スティーブ・ジョブズが愛したヨギー
スティーブ・ジョブズの葬儀の時、参列者に配られた本があった。『あるヨギの自叙伝』だ。この話を聞いたことのある人も多いだろう。これは、インドで生まれ、アメリカにヨガを広めたグル、パラマハンサ・ヨガナンダの生涯を書いた一冊。
パラマハンサ・ヨガナンダは、1893年に生まれ、1952年、59歳で生涯を閉じた。遺体は埋葬まで20日間、安置されたが腐敗しなかったという。『あるヨギの自叙伝』には、彼の超常体験も書かれていて、読んでも理解できない人も多いというが、これらも含む一生が、彼が開いた「自己実現同志会」にとっては大事な教えだとも。
この『あるヨギの自叙伝』を読むのは大変そう…という人に、オススメの本がある。友情と結婚について彼が著した一冊だ。『パラマハンサ・ヨガナンダの友情と結婚』(原題『SPIRITUAL RELATIONSHIPS』)で、今日はこの本から、彼の言葉を紹介しよう。平たい翻訳になっているので、とてもわかりやすい。稀代のヨギー、そしてスピリチュアリストは、友情や結婚についてどう語っていたのだろうか?
友情について
真の友情とは、寛大ですべてを包みます。
友人をつくるには、友人としての友人らしさを体現しなければなりません。もし友情の協力な寺領Kのドアを開放するなら、よく似たバイブレーションを持つ魂はあなたに引き寄せられてきます。すべての優しい友情を示せば示すほど、本当の友人の数はますます増えていきます。
本当の友情とは、相互に助け合い、落ち込んでいる時には元気を、悲嘆の時には思いやりを、困った時には助言を、本当に必要な時には物質的援助を与えることです。友情とは、友人の幸運を喜び、逆境に同情することです。友情とは、友人の幸福のために損失とか犠牲の意識を持たず、損得勘定を越えて個人の喜び、個人の利益を進んで後回しにすることです。
なるべく、スピリチュアルな感じの薄い部分を選んでみたが、どうだろう? あなたの友情は、今どんな状況だろうか? この本を読んでいると友情を育むことは意外に難しいようにも見える。私達が「友達」と呼んでいる関係に、打算はないのか? そんなことを考え始めると、ちょっと悲しくなってしまうのだが…。
結婚と家庭生活について
続いて、「霊的な結婚と家庭生活」の章だ。ここも示唆に富んでいる。
本当の魂の結婚というものは、互に、生まれながらにして、無条件で、永遠に惹かれ合うものです。(中略)気が合う魂の間には超自然的親近感があります。プラスとマイナスの電流が一緒になり白熱ランプを灯すように、完全なるマイナスの魂と融合した完全なるプラスの魂は、永遠に成長する愛の光へと融合するのです。
正しい伴侶を選ぶ方法は、瞑想の後、次のようにアファメーションすることです。「天なる父よ、あなたの完全なる魂の一体化の法則に従って、私の生涯の伴侶を見つけられますよう、祝福を与えてください」。
執着は、魂への拷問をもたらすある種の盲目的感情です。それが成し遂げるものは何もありません。愛ではありません。本当の愛は、愛する人が幸福でありさえすれば幸福なのです。
結婚は、肉体的と精神的、そして霊的次元における結合です。もしあなたが霊的磁力で人を引きつけるようにするなら、魂の伴侶に出会うことになります。
ヨギー、ヨギーニの中には、私は結婚しないと話す人もいるが、過去世の経験から「もうしばらくいいや」なんて思っているのかもしれない? あるいはすでに「神と結婚」しているのかもしれない…。
すべてはどう人間関係を結ぶか
さて、この本は友情と結婚について語っているが、結果、目の前に起こっている現象でなく、スピリチュアルな視点でどう生きるか、を綴っている。そこで、いつでも私達が心にとどめておきたい人間関係に対する言葉もあちこちで見られる。最後にそんな言葉を載せておこう。
完全にバランスのとれた優しさと叡智を備えた人しか、他人の欠点を指摘することはできません。他人を裁くのに思いやりの心からそうするなら、因果律という心理の法則によって、その人にも同様の扱いがもたらされます。真理の法則は、人生を支配する神秘の法則です。もし不親切に他者を裁くなら他者からの厳しい批判を引き寄せます。
心にとどめておきたい。
パラマハンサ・ヨガナンダの生涯は、肉声や実際の動画などをふんだんに使われた『覚醒』という映画もあるので、そちらもぜひどうぞ。
Text:Yogini編集部