こんにちは、kayaです。
先日編集部のお問い合わせフォームに「ヨガ業界の音楽をもっと盛り上げたい!」という熱い想いのこもったメッセージが届きました。
ヨガ業界の音楽を盛り上げたい? どういうこと???
と想い、メッセージの差出人に会ってきました。
本日のゲストは、沼田壮平さん。
OLDE WORLDE(オールディワールディ) 沼田壮平
ソングライター、ボーカリスト、CM音楽作曲家
中学生の頃から音楽を始め、路上ライブに立ち始める。大学生になり洋楽に出会い、「英語で歌った方がメロディを乗せやすい!」と気付き、英語の勉強を開始。デモテープを作り送ったところ、「東芝EMI」のオーディションに応募することに。
大学卒業後、就職を悩んでいたところ、東芝EMIの方から「うちで働きながら音楽やれば?」と声をかけてもらい、雑用をしながら過ごしていた数カ月後、受けていたオーディションの最優秀賞に選ばれる。
最優秀賞の特典として、iTunesでの無料配信が開始。平日は会社員をしながら土日に音楽活動の日々を送る。
事務所に入り本格的に音楽活動をした後、事務所をやめてからはLIVE活動やCDを出すなど1人で活動をするも、活動に疑問を持ち自宅でCM楽曲制作を始める。これまでに、三菱の「霧ヶ峰」50周年記念音楽、「シャディ」のTVCM、「ロキソニン」や「シチズン」「日産」などのCM音楽を手がける。
ミュージシャンとヨガとの出会い
そんなミュージシャン一筋の沼田さんが、どうしてヨガ業界に連絡を?
音楽活動をしながら思い始めてたんです、「もっと新しいこともしてみたいなー」って。そういう想いがいつもあって行き詰まりを感じていました。
音楽を好きで始めたけど続ける意味を見出せなくなってきて…その間、CM音楽を作ってたら近所にヨガ教室ができたんです。それで、休んでる間に1回行ってみたんですけど…そこまではまらなかったんです。笑
偶然の出会いですね。笑
だから月1とかで行ってたんですけど。
はまらなかったのに月1で行くって偉いですね!笑
気にはなってたんですよね。僕の場合、ミュージシャンのくせに家で仕事する時間が長いので、肩が痛くなっちゃって。「どうしようかな?」と思った時に、「もうちょっとヨガに通ってみようかな」と思って。
ほぉ。
そこから怒涛のようにヨガに通う回数が増えて行って。そこからいろんな先生のクラスを受けるようになって、どんどん面白くなって、週8で出てた時とかもありますね。
1日2回?!
そうそう、週8とか週9くらいで。そうなると、ヨガが生活の一部になって、ヨガ行かないと気持ち悪いくらいになって。そしたら肩の痛みも消えてきて、声の調子もいいし、「ヨガは音楽にもいい影響があるのでは?」と思ったんですね。
そうやってヨガに通っているうちに、自分が自分の活動に疲れていたってことに気づいたんですね。
ふむふむ
音楽が好きで始めたし、好きなことだとわかっているのに、そこに意識が向いていないと感じてました。理由は、新しいことがしたいと思い始めていたからなんです。
好きなことだけれど、活動を続けることへの葛藤もあって。そしたら気持ちがヨガに向かって行ったんですね。気分が良くなってこのまま隠居しようかなって。笑
隠居!まだ若いのに。笑
CMの楽曲制作を続けながら、気づいたんですよね。今の時代って視野を広げれば音楽活動できる場所はたくさんあるじゃんって!あと、自分の音楽の需要が企業とか音楽制作の人たちにもあるんだなって。
ヨガ業界の音楽はまだまだ発展中
ほーーーー。えっ? で? そこからどうヨガに繋がるんですか?
ちょうどその頃、ヨガのクラスで先生と話をしていた時に、「音楽という視点で見たら、ヨガ業界もかなり熱いかも?」という話になったんですね。
ヨガ業界で音楽が熱い?
そう、
ヨガでは実際クラスで音楽が使われているけれど、音楽に対する認識はみんなかなり低くて。ヨガの音楽のアーティストのことは知らない人がほとんどなんですよね。
横浜のヨガフェスタでも、ヨガクラスの枠は多いけど、当時、アーティストの枠は1枠しかなくて。それが、海外の「ダフネ・ツェさん」っていう人だったんですね。
うんうん。そんなものですね。
それを聞いてびっくりして。
そんなに大きい5万人規模のフェスなのに、アーティストと認識されている人は1人しか出てなくて、ステージは1つしかないんだってことに気づいて、「これは、ヨガのアーティストが足りてないのでは?」と思ったんです。
そこで道がひらけて、資料を作ってヨガ業界に送ったんです。ヨガジェネさんはその1社ですけどね。笑
笑 その行動力、素晴らしいですね!
ヨガ業界にもっと音楽を持ち込みたい
そもそも、メールをもらったのはどういう趣旨なんでしたっけ?
僕が今までやってきた活動の場所はだいたい決まってたんですね。それで「他のこともしてみたい」というのを強く感じていたので、「もっと視野を広げてみよう」と思ったんです。
ヨガ業界の話を聞くと、僕の音楽はヨガ業界でフィットするかも?と思ったんです。
それは…どういう意味で?
僕のライブに来てくれる方々は女性が多いのですが、ヨガも層の女性が多いですよね。なのでヨガの市場でも活動したらもっと広がるのでは?と思って。
あとは、ヨガクラスで受けている時の音楽を聞いていると、特に女性アーティストのボーカルの曲はよく流れているんですけど、男性ボーカルはあまり聞かない…というか、ほぼないなぁと。僕の声質だと、中性的な声なので、僕の声もフィットするんじゃないかと思って。
ヨガをやっている中で、「どういう音楽がいいのか」というのを、なんとなく肌で感じてきていて。「自分だったら、こういうヨガだったらこういう音楽を作るな」っていうイメージができてきたので、そういったものを提供できていったら、すごく面白いのでは?と思いました。
ふーむ、なるほど。
本当はいろいろある、ヨガの音楽
あとは、最近、音楽とヨガのイベントとかも増えてきているし、「ヨガ×音楽」ってこれから盛り上がっていくじゃないですか?
うーーーーーーーん? 盛り上がっていくかどうかは……??
僕次第?
あははははは笑
音楽がこれからどういう風にみんなに受け入れられて、どういう風にみんなが使っていくかにもよるかなぁ?
そうですね笑 でも、そういう音楽イベントとかもっと増えたらいいのにって思いますけどね。DuskとかTuneとか。
単純に、音楽は既にいっぱいあると思うんですよね。けど、みんな、「興味はあるけど、どう興味を持てばいいのかわからない」って感じになってると思うんですよ。
うんうんうんうん。そうそう、興味はあるけど、どう興味を持てば良いのか、それ、すごくわかる!
ヨガやっている人たちにとって、そもそもヨガの音楽の情報が出回っていないことによって、興味を持ちたくても、何を調べれば良いのかわからない、みたいな。
うんうんうんうん。
例えば、「ヨガ 音楽」とかで検索しても、ヒーリングミュージックとか、CDのタイトルが出てくるだけなんですよね。
それでは、興味を持つことが難しいだろうなと思ったので、そこの部分をもっと強化して、すぐにアーティストにたどりつけるような導線を作ってあげれば、そういう「ヨガ×音楽」のイベントも開催できるのでは?と思います。
そこの部分を強化するっていうのは、具体的にはどういう?
そこなんですよねー!そこが難しいんですよね。
「ヨガ アーティスト」で検索しても、ヨガのポーズをとっている人が出てくるんですよ。だから、本当に探したいヨガアーティストがなかなか出てこない。
いないんじゃなくて?
いるんですよ…ただ歌い手よりもDJやトラックメーカーの方が多い印象ですね。
例えば、さっきのダフネ・ツェさんも、ヨガ業界では有名なんですけど、CDの売上ももっとあって良いと思うんです。というのも、多分、ヨガインストラクターの方が買う音楽という認識なのかもしれません。先日、ダフネ・ツェさんのLIVEにも行ったんですね。開始に間に合わなくて途中からだったので、入れなかったんですけど。笑
入れなかったんだ!笑
ライブハウスじゃありえないことですよ!まぁ、瞑想とかも一緒にしていたクラスだったので仕方がないと思うんですけど。でもでもその会場が100人くらいのキャパだったんです。
逆に100人入ってるのが、すごい感じもします…
確かにすごいことです。でも、
もっと広がっても良いんじゃないかなとも思います。これだけヨガは盛り上がってきているし、人気もある方なので。
ダフネ・ツェさんの名前は知っていても、そもそもとしてLIVEを観に行く習慣がライフスタイルの中に無いという人もたくさんいると思うんですよ。
うんうん、それはわかります!
だから、全然認知度に追いついていない状況があるなと思いました。なので、そこをもうちょっと強化したいなと思っているんです!
なるほど!強化したいと思ってはいるけど、具体的な方法はまだわからない、と!笑
まだ見つからないですね笑 だから、地道に発信するしかないんじゃないかな?と思ってますけど。
例えば、「ヨガミュージック」っていうジャンルを作るのも1つの手かも。音楽探す時に、気になるジャンルから「どんなアーティストがいるんだろう?」って探すけど、今は「ヨガミュージック」っていうジャンルが確立しているわけではないから。
あとは、ヨガで使われる音楽ってインストが多いんですよ!
インスト?
インストルメンタル、楽器を使った音楽で声が入ってない曲のことなんですけど、声の入った曲、ダフネ・ツェさんみたいな音楽がすごく少ないからこそより際立って見えるっていうのもあると思うんですね。
確かに、少ない気がしますね。他の方がほぼ思い浮かばない…
日本でそういう方もいるんですけど、「ヨガを始めてから始めた」という方も多いんじゃないかと。だから、まだまだヨガ音楽の土壌っていうのは発展中なんじゃないかと。
だから、この分野ってみんなが興味があるのに、土壌がない状態だから、自分が乗り込んでここで歌を届けられれば面白いことができるんじゃないかな?と思っているわけです。
市場、というか、分母はあると思うんですけど、みんなが興味があるかってわからなくないですか?
そうなんですよ!そこの「興味をどうする?」っていう導線を引っ張りたい!今だと「ヨガミュージックって何だろう?」と感じる方も多いと思うんですよ。ヨガインストラクターの方にとっても。
うんうん。
そもそもとしてヨガミュージックとは何なのか?どういうためのものなのか、といった定義をはっきりさせていく、みたいなところから始めていった方がイイ気もしています。
ふむふむ。
例えば、ロックの中でも、いろんなジャンルに分かれているわけですね。
だからヨガミュージックの中でも、本来、歌ものであったり、インストがあったり、チルアウトミュージック(野原で聞くようなゆったりとした音楽)とか、そういうのもヨガミュージックに含まれてるんですよ。
チルアウトのアーティストもヨガ業界でできると僕は思うんです。そういう人たちは実際にたくさんいるのに、ヨガ業界はそこを認識していないっていうのと、ヨガ業界のみんなが「音楽に対してどう捉えていいのかわからない」っていう状況があるから、そこが繋がってないんじゃないかな?と思ってるわけです。
うんうん。
実際ぼくはそう思ったんですけど、ヨガ音楽ができる歌い手の人は結構いると思うんです。
みんなが音楽に興味を持てばヨガの音楽も増える
うーむ。じゃ、興味を持ってもらうために、どうしたらいいですか?
興味を持ってもらうために、で言うと…
今までにヨガインストラクターの人たちに「どうやって音楽を選んでいますか?」と聞くと「クラスに合う音楽を選んでいる」という方が結構いました。ブラボーミュージックっていうサイトから音源をとってきて、プレイリストを作ってる方が多かったです。
ヨガインストラクターの人たちも「このアーティストいいよね」という選び方をするのではなくて、雰囲気にあった、クラスにあった音楽を持ってきている人が多いから、音楽をツールとしては捉えているけれど、作っている人とかには興味を持っていないなと思いました。
もっとそういうヨガの音楽を作っている人にも興味を持ってもらえれば、ヨガ業界の音楽も盛り上がって、どっちにも相乗効果があると思うんです。
例えば、僕の場合は、「音楽をやるのはライブハウスだけじゃなくて、他にも場所はある」ということに気づいた。そういうミュージシャンもいると思うし、そういう人たちの中でヨガ業界が合う人もいると思うので、ヨガ業界の人たちがそういったアーティストを認知できれば、ヨガ業界の音楽の幅も変わってくるから、「あの先生だったら、ああいう音楽もあって面白いよね」みたいなクラスの選び方が出てきてもいいと思う。
今は「あの先生がかけてくれるあの音楽聴きたいから行こう」みたいなのが無い気がしていて。それはすごく惜しいなと思っていて。
確かに!!音楽に興味を持つ人が増えると、ヨガ業界の音楽も盛り上がるし、音楽が生徒さんとつながるきっかけの1つにもなりうるということですね!
そうなるといいなぁ…
インタビュアーkayaのまとめ
編集部宛に届いた1通のメールから決まった対談ですが、印象的な話がたくさん聞けました。
- ヨガ業界のみんながもっと音楽に興味を示せば、アーティストも増え活動しやすくなり、ヨガミュージックの幅が広がる
- クラスの雰囲気だけで選曲するのではなく、曲の背景やアーティストのことをもっと知ろう
- ヨガミュージックを聞きに行く、みたいなヨガ文化ができても良いと思う
私は音楽に疎いのですが(編集部スタッフから「本当に!」と言われました…)、それでもやっぱり、生演奏や生歌を聞きながらシャヴァーサナをするのは気持ちが良いことは想像できますし、音楽を活用したクラスやイベントがもっと増えることで今までヨガには興味が無かった音楽好きの方々がヨガを始めるきっかけになるのでは?と思いました。
ちなみに、ヨガジェネレーション公式動画『YOGI’s CHANNEL』の6月13日放送分から、オープニングとエンディング曲を沼田さんに制作していただきました。その秘話はまた次回!
ヨガジェネレーションは、今後の沼田さんのご活躍に期待しています!! ぜひヨガ業界の音楽を盛り上げていってください!