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柔軟性を測る上で最もポピュラーな体位は何でしょう。おそらく、多くの人が最初に思い浮かべるのは前屈なのでは?
前屈は柔軟性が評価しやすく、誰でも行い易く分かり易いポーズでもあるので、体育の時間のスポーツテストなどでも柔軟性を測るひとつの項目でもありますね。
日常生活でも後屈よりは断然多い体位でもあるこの前屈。今回はそんな、身近な体位でもありヨガでも欠かす事のできない重要な前屈について、お馴染み、長座前屈パスチモッターナーサナを深めるための練習や、その意味について探っていきます!
パスチモッターナーサナの効果やポイント
パスチモッターナーサナ 名前の意味は?
ヨガのアーサナ名には動物や植物の名前など、自然界の森羅万象様々な意味を含んでいる場合が多いですが、方角を表す言葉も使われています。
そのひとつがパスチモッターナーサナ。パスチモとは「西」の意味。ヨガで言う西って身体のどこなのかということですが、これは太陽礼拝をイメージするととてもよくわかります。
日の出(東)を仰ぐ太陽礼拝では、当然身体の前面が東を向いています。つまり西側とは背面、後頭部から背中から腿裏、膝裏、踵までのことを指します。
西(パスチモ)を、伸ばす(ターナ)ポーズということです。
ちなみに、頭頂が北で、足の裏が南だと言われています。関係ないかもですが、私はこれを「頭は熱くならないように冷静で居た方がいいし、足は冷やさない方がいいからかな」なんて理解しています。
パスチモッターナーサナ その効果
パスチモッターナーサナの体への効果は形を見ても分かる通り
- ハムストリングを伸ばす
- 股関節の柔軟性を高め骨盤周辺の血行を促す
- 女性にとっては卵巣を刺激することで月経を正常化する
という嬉しい効果も。
若返りのポーズとも呼ばれるだけあり、姿勢の改善、柔軟性の向上、そして腎臓肝臓を刺激して身体機能の活性化につながります。座位で行うぶん、精神面では前屈特有の心を落ち着ける効果がとても高く、ストレスを解消しスッキリさせてくれます。
呼吸を感じる練習には最高のアーサナ!
パスチモッターナーサナの何よりの特徴は、アーサナをキープする最中に呼吸への意識をむけやすいことでしょう。また、呼吸はパスチモッターナーサナの柔軟性を高める効果を大きく左右します。
ここからは呼吸によってパスチモッターナーサナを深める効果的な手順をご紹介していきます。
呼吸による微細な変化を味わう
柔軟性を高めるために重要なことは、
まずは使う筋肉を意識すること
この際、筋肉を収縮させるのではなくて、なるべくリラックスした状態で行うと、体の感覚に邪魔されずに意識のみをその部位に向けることができます。
次に、使う筋肉を収縮させる
最終的にしっかり緩めるためにも、筋肉を収縮させることはとても重要な行程です。これは逆の場合も言えることで、例えば筋肉を鍛えたい時も、引き締めるだけでなく緩めることで伸張率が高まり、より効率的に結果が出てきます。
息を吐きながら緩める
一度収縮させた筋肉は緩みやすくなります。吐く息で心地良く緩めるまでが1セット。呼吸を繰り返してキープします。
では、パスチモッターナーサナで上記の行程をどう意識して行うのが良いか見ていきましょう。
- 長座から、まずは軽く膝を曲げて上体を倒し、脱力する。
- 吸う息でおへそを縦長に伸ばすような意識で下腹部を引き上げ、同時に坐骨と手でで床を押し股関節を後ろへ引き込む。
- 吐く息で腰から前にたおれる。
腰回り、そしてお腹周りを緩めることが目的です。数呼吸ゆったりと繰り返します。
この時、手では床を前に押し、坐骨では後ろに押すようにイメージして。内腿を軽く寄せ合うと腿の前側も引き締まるので前屈の準備が一層整います。これにより、腸腰筋(腰椎と大腿骨を結ぶインナーマッスル)が収縮し、前屈しやすくなります。この状態で数呼吸キープする、または吐く息でより強め、吸う息で緩めるを数回繰り返すとより効果的です。
いよいよ前屈。猫背にならないように意識するあまり腰が反らないように、腰から丁寧に二つ折りになるよう心がけましょう。そこで呼吸。
吸う息ごとに坐骨で床を押して下腹部を引き上げ腰を伸ばし、吐く息ごとに前屈を深めます。少しずつ坐骨を後ろに引いて無理なく膝の裏を伸ばしていきましょう。
呼吸に合わせダイナミックに動き効果を高める
よりダイナミックに拮抗筋を使い効果を高める方法もオススメです!
- 吸う息で両腕を上げ頭上で指を組む。
- 次の吸う息で上体を起こしたら両手を肩の下についてお尻を上げる。
- 吐く息でお尻を手のあいだに下ろして長座へ。
ここで下腹部を引き上げ腰を伸ばします。吐く息で股関節から体を倒し組んだ手は足裏にかけて首や肩の力を抜きます。
なるべく膝を引き寄せてお尻や腿裏を引き締め、お腹側を伸ばしてストレッチします。
これを繰り返します。数回繰り返したら前屈したところでかかとの位置はそのままに坐骨を少しずつ後ろへ引いてみましょう。心地良く膝裏、腿裏が伸びるところでキープして。
呼吸をゆったり繰り返しながら、意識を内側へとシフトしてアーサナを深めていきます。
まとめ
いかがでしたか?ヨガの前屈を語る上で外せないアーサナ、パスチモッターナーサナの深め方について、ご紹介しました。
アーサナはひとつの型で完全に静止するものではなく、呼吸するごとに伸びたり緩んだりしながら少しずつ深まっていくものです。パスチモッターナーサナは、呼吸が深まることこそがアーサナの完成度を左右するというヨガの大切な感覚を理解する、とても有効なアーサナですよね☆
そして同時に心が平穏に整っていく感覚をぜひ、ご自身と向き合って味わってみてくださいね。
12月は1年の総括の月!心も体もリラックスして今のご自分の呼吸、体、心を観察するために、前屈のアーサナにフォーカスしていきます。
次回も、お楽しみに!