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あなたのストレスに対するイメージをチェック!
突然ですが、下記の質問のうち、あなたのストレスに対するイメージはAとBどちらに近いでしょうか?
A.はい
B.いいえ
Q2.ストレスがあると、私の健康や活力が悪くなる。
A.はい
B.いいえ
Q3.ストレスがあると、私の学びや成長が
A.妨げられる
B.助けられる
Q4.ストレスがあると、私のパフォーマンスや生産性が
A.低くなる
B.高まる
「ストレスは悪いもの」という思い込み
Q1とQ2はストレスの有害性に関して、Q3とQ4は有用性に関してあなたのマインドセットを確認する質問です。Aが多いほどストレスに対して悪いイメージがあり、Bが多いほど良いイメージを持っています。あなたの結果はいかがだったでしょうか?
上記の質問をInstagramとFacebookを用いてアンケート調査をさせて頂きました。他の人はどんなイメージを持っているのか、その結果を見ていきましょう!
ストレスの有害性については、やはり悪いイメージを持っている方が多いようですね。一方、有用性については良いイメージを持っている方が多い印象です。
Q1とQ2でAを選んでも、Q3やQ4はBを選ぶ、つまり「ストレスは健康にとって悪いと思っているけど、有用性はある」と思っている方が多いのが、とても興味深かったです。
また、「10年前ならBだけど今はA」と答える方もいらっしゃり、ストレスに対するイメージは、変化する可能性がある、ということもわかりました。
アンケート以外にも、ヨガに携わる方がストレスに対してどのようにイメージをしているのか探るべく、試しに「ヨガ」「ストレス」という2ワードでGoogle検索を行ったところ、下記のような文言がたくさん出てきました。
- ストレス発散できるヨガポーズ
- ヨガはストレス解消にオススメ
- ストレスからの解放
- ヨガはストレスに効く
こういった文章の根底にも、「ストレス=悪者」で「なるべくない方が良い」という思い込みが見え隠れするような気がします。
ストレスに良いイメージを持っている人は寿命が長い!
それでは、本当に「ストレス=悪者」なのでしょうか?実は、ストレス自体が健康を害するのではなく、ストレスに対する悪いイメージが健康を害する、ということが分かってきています。
そのことを証明するアメリカで行われた調査結果を紹介します。まず3万人の実験参加者が、次の2つの質問に回答しました。
- この1年間でどれくらいのストレスを感じましたか?
- ストレスはあなたの健康を害していると思いますか?
このアンケートを実施してから8年後、参加者のうち亡くなった方を調べたところ、興味深い結果が出たのです。
- 強度のストレスを感じていた人は43%も死亡リスクが高かった。
- 最も死亡リスクが低かったのは、強度のストレスを感じていた人
(ただし、ストレスは健康を害していると考えていた人たちのみ)
(ただし、ストレスは健康を害していると考えていなかった人たち)
最も死亡リスクが高い人が、強いストレスを感じていた人達というのは納得です。驚きなのは、最も死亡リスクが低い人たちは、ストレスを感じていない人ではなく、強度のストレスを感じていながら、ストレスは健康を害していると考えていなかった人たち、という点です。
つまり、ストレスには良い面と悪い面の2面性があり、自分の身体がどのように反応するかは、その人のストレスに対するイメージ次第!ということなのです。
前回の記事で、「気持ち次第で痩せるか、痩せないかが決まる」という話をお伝えさせて頂きましたが、気持ち次第であなたの寿命も変わるのです。
さらに興味深いことに、強いストレスを感じている人ほど、人生に生きがいを感じていて、幸福度や満足度が高い、とも言われています。つまり、ストレスは避ける必要はないのです。むしろ、ストレスを受け入れ、活用していくことであなたの人生が実り豊かになっていきます。
ストレスで困っている生徒さんが来たときどうする?
この事実を知った時、私が疑問に思ったのは、「ヨガはストレスを減らす効果があります」という文言です。ストレスは良い面もあるのに、減らしてしまうのでしょうか?そもそも、なぜヨガはストレスを減らす効果がある、と言われているのでしょうか?
それは、ヨガを行うと、ストレスを感じた時に放出されるコルチゾールというホルモンを抑える効果がある、と示されているからです。
善玉ストレスホルモンと悪玉ストレスホルモン
ストレスを感じた時に放出されるホルモンは2種類あります。1つがこのコルチゾール、もう1つはDHEAと呼ばれるホルモンです。これが、ストレスは良い面と悪い面の2面性がある、という正体です。
簡単にお伝えすると、コルチゾールが放出されると健康を害し、パフォーマンスや生産性も落ち、ストレスの悪い影響を受けることになります。逆に、DHEAが放出されると健康には良い影響があり、パフォーマンスや生産性も高まるのです。腸内細菌でいう善玉菌と悪玉菌のようですね。
どちらのホルモンが放出されるか、というのはあなたのストレスに対するマインドセットによって決められます。また、ヨガをするとコルチゾールが減るということは、「ストレスを減らす」というより、「ストレスの“悪い面”を減らす効果がある」という方がしっくりくると思います。
「ヨガはストレスを減らす」という文言は逆効果?
ストレス解消のためにヨガに来ている生徒さんに、「ヨガはストレスを減らす効果がありますよ!」とだけ言うと、逆効果かもしれません。なぜなら、本来ストレスは多くても構わないのに、「ストレス=悪者で、排除すべきもの」というマインドセットを植え付けてしまいかねないからです。
私の主観ですが、下記の3点をお伝えするのが良いかもしれません。
- ストレスは良い面と悪い面の2面性がある
- 良い影響を受けるか悪い影響を受けるかは、あなたのストレスに対するイメージ次第
- ヨガは、ストレスの悪い面の影響にさらされている時、それを減らす効果がある
ストレスに対するイメージは変わったでしょうか?ストレスは、人生が上手くいっていない印ではなく、生き甲斐となる活動や人間関係に、どれだけ熱心に取り組んでいるかを示すバロメーターです。ストレスを味方につけて、充実した人生を送りましょう!
最後に、本記事執筆にあたり、アンケートにご協力頂いた皆様、誠にありがとうございました。
参考資料
- Keller A, et al, Health Psychol., 2012 Sep;31(5):677-84.
- ケリー・マクゴニガル(2015)『スタンフォードのストレスを力に変える教科書』神崎 朗子訳, 大和書房