ヨガと「悩み」の解消との関係
どのような学びや教えも、どのような正しさも、徹底してそれをやりつくしたからといって、最終的に思い通りの結果が得られるとは、必ずしも保証されてはいません。
ヨガも何千年前とはいえ、人によって作られ、継承されてきたものですから、日々のプラクティスを完璧なまでに取り組んでも、その人から悩みの全てを取り除くことは出来ないのかもしれません。
それでも、多くの先人がヨガを教え、伝えてきたのは、そこに確かな効果を感じてきたからにほかなりません。そしてわたしたちも、そこからまた学び、まわりに伝える役目を担っています。
ある人にとっては、ヨガが身近にある生活を始めたことで、悩みの発生するメカニズムや、そこばかりにとらわれずに希望や夢を意識的に描く習慣がつくように変わったという経験も起きているでしょう。そういったポジティブな変化を、ヨガをする理由のひとつとして挙げる人も多いのではないでしょうか。
さて、その「悩み」の代表格としてしばしば挙げられやすい「人間関係」について、この悩みに苦しめられがちな人にヨガが出来ることを考えてみました。
人間関係とは?
「人間関係」について改めて考えてみましょう。ある理論によると、人間関係というものもひとつの「システム」であるそうです。緻密に構築されていて普遍なものであり、個々の人間の特性はそれぞれ部品のようなもので、複雑に絡み合ってひとつの大きなシステム「人間関係」を組織しているという考え方です。
これをひとりの人間の力だけですっかり変えることは、社会のシステムを変えることと同じくらいに難しいものだということがわかります。なぜなら、人間の持つ性格は見た目に変化はしていても、根本の本質は変わらないためです。
また、他人の行動は予測不可能です。ゲリラ豪雨のように、想像もしたことのない行動を突如起こす人はあちこちにいますし、知っている身近な人の行動でさえ、全て掌握することは誰にも出来ません。
人間関係をスムーズにするには?
以上のことより、人間関係に変化を起こしたいのであれば、予測可能なもので、常に観察をしやすい「何か」への働きかけをすることがカギとなりそうです。
その「何か」とはいったい何でしょう?
それはほかならぬ「自分自身」です。自分の信念や、理想を貫くことで、自分を変えることは出来ますし、他人の目から見てあまり変わったように映らなくとも、自分の内側では満足のいく変化が生まれており、人間関係における居心地が改善されることに繋がるでしょう。そのためには自分が自分を客観視できるようになると良いでしょう。
客観的に自分を眺める練習が、ヨガ
そこで、ヨガの練習へのフォーカスが、自分を変えることに役立ちます。
ヨガでは、「瞑想」がまさにその役割を担ってくれるはずです。呼吸と姿勢を整え、瞑想で自分を内観する時間は、継続することで、何らかの変化を必ず生み出します。
しかし、瞑想がうまく行えないときもあります。また、生真面目に取り組むあまり、かえって逆効果になってしまうときもまたあります。そんなときにおすすめしたいのが、従来とは少し異なる手法で行うアーサナ(ヨガのポーズ)です。詳しいやり方については、後編でご紹介したいと思います。