唯一コントロールできる「呼吸」をもっと知ろう!
ヨガと深いつながりを持ち、クラスの中でも常に意識を向けるようリードされる、呼吸。そんな「呼吸」について、どんなイメージをお持ちですか?息を吸い、そして吐くという行為そのものでしょうか。または、酸素を吸って二酸化炭素を吐き出す、というような生理学的な理解でしょうか。どちらも正解ですね。
人がこの世に生まれて、一番最初にするのは息を吸うこと。そして、一番最後、つまり死に面したときにすることが息を吐くこと、ともいわれています。つまり生きている間、人と呼吸は切り離すことができません。
もちろん生きていくために、消化や排泄など、他の身体活動も不可欠です。こうした生命活動は自律神経に支配されており、通常は意識的には操作することができません。一方で呼吸は、自分の意識次第で、いかようにもコントロールできるという特徴を持っているのです。
また、その呼吸の使い方で自律神経にも働きかけることができるため、結果的には消化や排泄などの身体活動にも影響を与えることが可能になるのです。
呼吸はエネルギーの源
呼吸を西洋医学的、つまり生化学反応的にみると、ただ酸素を吸って不要な二酸化炭素を吐き出すだけでなく、「有機物を分解してエネルギーを獲得すること」となります。
つまり身体に呼吸を取り入れることで、生命維持のためのエネルギーを生み出す化学反応を導くのも呼吸です。
ヨガはエネルギーワークといわれることもあります。また健康法としても知られるインドの生命科学アーユルヴェーダの中でも、呼吸はとても重要なものと位置付けられています。
呼吸法とは、呼吸によって心や身体の機能を向上させることを目指す訓練法です。そのため、ヨガのみならず、武術、気功などでの基本とさえいわれ、仏教でも学ばれるものだそうです。また、スポーツで活躍するアスリートの中でも、それぞれ独特の呼吸法の習得訓練が行われています。
今では多くの人がヨガポーズ(アサナ)だけがヨガではなく、「ヨガ=呼吸法」でもあることを知っているのではないでしょうか。
人の感情ともつながる、呼吸
また、呼吸は様々な感情をも表します。人は怒っているときは荒い呼吸をしますし、焦っているときには短くて速い呼吸を、逆にリラックスしているときはなめらかにゆっくりと呼吸をしています。
「呼吸」や「息」という言葉を調べると、
など、人間関係や感情を表す言葉が出てきます。
ヨガの深い呼吸法は、乱れていた感情を平常心に戻し、集中力を高めていく効果があります。この作用を利用し、呼吸をコントロールすることで心を落ち着かせ、感情をコントロールすることができます。落ち着いてみれば、問題だと思っていたことが実はたいしたことがなかったり、様々な問題を解決してくれることさえあるのです。
実は現代人はとても呼吸が浅く、多くても肺の30%程度しか空気を送り込んでいないといわれています。その分、心もせわしなくなったりしがち。呼吸に意識を向け、毎日繰り返し練習することで、自然に肺が広がるようになります。1日3分間の呼吸法の練習でも、深い呼吸をすることが出来るようになるそうです。
心と身体の健康バランスを整えよう
ヨガは心と身体、そして魂のバランスを取る生命科学です。アサナで体が柔らかくなると、心にも柔軟性が生まれた感じがする方もいるでしょう。同じように、呼吸を整えコントロールすることで、心のバランスや健康を整えていくことができるのです。
肉体が死を迎えるまで、わたしたちの命を支えていてくれる呼吸。生命活動をしていくという身体的な大切さはもちろんありますが、アサナや瞑想を深めるなど、呼吸は私たちをどこにでも連れて行ってくれる自由の翼です。
深く広く、上手に呼吸を使って、自分をのびのびと生かしてあげたいと思いませんか。呼吸法には様々なスタイルがあります。自分の呼吸をコントロールできる方法をひとつ知っておくだけで、大きく心に働きかけることもできるかもしれません。ぜひ自分にぴったりの呼吸法を探してみてくださいね。