ヨガは大きく分けると、活発に動くヨガと静かにおこなうヨガの2つに分類できます。前者を「陽ヨガ」、後者を「陰ヨガ」と呼び、下記のようなヨガスタイルが該当します。
- 陽ヨガ:アシュタンガヨガ、ヴィンヤサヨガ、パワーヨガ
- 陰ヨガ:リストラティブヨガ、ヨガセラピー、陰ヨガ
陰ヨガの中に「陰ヨガ」というヨガスタイルが含まれているとおり、「陰ヨガ」という言葉は、ヨガのスタイルを表すこともあります。そこで、今回はヨガスタイルとしての「陰ヨガ」に、どんな効果が見ていきたいと思います。
真の柔軟性を求めることができる
朝起きたばかりの体は、まだ筋肉などの組織に十分血液が回っておらず硬い状態です。でも、徐々に動かしたりするとすぐに柔らかくなります。
筋肉は伸縮性が高く、すぐ反応する組織なので、温めるとすぐに柔かくなります。一方、体のより深い部分に位置する関節まわりの結合組織は、なかなか反応をしません。
陽ヨガで起こしやすい怪我は、温まり伸展可能な筋肉の奥にある、十分伸ばすことができない結合組織に無理に負荷をかけてしまうことで起きることが多いです。
つまり、体の柔軟性の議論は、関節と筋肉の2パターンあるということ。
陰ヨガは、陽ヨガではなかなかアプローチしづらい関節の柔軟性を高めるヨガです。つまり、真の柔軟性を求めることができるのです。
身体の土台を実感できる(グラウディング)
陰ヨガで結合組織の柔軟性を高めることができると、陽のヨガにも良い影響を与えます。
例えば、柔軟性が高まり、股関節の可動域が大きくなると、脚の開きが大きくなるなど、陽ヨガのポーズがとりやすくなります。特に、陽のヨガのスタンディングポーズでは、草木が大事に根を張るようにしっかりとした土台ができて、身体のバランスを感じることができるでしょう。
皆さんは、タダアサナ(Tadasana)でしっかり立つことができますか? 足でしっかりグラウンディングしている体を感じることができますか?
身体の土台づくりは、足(下半身)から始まります。ヨガのアサナも、足からつくりあげていきます。
陽ヨガでつくる筋肉の強さに、陰ヨガで養う関節の柔軟性を補うことで、強くありながらしなやかさも兼ね備えた体づくりができるのです。
気持ちが安らぎ、集中力が増す
陰ヨガは、精神的にも心穏やかな落ち着きを得られるようになります。
ひとつは、体を静止させた状態で深い呼吸を繰り返していることで、リラックス効果が高まるからです。リラックスすると、心地よくなったり、眠くなったりもしますが、時間帯や体調によっては、落ちつくことで深い集中力を得られることもしばしばあります。
日常的に瞑想をされる方からは、「陰ヨガは、瞑想に近いものを感じる。」という感想を頂くことがあります。
大企業の経営者(特にアメリカ)の方は、よく瞑想を日常に取り入れていると聞きます。日々の疲れを取ることはもちろん、思考能力を高めるために活用するようです。
都会の喧噪からしばし離れ、静かに自分だけに向き合う陰ヨガの時間は、時に何かを決断するような場合には、視野を広げてくれて、高い集中力で物ごとを考えるお手伝いをしてくれます。