生理に対するヨガの効果が証明?!有効なヨガポーズとその理由

生理に対するヨガの効果が証明?!有効なヨガポーズとその理由

辛いPMS。悩む女性は8割超。経済損失は1兆円!?

生理前になると、決まってイライラしたり、ネガティブになったり、もしくは胸が張ったり、頭痛や眠気で辛くなる。そして気を付けていても、仕事で普段しないミスをしてしまう。毎月お決まりのPMS(「月経前症候群」と言われる生理前に起こる不調)、憂鬱だと思っている方も多いのではないでしょうか?

日本では、月経のある女性の約70~80%が何らかの症状を抱えていると言われています。[1]

「働く女性の健康増進調査2018」によると、PMSによって仕事のパフォーマンスが半分以下になる人は、約半数だそうです。逆に「全くパフォーマンスが変わらない」と回答した人はたったの6%に過ぎません。[2]アメリカの研究では、「PMSにより1人あたり年間50万円の損失がある」[3]という研究結果もあり、この数字を日本にそのまま当てはめると、1年間でのPMSによる経済損失は何と1兆円という計算になります。

近年では政府主導のもと女性の役員・管理職の増加を掲げていますが、「管理職や責任のある仕事への昇進を打診されたが辞退した」という人が17%、「辞退することを考えた」人も合わせると62.5%にのぼります。[4]それだけ、PMSは女性にとって大きな悩みであり、理解の促進と対策が重要だと言えます。

PMSに対するヨガの効果が科学的に証明された!

PMSに対する悩みは万国共通です。「働く女性のPMS対策としてヨガがどの程度効果があるのか?」この疑問に対して台湾で実験が行われましたので、詳しくお伝えします。

働く女性(20~45歳)を対象に職場で週2回50分のヨガを12週間行ったところ、PMSや生理が仕事へ及ぼす影響など様々な点で改善がみられました。[5]

特に、

  1. お腹の張りを感じる女性は50%から23.4%に減少
  2. 鎮痛剤を飲む女性は35.9%から21.9%に減少
  3. そして生理痛が仕事に及ぼす影響は53.1%から29.7%にまで減少

という結果が出ました。その他にもPMSや生理中には多くの症状に悩まされます。各症状別に効果が検討されていますので、詳しくは下記グラフをご覧ください。

PMSに対する悩みへの効果
PMSに対する悩みへの効果
生理の悩みに対する効果
生理の悩みに対する効果

こうしてグラフにしてみると、PMSといえども様々な症状があることに気付きます。人それぞれ悩まされる症状が異なりますが、*印がついている症状は、ヨガを行うことで統計学的に有意差をもって改善がみられた症状です。

「統計学的に有意差がある」とは、“誤差ではなく、ヨガの効果が示された”ということを意味します。

私自身、ヨガを行うことで、生理前の便秘と生理痛が改善した経験を持ちます。皆様も同じような効果を実感としてお持ちなのではないでしょうか?

今回行われた試験は、皆様が感じているヨガの効果が“客観的に示された”ということで、とても意義のあるものです。特に男性やPMS・生理の悩みがない女性にはPMSの辛さ、生理痛の辛さが伝わりにくいものです。こうした客観的なデータを活用することで少しでも理解が進むといいですね。

PMS対策に有効なヨガポーズ5つ

先の台湾で行われた試験ではどのようなヨガが行われたのでしょうか? 働く女性を対象に職場で行われた試験ですので、重要なポイントは下記の2つです。

  1. 初心者でも出来るヨガ
  2. 仕事に影響が出ないように短い時間で出来るヨガ

ということで、シンプルでベーシックなヨガのポーズ5つが実践されました。

シンプルでベーシックなヨガのポーズ5つ
シンプルでベーシックなヨガのポーズ5つ
  1. キャット&カウ
  2. チャイルドポーズ
  3. ダウンドック
  4. プランク
  5. コブラのポーズ

ヨガのポーズを行う前には、カパラバディプラーナヤーマ5分間、ポーズ終了後には10分間の仰向けでの瞑想を行う計50分のクラスです。

特に、チャイルドポーズは、ストレスを解消し、背中の不快感、疲労、ガス、そして膨満感を軽減し、コブラのポーズは、姿勢を改善し、腰の不快感に効果的なだけでなく、エネルギーが湧いてくるポーズであり、PMSや生理のお悩みに効果的です。

ヨガがPMSに効果的なワケは脳波にあり!?

では、なぜヨガがPMSや生理の悩みに効くのでしょうか?一つの可能性として脳波が関連あるのではないか、と言われています。

PMSに悩む女性がヨガを行ったところ、「α波が増えた」という研究結果があります。[6]5種類ある脳波のうち、α波は安らぎ、リラクゼーション、創造性、集中力、そしてセロトニンの放出等に関与していると言われています。つまり、ヨガをすることでリラックスした状態になっていることが示された、ということです。

PMSの原因は未だにはっきりとはわかっていません。

しかし、排卵後から生理に向かうまでの間に、女性の体内では急激なホルモンバランスの変化が起こっています。このことにより、脳内のホルモンや神経伝達物質の異常が症状を引き起こすのではないかと考えられています。ヨガをすることで、脳内でα波が優位になり、こうした症状が起きにくくなると考えられるのではないでしょうか?

職場におけるPMSや生理のお悩みは女性だけの問題ではありません。今回の記事で紹介した台湾の試験を実施した研究者は、

経営者が、ヨガなどのエクササイズがPMSや生理に関する悩みに効果的であることを理解することが、働く女性を助けることになる

とコメントしています。

活躍する女性が増えている今だからこそ、PMSや生理に関する理解の促進と対策が必要です。ヨガはマットとスペースさえあれば、仕事終わりに気軽に取り組める対策です。ぜひ試してみてはいかがでしょうか?

参考資料

  1. 日本産婦人科学会HP(参照日2019/5/28)
  2. 働く女性の健康増進調査2018(参照日2019/5/28)
  3. Borenstein J,et al, Journal of Occupational & Environmental Medicine, 2005 Jan;47(1):26-33
  4. ホルモンケア推進プロジェクト(参照日2019/5/28)
  5. Su-Ying Tsai, et al, J. Environ. Res. Public Health, 2016,13,721
  6. Wu WL, et al, J Altern Complement Med, 2015 Jun;21(6):364-9