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お悩み:フリーインストラクターになりたい!どうしたら魅力のある指導者になれる?
こんにちは!ご相談させて頂きます。 私は新卒入社で正社員のヨガインストラクターとして6年働いてきました。
最初は決められた内容のレッスンを覚え、ひたすらレッスンをしてきましたが、慣れてきた頃からレッスンを作成したり、RYT200時間等の資格を取ったり、ヨガインストラクターとしてもそれなりに成長はしてきたと思います。
しかし、周りは店長になり活躍していたり、転職して別スタジオに行ったり、フリーインストラクターに転向して活躍している中、ずっと同じ会社の社員としてレッスンを続けている自分は、このままで良いのでしょうか。
素敵な先生たちが皆、活躍している中、私の魅力ってなんだろう? 来てくれた生徒さんに、私は何が伝えられるだろう? そんな想いを抱いています。
妊娠・出産をして同じ会社に復帰しましたが、フリーインストラクターとして、「もっと活躍できる場を増やしてチャレンジしてみたい!」という気持ちと、「同じ場所でももっとできることはあるのでは?」という気持ちとが、揺れています。
どうしたら、魅力のある指導者になれるのでしょうか。指導者として、人として大切にしている事があれば教えて頂きたいです。
よろしくお願い致します。 (28歳、ヨガインストラクター歴6年)
ヨガ講師としての活躍って何?
こんにちは!ご質問をいただきありがとうございます。
質問者さんのお悩みは、セルフプロデュースが求められる現代において、たくさんのヨガ講師達が悩んできたことだと思います。
ヨガ講師としての自分の魅力がわからない、もっと個人として活躍できる方法を知りたい、という思いは、ヨガ業界のみならず様々な場面で話題にあがるテーマかもしれません。
ヨガ業界でも表舞台で活躍するような人気のヨガ講師がたくさんいますね。そういう方のほとんどがスタジオやジムに所属していないフリーランスのヨガ講師なので、所属していると人気講師にはなれないのではないかと懸念している指導者も多いと思います。「他人の芝は青く見える」という諺通り、所属のヨガ講師からみたら、フリーランスのヨガ講師は魅力的に映るのかもしれません。
ちなみに以前返答させていただいたお悩み相談で、フリーランスのヨガ講師としての活動の仕方についてまとめていますので、興味があったらご覧くださいね。
質問者さんの質問として、「魅力のあるヨガ講師になる方法」というところが一番のポイントかと思いますので、そのためにできることを一緒に考えていきましょう。
ヨガ講師と一般的なフィットネスインストラクターの違い
最初に確認しておきたいこととして、相談者さんは一般的なフィットネスインストラクターと、ヨガ講師(ヨガインストラクター)の違いについてどのようにお考えですか?
これは言い換えると「ヨガ」と「体操」の違いとも言えるかもしれません。RYT200取得の指導者養成講座を学んでいるとのことなのでヨガの歴史や概念についても学んでいると思いますが、ヨガと一般的な体操との大きな違いは、哲学的背景を持っていることです。
ご存知の通りヨガの歴史は深く、5000年以上前から現代まで受け継がれてきた知恵と行法であり、ヨガの本質を示す「ヨガ・スートラ」や「バガヴァッド・ギーター」等の聖典が今もなおヨガ実践者に学ばれ続けています。
聖典・哲学があるからこそ、ヨガはヨガになる
ヨガ以外の体操やエクササイズで、何千年も受け継がれている聖典を元に実践されているものはあるでしょうか?私の知る限りヨガ以外にありません。
つまり、たとえポーズであれ呼吸法であれ、ヨガを学び実践する者はこの聖典を無視できないということ。ヨガがもし聖典を捨ててしまったら、きっと単なる健康体操のうちの1つになってしまうと思うのです。
ヨガの聖典にまとめられている哲学や行法は、時代や国境を超えて私たちがより良く生きるための道標を示し、生きる上で誰もが苦しむ苦悩や問題との向き合い方を示してくれています。
もちろんたったの200時間の講座ではヨガの聖典をすべて理解することは難しいですが、ヨガ哲学もポーズや呼吸法と同じくらい長期的な実践と学びを繰り返すことで、「あぁ、そういうことだったのか!」という理解が深まっていくものです。ヨガの聖典とは、何十年とヨガを実践している人にとっても、ずっと学び続ける大切なヨガの本質なのです。
つまり相談者さんの今の悩みの解決法も、必ずヨガの聖典の中にヒントがあります。ヨガ講師である以上、そしてせっかく講座の中でヨガの聖典を学んだのですから、ヨガの聖典を活用して解決策を考えてみましょう。
アーサナ以前に、ヤマ・ニヤマを実践せよ
私たちヨガ講師が「ヨガを教える」という場合、現代では「ポーズや呼吸法を指導する」という方がほとんどでしょう。そのポーズや呼吸法に言及している重要な聖典の1つ「ヨガ・スートラ」を今回は活用していきたいと思います。
指導者養成講座の中で、ヨガ・スートラの「8支則」について学びましたよね?現代ではヨガの実践を始めるにはアーサナ=ポーズの練習が一般的ですが、ヨガ・スートラを読むと、アーサナの前に私たちが取り組むべきこととして「ヤマ(禁戒)」と「ニヤマ(勧戒)」があります。
つまり、ヨガ指導者においても、「アーサナ(ポーズ)」の指導以前に、指導者として「ヤマ」と「ニヤマ」を実践すべきだと私は考えています。
ここで全てを引用することは避けますが、もう一度「ヤマ」「ニヤマ」各5つの項目について思い出してみましょう。その全ての項目について「ヨガ講師として」どう振る舞うべきか考えてみてください。例えばこんな感じです。
このように、ヨガ講師としてヤマ・ニヤマを実践できいるかどうか、ご自身の答えを一つ一つ考えてみてほしいのです。その中で、相談者さんがヨガ講師としてヤマ・ニヤマを実践できていない項目があれば、それが今ヨガ講師としての悩みの原因になっていると考えられます。
実践できていますか?サントーシャ(知足)
私が思うに今の相談者さんは、「ニヤマ」の中の「サントーシャ(知足)」を実践できていないからこその悩みではないかと分析しています。「知足」とは「欲張らず、現状で我慢せよ」という視点ではなく、「無いものではなく有るものを見よ」という視点です。
今の自分に無いものばかり見ていると、頭の中に「理想の自分」という幻想を作り出してしまい、結果として「理想の自分」と「今の自分」を分けて比較する思考が生まれます。羨ましい、ああなりたい、今の自分はダメな自分、など、自分を卑下するようになりますし、生きていく上での大きな苦しみになります。
こんな時こそサントーシャ(知足)の知恵を用いて、「有るもの」にフォーカスしましょう。
- ヨガを学び実践してきた経験がある
- ヨガを教えることのできる職場環境がある
- 困った時に助け合える先生達がいる
- クラスに会いにきてくれている生徒さんたちがいる
- 今の仕事を理解し応援してくれている家族がいる
など、「無いもの」ではなく、「今自分の中に既に有るもの」をちゃんと見ていくことで、ザワザワしていた気持ちが落ち着きを取り戻し、「有るもの」を大切にしながら、自分の力でもう一歩前に進むことができるのではないでしょうか。
ヨガ講師としての活躍とは何か?
質問者さんが考える「ヨガ講師としての活躍」とは、一体どのようなものですか?
- スタジオの店長になること?
- フリーランスのヨガ講師であること?
- 名前や顔が知れ渡ること?
- 雑誌に載ること?
- 大きなイベントに出演すること?
こんな感じでしょうか?
もちろん人気のヨガ講師は、華やかに見えるし羨ましく感じるかもしれません。でも、私が見てきた素晴らしいヨガ講師で、「もっと自分の人気が出るための活動している」というような利己的な人は誰一人としていませんでした。
「もっと生徒の役に立ちたい」、「もっと良いクラスを提供したい」、「困っている新米ヨガ指導者の助けになりたい」という利他の精神で活動している結果として、生徒や新米ヨガ講師の支持を得ているのです。
つまり、魅力的で活躍しているヨガ講師は皆、誰かのために一生懸命学びと実践と指導を続けています。まさに「カルマヨガ(無私の奉仕)」の精神であり、だからこそ哲学的背景を持つヨガの世界で輝きを放つのでしょう。
以上のことから、質問者さんがこれからどんな活動をするかについて、少しずつヒントが見えてきたと思います。ご自身が今後ヨガ業界の中でより活躍していく方法としてできることは、
- 今の自分自身の中に有るものを改めて見直す(サントーシャの実践)
- その有るものを使って「誰のために」「何ができるか」を考える(カルマヨガの実践)
- その「誰かのために」できることを、より良い形で提供できる具体的で可能な方法を決める
これは私の意見ですが、「生徒のためにヨガを指導し続けること」はヨガ講師の一番の役割であり、所属していようがいまいがヨガ講師として日々取り組まなければならないことにさほど変わりません。大切なのは、所属しているかいないかではなく、どのような環境であれヨガ講師として「誰かの助けとなる存在で居続けること」だと私は思います。
生徒のためのヨガ講師でいよう
質問者さんには、長年学び続けたいと思うような、心から素晴らしいと思えるメンターのような指導者の存在はありますか?そのような存在を知らないと、ヨガ講師としてどう有るべきかを見誤る可能性も高いです。
本当に素晴らしい指導者というのは、目立っていて華やかで、いつも表舞台にいる先生とは限りません。あえてそういう場をお断りしている指導者もいますし、大きなイベントよりも日々のクラスに何十年も情熱を注いでいる指導者もいます。
「本当に素晴らしい指導者」とは一体どんな存在で、どんな振る舞いをしているのか。ヨガを体現している指導者と出会うことが、最初にすべきことかもしれません。
ヨガ講師とは、「自分が輝くための仕事」ではなく「生徒を輝かせるための仕事」です。生徒がヨガの素晴らしさを心から理解できたとき、求められるヨガ講師になるのです。私自身の経験上、これまで取り組んできたことのほとんどは、生徒さんやそのご家族・関係者の方々からお声掛けを頂いてきたお仕事ばかりです。
もちろん自分自身で良いクラスを提供できるように、そして生徒さんたちの役に立てるように努力と発信は常に続けていますが、「クラスを増やして欲しい」、「出張クラスに来て欲しい」、「指導者育成をして欲しい」など、ご要望に応えながら今まで活動の場を広げてきました。上部だけの小細工をせずとも、そもそも求められるヨガ講師であれば自然と活動の場は広がります。
「自分の活躍の場を増やしたい!」というエゴ=利己心は捨てて、「あなたにお願いしたい」と言われるヨガ講師になることをまず目指してみてください。
そのために今の質問者さんにできることは何でしょうか?
- クラス内容の見直し
- 自分の活動を表現しているツール
- 発信の仕方
- 必要な学びと実践
など、改善点が見つかると思います。そして最後に考えることとして、同じ環境で活動するのか、それともフリーランスとして様々な場所で活動するのかを検討しても遅くないと思います。
私は集団行動が苦手という自分の気質上フリーランスという道を歩みましたが(苦笑)、フリーランスには向き不向きもありますし、フリーランスだからと言って凄いとか偉いとか関係ないです。フリーランスだろうが所属だろうが、ヨガ講師が取り組まなければいけない一番大切な仕事は同じでひとつですから。
まずは自分自身のことをよく理解し、その先に生徒の役に立てるような魅力的なヨガ講師として”何をすべきか”よく考えてみてくださいね。応援しています!
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