無病息災を祈る冬至の楽しみ方
インド発祥のアーユルヴェーダの考え方でも、旬の食べ物を摂ることの効用や、寒い冬であれば風呂で温かい湯に浸かり体を温めることなど、生活の中で自然に即した生き方が推奨されています。何より季節や自然に従い、古くから伝統を大切にする暮らしは、とてもヨガ的な感じがしませんか。
日本は古くから暦に関連した季節の表し方が数多く存在し、その中でも12月21日は二十四節気の「冬至」として、多くの日本人に現在でも親しまれています。本格的な寒さはこの頃からといわれ、名実共に寒い日がやってきます。冬至といえば1年で昼が最も短い日でもあります。目安でいえば、昼食後あたりに外に出ると、すでに太陽は傾き始めているそうです。
この日、世界各地で冬至祭が行われます。クリスマスももとは冬至祭だといわれています。太陽が最も弱い、陰が極まる日で、日本では「死に一番近い日」といわれその厄払いのために、体を温め無病息災を祈りました。またこの日を境に太陽に再び力が甦りはじめるため「一陽来復」といわれ、この日から運が上がり始めると考えられていたようです。
カボチャ(南瓜)を食べる
日本では冬至に、カボチャを食べたり柚子湯に入ったりする風習があります。カボチャは金運を、柚子湯は無病息災を願うもの。また運をもっとつけるため、「冬至の七種」という末尾に「ん」のつく食べ物を食べるという「運盛り」という縁起かつぎもあるそう。
そのひとつが南瓜、つまりカボチャ。今では季節に関係なく食べられるカボチャも、かつては貴重な栄養源。豊富なカロチンが体内でビタミンAにかわり、肌や粘膜を丈夫にし、風邪などの感染症に対する抵抗力をつけてくれるカボチャ。江戸時代に普及したカボチャは、冬場に野菜がなくなりビタミン類が不足した日本人を助けてくれました。
柚子湯に浸かる
柚子湯には運の上がり始める特別な日に体を清める、という意味も。また「冬至(とうじ)」と湯につかって病を治す「湯治(とうじ)」、さらには「柚子(ゆず)」と「融通(ゆうずう)」が利きますように、という語呂合わせをかけて柚子湯に入るという説も。
アロマテラピー効果も高い柚子の香りの成分には、新陳代謝を活発にして血管を拡張させ血行を促進させる作用があります。鎮痛・殺菌作用もあるため、冷え性やリュウマチに効き、体が温まって風邪をひかないとも。また、含まれているビタミンCで、肌がスベスベになる美肌効果もあるそうです。
それ以外の「運盛り」の食材たち
さて、前述した「運盛り」の食材でカボチャ以外は蓮根・人参・銀杏・金柑・寒天・饂飩など。
色々な野菜などを味わいながら、柚子湯に入って過ごす、日本らしい冬の短い1日。そして翌日からの運の上がり始めを、楽しみに迎えましょう。