細胞の中の発電所、ミトコンドリア
ヨガをしていると、「内側からのエネルギーを感じて」「エネルギーをめぐらせよう」といった言葉を聞いたことがあるかもしれません。でもそのエネルギー、どうやって体内で発生しているか、メカニズムについてはご存知ですか?
キーワードは「ミトコンドリア」
学校の理科の授業で一度は聞いた覚えのある言葉ではないでしょうか。ミトコンドリアはすべての細胞の中にある小器官のひとつです。
細胞全体の10~20%を占めています。ミトコンドリア自体が二重螺旋の遺伝子を持ち、細菌の形態に近いため、生き物の進化の過程で別の生物である細菌が細胞に取り込まれ、共生したのではといわれています。
ミトコンドリアは、生き物が生きるために必要なエネルギーを作り出している発電所と言ってもいいでしょう。どのようにエネルギーを作り出すかはとても複雑で奥の深い領域なんだそうです。
簡単にいうと、食べ物から取り出された水素を、呼吸で取り入れた酸素と反応させて、エネルギーを発生させます。このエネルギーは電気が貯められないのと同じように、貯めておくことはできません。
そこでミトコンドリアは、水素や酸素を早く反応させたり、ゆっくり反応させたりしてエネルギー量を調節しています。これが呼吸の速度に反映されます。運動をすると呼吸が激しくなり、休むとゆっくりと穏やかになるのはこのためです。
ミトコンドリアが体のエネルギーを作り出す能力を高めると、食べたものをどんどんエネルギーに変えることができ、いつまでも若々しく、元気に健康に動き回ることができます。これが基礎代謝を高めることにつながります。
効率的にエネルギーを生み出すことが必要
残念ながらこのエネルギー発生のシステムは、活性酸素の主要な発生源にもなっています。活性酸素は免疫の中で重要な役割を担ってもいますが、同時に体をサビさせる原因でもあります。
加齢とともにミトコンドリアからの活性酸素が増え、それが細胞機能に悪影響を与えるという「老化におけるミトコンドリア遺伝子変異蓄積説」も出てきました。
そこで効率的にエネルギーを作る、質の良いミトコンドリアを増やすことが望まれています。動いたり考えたり、食べたり飲んだり…体は何をするにもエネルギーを必要としています。生きるとはエネルギーを作り続け、使い続けることに他なりません。このエネルギーの供給が滞ると、疲れやすくなったり、息が上がったりします。つまり体の機能が低下しているわけです。
これはミトコンドリアがエネルギーを作る能力が低下している、ということでもあります。つまり取り込んだエネルギーの材料が、使い切れずに終わってしまうのです。使い切れないエネルギーの元は脂肪などになって体に溜め込まれたり、肥満や生活習慣病の原因になったりします。
ミトコンドリアを増やすには
最近になって、細胞の中のミトコンドリア自体を、ちょっとした生活習慣や運動によって1週間程度で簡単に増やせることもわかってきました。それまで運動を特にしていなかった人が、1週間も続ければ同じ運動量をより楽にこなせるようになるのは、体内のミトコンドリアが増え、エネルギーを効率よく作り出すことができるようになったためです。
ミトコンドリアは持久力に関係する筋肉に多く含まれるということがわかっています。特に姿勢を保つための筋肉、背筋と太股の筋肉に多く含まれているそうです。日常生活の中で背筋を意識して伸ばし、ほんの少し大きく歩幅をとって歩くだけでもミトコンドリアを増やすことができます。
ヨガはミトコンドリアの増加に効果的!
バランスをとるような片脚立ちの木のポーズや、有酸素運動、ヨガのようにゆっくりとした動作で姿勢を保つ運動は、ミトコンドリアを増やすのにとても効果的。1週間ほど続けるとミトコンドリアが活性化され、基礎代謝が上がってきます。
ちょっとだけ背筋を伸ばしたり、電車の中で片足立ちをしたり。ヨガに加えて、簡単な動きを日常生活にも取り入れてみてください。1週間ほどで体の調子が変わってくるでしょう。体が細胞レベルで、まだまだ若返ってくるかもしれません!