野菜の栄養価が減っている!?
ベジタリアンやヴィーガンなど、野菜中心の食生活で暮らしている方なら、一度は「今の野菜は、昔と比べて栄養価が減っている」ということを目にしたり耳にしたりしたことがあるかもしれません。
新旧の「日本食品標準成分表」で野菜の栄養価を見比べると、明らかに栄養素は変化していることがわかります。[1]
新しい成分表の方が栄養価が高くなった野菜もありますが、ホウレンソウやコマツナ、ブロッコリーなど15品目ではビタミンCが減少しています。他の成分でも新しい成分表の方が減少している野菜が確かに存在します。
例えばホウレンソウの場合、20年前に比べなんとビタミンは半分になります。この理由として考えられるのは
- 栄養価の高い東洋種から西洋種と交配させたものへ品種が変わったため
- 旬でない時期にも出回るようになったこと
というのが主な原因だそうです。
旬を大切に食卓を彩ろう
現在、旬野菜の栄養価について研究が進み、カロテンとビタミンCに関しては、1年を通して出回っている時間が長い野菜に関して、季節変動が大きく関わっていることが分かってきました。
ホウレンソウは旬の時期の2月には7月の約8倍のビタミンCが、トマトは旬の7月は1月の2倍の含有量となっています。[2]
これらのことから、野菜を食べるときに一番大切なことは、旬の時期に食べること。最も多く収穫できる最盛期が、最も味も良くそして栄養価が高い時期なのです。
「旬」とは、食べる人が住んでいる地域の自然の中で、無理なく、食べごろに生産されたものを指します。
地産地消を活かした食の工夫を
日本では、流通システムや栽培技術、品種改良などで、1年中いつでも食べられる野菜も増えてきました。しかし身近で手に入れた野菜をはじめとした食材の活用、つまり地産地消の文化を育むことは、新鮮で美味しく、栄養価も高い食卓の提供だけではなく、輸送コストや、旬でない時期に作るための労力やエネルギー、肥料・農薬などを効率的に改善できることにつながります。
食べたい野菜がいつでもあるのはありがたいことですし、旬からずれることで付加価値を高め、農家が潤うこともあるでしょうし、それも楽しみかもしれません。けれども、旬の時期に出回るまで、その野菜を待つのもまた楽しみと言えるでしょう。
旬からはずれたものを食べてはいけない、またそれが栄養がなく無意味だ、ということではなく、より良い栄養価やエコを考え、身近な旬の食材を選んでみる。
そんな意識が、今は薄くなってしまった「旬を楽しむこと」「待つ時間も楽しむこと」に繋がっていくといいですね。