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下腿三頭筋は、ふくらはぎの筋肉の総称で「腓腹筋」と「ヒラメ筋」で構成されています。下腿三頭筋の主な作用は足関節底屈(足首を伸ばす)で腓腹筋は足関節底屈に加え膝関節屈曲の作用があります。また、足関節底屈をする筋肉ということは、次の動作でも働きます。
- 歩行時における、足を後方に蹴り出す際の足首を伸ばす時
- ジャンプ動作における、足で強く地面を押す際
大腿四頭筋、大臀筋、脊柱起立筋などと同様、立位姿勢を保つために働く「抗重力筋」に該当します。今回は、そんな足首の筋肉の代表格「下腿三頭筋」の機能解剖について解説します。
下腿三頭筋が働くアーサナ
- 舟のポーズ
- 蛍のポーズ
- 木のポーズ
- ダウンドッグ
1や2のような足先を伸ばすアーサナや、3のように片足で立つバランス系のアーサナでも働きます。一方、4のダウンドッグなど前屈系のアーサナや長座前屈、深い前屈のポーズをすると下腿三頭筋はストレッチされます。大腿四頭筋、ハムストリングス、大臀筋の大きな筋肉に比べたら筋肉の収縮を感じにくいですが、足元を安定させるために大事な筋肉です。
下腿三頭筋の基礎知識
起始[筋肉の付着部位(支点)]
- 腓腹筋内側頭:大腿骨内側上顆
- 腓腹筋外側頭:大腿骨外側上顆
- ヒラメ筋:腓骨頭から腓骨後面ならびに脛骨ヒラメ筋線
停止[筋肉の付着部位(作用点)]
- 腓腹筋、ヒラメ筋:踵骨隆起
作用
- 足関節底屈
- 腓腹筋のみ膝関節屈曲
冒頭でも述べたように下腿三頭筋は腓腹筋とヒラメ筋をあわせた総称になります。2つの筋肉の共通する作用は足関節底屈です。それぞれ踵の骨に付着するのですが、腓腹筋とヒラメ筋は踵までの走行途中に合わさり「アキレス腱」を構成します。
腓腹筋とヒラメ筋の違いは起始部です。上記のとおり、腓腹筋の起始部は大腿骨で、ヒラメ筋は脛骨と腓骨です。腓腹筋は大腿骨から踵まで付着する間に膝関節をまたぎますので、膝関節屈曲の作用があります。一方でヒラメ筋は脛骨、腓骨から付着するので膝関節を動かす作用はありません。このように起始部の違いでそれぞれの働きが変わります。
ダウンドックで柔軟性をチェック
例えば、ダウンドッグをする際、足首が硬くて踵を床に着けることができない人がいますね。その理由の1つに腓腹筋の柔軟性低下が考えられます。その場合、膝関節を少し曲げることで腓腹筋は緩みますので、踵が床に着くはずです。それでも着かない場合、足関節自体が硬くなっている可能性があります。
指導者によってはダウンドッグのポジションで踵の上げ下げ(カーフレイズ)をして、足先で地面を捉えるようなイメージ付けをさせることがあります。この時、膝関節を伸ばした状態でカーフレイズをすると腓腹筋をメインに足関節を動かすことになり、膝関節を少し曲げた状態で行うとヒラメ筋をメインに足関節を動かすことになります。
前屈系では足関節のポジションを調節し、下腿三頭筋をコントロール
一方、身体を深く前屈ができない人がいますが、その理由は
- 腰椎・骨盤の可動性低下
- 股関節の関節可動域の低下
- ハムストリングスの柔軟性低下
- 足関節の背屈が上手く行えていない
といった可能性も。
足関節背屈制限の原因はやはり腓腹筋の柔軟性低下が考えられます。その場合、フェイスタオルを折り畳んで厚さ3センチほどの高さを作ります。そして、踵をフェイスタオルの上に乗せて足先を地面に落としから前屈してみてください。
こうして足関節が底屈位になることで腓腹筋は緩み、足関節屈曲の動きが必要なくなります。結果、脊柱、骨盤、股関節に意識を置きやすくなるのです。
積極的に動かせば、冷え対策にも
下腿三頭筋は主に足関節を安定させる役割がありますが、他にも下肢の循環を促す役割があります。主に血液循環は心臓が担っていますが、地球には重力がありますので身体の1番下にある足首周りは心臓の脈動だけでは循環されにくいです。それを下腿三頭筋が筋収縮をすることで血管を圧縮し血液を足から心臓部へ戻すサポートしてくれます。
下腿三頭筋が「第2の心臓」と呼ばれる理由はこのためです。女性が足のむくみが出やすいのは男性に比べて筋力が弱いからだと言われています。つまり、下腿三頭筋による血液循環のサポートが男性に比べて弱いということです。
今から寒くなる冬場で足先が冷えるという女性は積極的に下腿三頭筋を動かすようにして冷え対策をしましょう。