ヨガインストラクター田村佳世さんがクラスでポーズの修正をしている画像

フリーランスでヨガを伝えたいけど収入が増えません。雇用されるべき?

お悩み:フリーランスでヨガを伝えたいけど収入が増えません。雇用されるべき?

お悩み:自分に合ったヨガに出会い、伝えていきたいですが、 なかなか収入が増えていきません。 雇ってもらう方がいいのか悩んでいます。
お悩み:自分に合ったヨガに出会い、伝えていきたいですが、 なかなか収入が増えていきません。 雇ってもらう方がいいのか悩んでいます。

ヨガインストラクターになって指導を始めてから5年になります。昨年ようやく自分に合ったヨガを見つけることができました。



そのヨガをどんどん伝えていきたいと思っているのですが、周りの環境では低価格(ワンコイン500円や1000未満)ヨガ教室が多く、私もそのあたりの価格でやってきましたが、生徒さんが子を持つママさん達だったため、皆さん段々お仕事を始められてなかなか通い続けてくださる方が少ない現状で、収入が増えていきません。



私も8歳、5歳の子の母、できれば生活費の負担を減らせればという思いと、もっと学びを深めたいという願望を持っていますが、どう動いていけば上手くいくのかどうしても尻込みしてしまいなかなか動けません。



以前は数カ所で教室を開いていましたが、ひどいと1レッスンの利益が400円とか、ガソリン代にしかならないという日もありました。



お金にこだわってはいけないと思えば思うほど、それがストレスとなり、家庭にも悪影響が出てしまって一旦殆どのクラスを終わらせてしまいました。



それでも、やはりレッスンは続けていきたいと思っているので、近所の様々な施設を借りて根気強く、定期的に教室を開いて伝え続けていくべきか、いくつかあるヨガスタジオや、ジムなどで雇ってもらう方がいいのか悩んでいます。



雇用主の求めるヨガと自分が伝えたい内容とのギャップが生まれてしまったらどうしようという不安もあり、まだ踏み出せていない状況です。



ビジネス的な事に疎く、自分自身甘いのかもしれませんが、こんな私でも何かしら道があるのか、アドバイス頂けるととても有り難いです。長文で失礼しました。どうぞ、よろしくお願い致します。

(40歳、ヨガインストラクター歴5年)

田村佳世:小さな会社の社長と同じ立場である、という意識を持ちましょう

フリーランスのヨガ講師として活動するということは、小さな会社の社長とほとんど同じ立場である、という意識を持ちましょう。:田村佳世
フリーランスとして活動するということは、小さな会社の社長と同じ立場である、という意識を:田村佳世

こんにちは!ご質問をいただきありがとうございます。

質問者さんのお悩みは、多分ほとんどのヨガ講師の方達が悩んできたことだと思います。

ヨガが好きでその素晴らしさを伝えたい。でもフリーランスとしての活動だと収入が安定しないし保証もない。生活のためにスポーツジムやスタジオに雇用されると様々な制約があるかもしれない。「好き」と「お金」のバランスを見つけるのは難しいテーマですよね。

(ちなみに私は個人事業主として開業しているフリーランスという道を選んでいます。その経緯については以前記事にしていますので、よかったら見てみてくださいね。
参考:地方で新人ヨガ講師デビュー!クラスを自主開催する具体的な方法

質問内容を読むと「フリーランスで収入を増やしたい」というところが一番のご希望のようなので、今回はそこに向けて改善できることを提案させていただきますね。

「自分の生活のため」にヨガで収入を増やそうとすると罪悪感を感じてしまうかもしれませんが、視点を変えると、より良い内容のクラスを提供し続けるには「生徒さんたちのために」収入を増やすことも必要だと思います。生徒さん達の笑顔のためなら、今直面している課題とも向き合う強い気持ちも出て来ると思いますので、利他の精神でもう一歩前に進みましょう!

フリーランス=社長、という意識を持つ

まずフリーランスのヨガ講師として活動するということは、小さな会社の社長とほとんど同じ立場である、という意識を持ちましょう。

つまり、「ヨガを指導する」というお仕事以外にも、経営、営業、経理、企画、広告等、会社として商品やサービスを販売するために必要な部門を全て自らこなす必要がある、ということです。

もちろん完璧な人間なんていませんので、この中に不得意な分野があるかもしれません。その不得意な分野に関しては、IT技術を導入するか、専門の誰かに委託をするか、それもご自身で意思決定をするのが社長の役割です。

今は便利な時代ですから、スマホだけで完結できるアプリもたくさんあります。まずは自分でできる部門とできない部門を明確にし、できない分野から目を逸らさずにどう対応するか対策を決めましょう。

オンリーワンのヨガ講師として、小さく勝ち続ける

私は講師として自分のクラスも行いますが、スタジオオーナーとして他のヨガの先生にお仕事を依頼することもあります。その時にどう選ぶかというと「講師の独自性」を判断基準にしています。

今ヨガ講師は本当にたくさんいます。でも、「〇〇なヨガ講師」という独自性がなければ、いくらでも代わりのいるその他大勢のヨガ講師と見られ、スタジオオーナーからはもちろん、生徒からも選ばれません。

つまり、生徒さんからしたら「たまたま近所だったから」「時間が空いていたから」「安かったから」という理由でクラスに参加している可能性も高いです。

スポーツジムや大手のスタジオはこの理由で選ばれても良いと思います。でも、フリーランスのヨガ講師がこのような理由で選ばれているとしたら、その生徒さんたちはもっと便利で手軽なヨガクラスができたらすぐに離れてしまうでしょう。フリーランスである以上、個人指名をいただけるヨガ講師である必要があります。

まず取り組んでいただきたいのがご自身の独自性を表現した「キャッチコピー」を決めること。独自性というと皆さん尻込みしてしまいますが、専門性が低くても大丈夫です。わかりやすく親しみやすいキャッチコピーだととても良いですね!

例えば、

  • 常に笑顔のヨガインストラクター
  • 体が硬いヨガインストラクター
  • 働く大人の女性向けヨガクラス
  • 子育てママたちの悩み解決ヨガクラス
  • 更年期女性に寄り添うヨガインストラクター

このようなキャッチコピーをご自身で考えて1つに絞りましょう。

そしてはじめは例え小さなエリアでもその分野で1番になれる地域から発信をしていきます。「〇〇県〇〇市、△△の分野で1番のヨガインストラクター」でいることは、ヨガインストラクターの強みとなり独自性に繋がります。

そして1番で居続けられるエリアを地道に少しずつ増やしていきましょう。ここで一番大切なのは、そのキャッチコピーをずっと変えないこと。コロコロ変えると説得力と信頼が失われます。

「自分にキャッチコピーをつけると仕事が狭まるのでは?」と不安に思うかもしれませんが、生徒さんやお仕事を依頼する立場になって考えれば、答えは明確だと思います。

ご自身のキャッチコピー=独自性を明確にすることは、相手に選ぶ理由を与えることができるし、とてもわかりやすくて親切なことだと私は思います。

年間の事業計画と予算を決める

田村佳世さんのヨガクラス
「ヨガを指導する」というお仕事以外にも、経営、営業、経理、企画、広告等、必要な部門を全て自らこなす必要があります

自分のクラスに値段をつけるのはとても難しいですよね。一番やってしまいがちなことは、他の先生とだいたい同じ値段にすること。

私もヨガクラスを開講するときに周辺クラスの料金をリサーチしましたが、面白いことに謎の相場がありました(笑)。

周りの先生に「なぜその値段なのか?」と聞いたところ、「他の先生もだいたいこの値段だから」「この地域はこの料金じゃないと集客できないから」という根拠のない理由です。自分のクラス料金に経済的な根拠がないと、「採算が取れない=収入にならない」のは当然のこと。

経営的なことに疎いと嘆いていても現実は変わりません。これからもヨガを伝え続けたいなら、社長として強い心でお金の問題に立ち向かいましょう。

ここで取り掛かって欲しいのは、「年間事業計画」と「年間予算」を決めること。毎月一定の収入が得られるのは従業員だけです。フリーランスの収入は変動するものと受け入れ、年間で収入を確保する計画を練りましょう。

年間事業計画を立てよう!

「年間事業計画」は、一年の活動の流れを決めることです。すでに5年もヨガ指導を続けているなら、ある程度生徒さんの流れは読めるはずです。

新規が増える時期(春と秋など)や集客が落ちる時期(年末年始や夏休みなど)、運動会や文化祭、大きなイベントなど活動地域独自の行事もあるかもしれません。まずはひと月単位で集客の流れを予想して書き込みます。

そして次に、それぞれの時期にどんな企画を打ち出していくかを考えます。新規が増える時期に初心者向けのイベントを企画し、ご自身で決めたキャッチコピーに繋げた内容を一年分考えます。

またはどう頑張っても集客を伸ばせない時期はご自身の休みや学びの時間に当てるなど、自分のための時間も確保することも大切ですね。

私たちヨガ講師にとっては淡々と日々クラスを続けていくのがお仕事として安定するし一番簡単かもしれませんが、周りの環境や生徒さんたちの事情にも配慮した事業計画を立てることで、より生徒にとって親切なヨガクラスやイベントが提供できると思います。

年間予算を算出しよう!

そして「年間予算」ですが、先ほど制作した「事業計画」に則した経費と売上を算出します。

日々のクラスで必要な施設使用料や交通費、その他消耗品などにかかる経費をベースにし、「年間計画」で決めたイベントを打ち出すときに追加でかかる広告宣伝等の経費も計上します。あるいは節約しなければならない時期は何を削るかも検討しなければいけません。

年間の経費が見えれば、黒字化するための売上予算が見えてきます。時には赤字になる時期もあるかもしれませんが、でもそれを補うような収入が見込める時期にイベントなどを企画し、年間として黒字にするための予算を決めましょう。

ここで大切なのは、たとえ予想した売上予算の半分の結果になったとしても、ヨガクラスを続けられる売上を確保できる計画にすること。

計画通りにいかないのが現実ですし、当てが外れることもあります。ギリギリの予算計画にすると、その度に「もう続けられない」と危機的状況に追い込まれます。売上が落ちた時でも生き延びられるための計画であるか細かく吟味しましょう。

このように「年間事業計画」と「年間予算」をまず一年分作ってみてください。できればざっくりした内容よりもできるだけ細かい内容であることが大切です。

参加人数ひとり一円単位まで算出する。そうすれば自ずとクラスの料金も算出されるはずですし、ワンコインなどの3桁でクラスを提供するのは現実不可能だと理解できるはずです。

そしてご自身で作った計画を元に日々クラスやイベントなどを行い、その都度結果と改善点をフィードバックして次回に繋げる。そんな風に活動を進めてみてくださいね。

まず1年分、頑張って作ることができれば、2年目以降はその計画を元にブラッシュアップしていけるので、大変なのは最初だけです。めげずに頑張りましょう!

ヨガ指導につながるバイトも視野に入れて

私自身、ヨガ講師だけで生活ができるようになるには5年近くかかりました。

生活できなかった期間は、並行してヨガ指導の向上につながるバイトもしていました。アジャストや解剖学の学びを深めるためにマッサージのバイトもしていましたし、接客業ではお客様対応などホスピタリティを学びました。ヨガ講師の前にはお店の店長もしていたので、上記の事業計画や予算組みもずっと取り組んできたことの1つです。

一見ヨガと関係ないように見える業界での経験も、ヨガを伝えるお仕事につながる学びと経験になる場面がたくさんあります。

明日からすぐにヨガ一本で生活することは難しいかも知れませんが、ヨガインストラクターとしての技術を向上する手段として、ヨガ以外のバイトやお仕事を取り入れていくのも、前向きな選択の1つかも知れません。

自分にあった方法でヨガを伝え続ける

以上が今すぐに取りかかることのできる方法かと思います。

どんな分野でも、ご自身の働き方に合う・合わないは必ずありますので、フリーランスでも所属したとしても、ご自身が納得の行く形でヨガを伝え続ける選択をしてくださいね。

所属ヨガインストラクターにもたくさんのメリットがあります。保証や安定、そしてご自身や家族に何か起きた時でも代行の先生がいてくれるなど、助け合えることも多いですが、フリーランスの場合は自分の自由にできる分、代わりがいないなど1つ1つのお仕事の責任や管理する範囲も大きくなります。

どの道に進んだとしても、ヨガインストラクターとして誇りを持ち、目の前の生徒さん達の役に立てる存在として活躍していってくださいね!応援しています!

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ヨガジェネレーションでは、サントーシマ香先生を始めとしたヨガの先生方、または裏方スタッフであるヨガジェネレーション編集長がみなさまのお悩みを一緒に考えていきます!

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