自分を客観的に把握するセルフモニタリングのすすめ・上半身編

自分を客観的に把握するセルフモニタリングのすすめ・上半身編

セルフモニタリングとは自分自身の行動や思考を自ら観察することです。ヨガの瞑想でも内観といって、自分自身を観察しますから、ヨガもセルフモニタリングの一種と言えるでしょう。

今回、紹介するのは自分自身の思考ではなく身体のモニタリングです。ヨガのインストラクターはもちろん、ヨガ愛好家の方にも役立つ情報ですので、ぜひご一読ください。

セルフモニタリングをする2つの目的

1:自分の身体を正しく把握

自分の身体であるにも関わらず、多くの人が自分の身体のことを正しく理解できていないものです。それは、日常生活の中で、自分の身体について知る機会が少ないからといえるでしょう。ヨガ熟練者であれば、アーサナを通じて自分の身体の状態を知れますが、まだヨガに慣れてない方だと、なかなか難しいものです。

自分の身体を正しく把握していないと、ちょっとした身体の変化にも気づけません。すると、とっさの動作が、イメージ通りにいかず、転んでしまったり、あるいは身体のどこかを痛めてしまう……といったことにもなりかねないでしょう。

セルフモニタリングを通じて自分自身の身体がどのような状態なのかを知ることで日常動作における怪我の予防に繋がります。

さらに、アーサナとの向き合い方にも変化が生まれてくるはず。どのようなアーサナに取り組めば、弱点を克服できるのか。そうした洞察力が培われてくるからです。セルフモニタリングをアーサナに活かすことで、自ずと内観することにもつながります。

2:身体の微細な変化を実感できる

ヨガをした後、「身体が軽くなった」「とても気持ち良かった」という感想をよく聞きますが、こうした主観的な感覚にくわえて、客観的な変化をもとらえられるようになるうえでもセルフモニタリングは役立ちます。

これは、学生の頃のテストの点数や成績表と同じで、自分がこれまで取り組んできたことが、どれだけ変化・成長につながっているのか、といった目安になるわけです。

主観的な感想にプラスしてセルフモニタリングで客観的な変化を把握することで、ヨガの効果をより実感できるようになるでしょう。

継続的な変化を、しっかりとらえたいならモニタリング時のようすを撮影するなどして、記録しておくようにしましょう。写真を残すことで月・年単位での身体の変化が、見えてくるはずです。中・長期的な身体の変化がわかれば、ヨガを続けるモチベーションも上がるでしょう。このようにセルフモニタリングを通じて現在の自分の身体の状態とヨガ前後の身体の変化を確認することができます。

セルフモニタリングに早速挑戦!

ここからは、セルフモニタリングの実践方法をご紹介。まずは上半身のチェック法からマスターしていきましょう。

1:バンザイ

<わかること>

  • 肩の可動域
  • 体幹の強さ
上半身のセルフチェック:バンザイ編
上半身のセルフチェック:バンザイ

<方法>

  1. 立位姿勢になり背すじをまっすぐに
  2. 次の2つの方法で、両手が頭の真上に上げるバンザイをする
  • 身体の前から両手を上げる
  • 身体の横から両手を上げる

<チェックポイント>

  • 肩の上げやすさ
  • バンザイをした時の姿勢(脊柱のアライメント)

※背中が反ってしまったり、猫背になっていないか

<診断>

  • 手が頭の真上まで上がらない:肩の可動域と筋力の低下が考えられます
  • 姿勢が崩れる:体幹の機能、肩の可動域の低下が低下している可能性あり

2:両腕をつけて持ち上げる

<わかること>

  • 広背筋の柔軟性
上半身のセルフチェック:両腕をつけて持ち上げる
上半身のセルフチェック:両腕をつけて持ち上げる

<方法>

  1. 身体の前で、両肘を90°に曲げ、左右のヒジと手首をつけます
  2. 左右のヒジと手首が離れないよう、両腕を上げます

<診断>

そもそも左右の肘同士を当たらない、あるいは肘同士を当てたままでは、腕を持ち上げることができない場合、それは、広背筋の柔軟性がかなり低下しているサイン。肩より肘が上がれば柔軟性は十分です。

3:ヒジ上げ

<わかること>

  • 三角筋、僧帽筋などの肩関節後方の柔軟性
上半身のセルフチェック:ヒジ上げ
上半身のセルフチェック:ヒジ上げ

<方法>

  1. 片方の手を、もう一方の肩の上へ置き、ヒジを肩の高さまで上げる
  2. ヒジの高さをキープしながら、反対側の手でヒジを引き寄せる

※反対側も同様に

<診断>

ヒジを引き寄せた際、身体の中心線を超えられない場合、柔軟性の低下が考えられます。

4:上半身のツイスト

<わかること>

  • 脊柱の回旋可動域
上半身のセルフチェック:ツイスト
上半身のセルフチェック:ツイスト

<方法>

  1. イスに座り、両手を身体の前でクロスします
  2. ヒザは正面を向けたまま、上半身だけ左右どちらかに、ツイスト。反対側にも同様に

<診断>

上半身だけツイストするのが難しい、あるいは90°以上回旋できないという人は、脊柱の可動域が低下している可能性があります。

なお、身体の変化を正確に判断するため、毎回同じ場所、イスで行なうようにしましょう。そうすることで、視界に入ってきたものを目安に、身体がどこまで捻れるようになったかを把握しやすくなります。

以上、今回は上半身のセルフモニタリングの方法を紹介しました。次回は下半身のセルフモニタリングを紹介したいと思います。