open)いきます。
それまで慣れてしまった何かを改善していくことや、何かを辞めることは勇気がいりますが、原因を取り除かなければ、悩みや苦しみは晴れません。
開けた海を目の前にすると、しがみついている何か(悩みの原因となっているもの)がちっぽけに思えるようになり、手放しても大丈夫な気がしてきます。そして手放すことができると、その空いたスペースにまた新しい何かが満たされていき、心の成長を助けます。
心を閉じてしまう相手がいたら、距離を置いてみよう
ストレスの原因のひとつに、人間関係が考えられます。誰かと一緒にいることが窮屈だったり、違和感を感じる場合は、距離を開けてみるのも「手放す」行為のひとつになります。
バガヴァッド・ギータの1節にこんな表現があります。[1]
執着することなく、常に、なすべき行為を遂行せよ。実に、執着なしに行為を行えば、人は最高の存在に達する。
ー 「バガヴァッド・ギーター」第3章より
そしてもし、手放した人が自分にとってまだ必要なものだとしたら、自然に戻ってくるでしょう。一度手放しているので、もともと苦しみの原因だった何かが、手放したあとにまた戻ってきたとしても、新しい視点や視野で向き合うことができるようになります。
変わりたい、または変えたいという想いがあるなら、一度手放して、自分の外側にスペースを生んでみるのもひとつの方法です。
こちらが開くから相手も開いてくれる
では、あなたにとって、心を開ける相手は誰ですか?数多くいる必要はありません。心を開ける、心を許せる相手はひとりでも十分です。
あなたがその人(たち)と一緒にいる時間、どんな気持ちですか?楽しい?嬉しい?気持ちいい?安らぐ?心地いい?そう感じている状態が、自分の内側が開いている状態でしょう。
きっとこちらが心を開いているので、相手もこちらに心を開いて向き合ってくれているはずです。お互いの波長が共鳴して、心地良い空間を創り出しています。
大きい海のような広い心をイメージしながら、スムーズなコミュニケーションを積み重ねていくためにも、手放すことを恐れず、内側と外側にほどよいスペースを保ちながら生きていきたいですね。
参考資料
- 「バガヴァッド・ギーター」(上村勝彦訳/岩波文庫)