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妊娠中は適度な運動が推奨されますが、どのような運動がいいのか悩んだことはありませんか?運動をすることで赤ちゃんを傷つけてしまわないか、何かリスクはないか、慎重になってしまいますよね。しかし、早産などのリスクは、運動することで軽減できるという研究結果が出ていることをご存知でしょうか?
本記事では、妊娠中の運動とよくあるリスクの関係や妊娠中にできる運動と控えた方がいい運動について紹介していきます。
妊娠中の運動とリスク
運動と流産のリスクの関係
流産は妊娠初期、特に妊娠6〜7週に起こりやすく、約6人に1人の確率で起きていると言われています。
日本産婦人科学会によると、早期流産の多くが受精時の染色体異常によるものとされており、母親の妊娠初期の仕事や運動が原因であることはほとんどないそうです。
また、流産のもう一つの原因は子宮の代謝不良です。子宮の代謝不良は運動不足によるもののため、悪阻(つわり)がなく活動できそうな日は、妊娠初期でもできる軽い運動(ウォーキングなど)を心がけると良いと言われています。
身体活動量と出産時のリスクの関係
約8万6千人の妊婦を対象とした、横浜市立大学と富山大学の共同研究グループによる調べによると、母親の身体活動量が少なければ少ないほど、早産・帝王切開・器械分娩のリスクが高まることが明らかになりました。
そして、身体活動量が「中等度(8.3〜23.0 Met時/週)」とされたグループは、早産・帝王切開・器械分娩のリスクが一番低かったことがこの調査結果で分かりました。
※Metsとは、運動強度の単位で、安静時を1とした時と比較して何倍のエネルギーを消費するか活動の強度を示したもの。(引用:厚生労働省 e-ヘルスネットより)
「中等度(8.3〜23.0 Met時/週)」の上限23.0 MET時/週は、3.0 Metsのウォーキングや床掃除などの家事を毎日60分行うことに相当します。
ヨガは2.5〜3.0 Metsのため、家事が少ない日やあまり歩いていない日に取り入れたり、短時間のヨガを習慣的に行うと「中等度」の活動量を保つことができるでしょう。
また、適度な運動は運動不足の解消だけではなく、流産や早産・帝王切開・器械分娩のリスクを減らし、健康的な出産を迎えることにつながるため、ぜひ妊娠生活に取り入れていきたいですね。
続いて、妊娠周期ごとに適切な運動や控えた方いい運動について見ていきましょう。
妊娠周期と適切な運動
妊娠初期にできる運動
妊娠初期は妊娠0週目〜15週目までをさします。4週目ごろから悪阻が始まり、尿の回数が増えたり、便秘になったりします。子宮が大きくなることで脚のつけ根に痛みを感じる人や強い眠気を感じる人もいるでしょう。
一方、この期間中に赤ちゃんの器官が一気に形成されていきます。1mm程度だった赤ちゃんは6週目には二頭身に成長。4週目になると臓器もほぼ完成します。
妊娠初期は母体の体調も不安定で、赤ちゃんの重要器官をつくっていることから、激しい運動は禁物です。妊娠前から日常的に運動をしていた方でも、心拍数が上がりすぎる運動、転倒しやすい運動は止めるようにしましょう。
妊娠初期は、ご自身の体調と相談しながらウォーキングやストレッチ、ヨガなどの軽い運動がおすすめです。
妊娠中期〜後期にできる運動
妊娠中期は妊娠16週目〜27週目をさします。胎盤が完成して流産の心配が減り、安定期と呼ばれる時期です。お腹が大きくなったことにより、腰痛、脚のつりやむくみなどに悩まされる時期でもあります。
妊娠中期になると、マタニティ向けのヨガクラス(マタニティヨガ)やマタニティビクス、マタニティスイミングに参加できるようになります。妊娠中期の不調は適度な運動によって緩和できるので、主治医と相談して始めてみるといいでしょう。
妊娠中期〜後期はお腹が大きくなることにより、体の重心が妊娠前と変化します。そのため、転倒の恐れのあるバランス感覚が必要な動き、お腹を圧迫するようなうつ伏せやねじりの体勢は控えましょう。
また、筋トレなどの無呼吸に陥りやすい運動は血圧を上げる恐れがあるため、同様に控えた方がいいと言われています。
妊娠初期から後期まで安心して行えるウォーキングとヨガ。次に、ヨガがよりおすすめな理由についてご紹介していきます。
マタニティヨガがおすすめな3つの理由
気軽に体力づくりができる
マタニティヨガは、ヨガのポーズの中でも妊婦の私生活や出産を考慮したポーズが多く取り入れられていることが特徴です。たとえば、血流を良くして手足のむくみを解消する、腰痛を和らげる、出産時に必要な筋力を鍛えるポーズなどがあります。
マタニティヨガクラスのインストラクターは妊娠周期に合ったポーズや軽減法を熟知しているため、妊娠前からヨガをしていた人でも行ってみることをおすすめします。そこで学んだポーズの中で、家でもできそうなものを習慣的に行うといいでしょう。
近くにマタニティヨガクラスがない場合は、関連書籍やDVD、最近はマタニティヨガ専用アプリもあるので、それらを見ながら実践することも可能です。ヨガはポーズが分かれば家でも気軽に行えます。自分の体調に合わせて強度や回数を調整できるので、負担なく続けられる点が魅力です。
心を落ち着かせることができる
妊娠期はホルモンバランスや身体の急激な変化で精神的に不安定になりがちですが、ヨガは妊娠中の不安やストレスと上手に付き合うツールとしても役立つと言われています。
ヨガはポーズを行っているアクティブなイメージを持たれがちですが、座った状態や寝た状態で行う静的なものもあります。たとえば、プラナヤマ(座って行う呼吸の練習)、瞑想、寝ながら行うヨガニードラやリストラティブヨガなどが静的なヨガとして挙げられます。
リストラティブヨガでは、体力や筋力を強化するポーズではなく、力は入れず重力に身を委ねるようなポーズを深い呼吸と一緒に行うことで自律神経が整い、疲れやストレスを軽減できます。
また、座りやすい姿勢で深い呼吸を意識的に続けるプラナヤマや瞑想、寝た状態で行うヨガニードラでも深いリラックス効果が見込めます。
このように、ヨガは運動不足の解消や体力づくりだけではなく、心を落ち着かせる働きもあるので妊娠中の運動としておすすめです。
産後も続く仲間ができる
小学校や中学校とは異なり、妊娠出産のタイミングは人それぞれ。早く妊娠する方もいれば、30歳以上で妊娠する方もいます。
さらに近年は女性の社会進出により、友達と同じタイミングで妊娠し、悩みや不安を共有し合えるケースが少なくなってきています。
マタニティヨガクラスに行くと、自分と同じ時期に妊娠している仲間と出会えます。一緒にヨガをするだけではなく、悩みや不安を分かち合ったり、妊娠生活に関する新しい情報を得られたりします。
また、マタニティヨガの後は「産後ヨガ」と呼ばれる産後専用のヨガがあるため、出産を終えた後は、産後ヨガに一緒に参加する楽しみもあります。
マタニティヨガは本格的に学ぶともっとお得
マタニティヨガクラスへ行ったり、関連書籍やDVDで学んだりするのもいいですが、時間に余裕があれば、マタニティヨガインストラクターの資格にチャレンジするのもおすすめです。
最近は「マタニティヨガ指導者養成講座」にヨガインストラクターだけではなく、ヨガの経験が浅い妊婦が自身の学びのために受けに来ることが増えています。
マタニティヨガ指導者養成講座では、ヨガのポーズだけではなく、妊娠中の女性の体やお産の知識もしっかり学べるので、自信を持って妊娠生活を送れるようになります。
3日間の短期集中型から、週1ペースで通うタイプまで通学スタイルは様々。ご自身のライフスタイルに合わせて選んで受講できる点が魅力です。
さらに「マタニティヨガ指導者養成講座」で得た知識は、自分の次の妊娠や友人の妊娠、将来子どもが妊娠した時にも役立ちます。
女性にとって大きなライフイベントである妊娠期を自分と赤ちゃんのために学びに費やすのはいかがですか?