腸内フローラを育てる

腸活は最強の健康法!?腸内フローラを育てる丁寧な暮らし

腸内フローラって何?

腸は脳からの信号がなくても、独立して動くことができ、第二の脳とも言われる。幸せホルモンとも言われる、脳内物質「セロトニン」の90%以上は腸から生み出される。さらに免疫細胞の70%以上は腸にあり、人体で最大の免疫器官でもある。

そんな私達の健康に重要な、腸内のようすを表現した言葉が腸内フローラ。「フローラ」とは、英語で花畑のこと。約100種類以上、数にして100兆個以上の腸内細菌が存在する腸内を、さまざまな種類の花が一面に咲き誇る花畑に例えている。

丁寧に管理されている花畑の花々は美しく、私達に喜びを与えてくれる。しかし、少しでも手入れを怠ると雑草がグングン伸びてきて、花を浸食してしまう。さらにそのまま放置すると、雑草に覆われ、それを目にした私達は悲しい気持ちになる。

腸内の花畑も同じ。腸内細菌にも私達の体にいい働きをする「善玉菌」と、悪い働きをする「悪玉菌」があり、花と雑草のように領土争いを繰り広げている。

そしてもう一つ、どちらにも属さない「日和見菌」というのもあり、この三つ割合が2:1:7になっているのが理想的な腸内フローラの状態。

悪玉菌が優勢だと、体に不調が現れてくるが、一方で悪玉菌にも役割があり、なくなればいい、というものでもない。大切なのはバランスを保つことなのだ。

腸内フローラのバランスを保つには?

私達は腸内細菌を食べ物から摂っている。なので、偏った食事をすると腸内細菌の種類も偏り、腸内環境も悪化する。何よりもバランスのいい食事が腸内環境を整える上で一番重要。

また、腸内細菌はとても繊細。食事の内容だけではなく、生活リズムの乱れや運動不足、精神的なストレスによって腸内のバランスはあっと言う間に壊れてしまう。

日々の食事や生活習慣を見直し、改善しながら豊かな腸内フローラを育てたい。

生活の中の腸内フローラ豆知識

腸内フローラを育てる2
腸内フローラを育てる2

Topic1:母と子の腸内フローラの関係

胎内にいる赤ちゃんは無菌状態。生まれて母乳を飲み始めると一気に腸内に細菌が入ってくる。何でも口に入れてなめたり、離乳食を食べ始めることで菌の種類は増えていき、離乳食の完了期にはほとんどの菌がそろう。

特に、母乳だけを飲んでいる時はお母さんがバランスよく食べていないと赤ちゃんの腸内環境も偏り、お母さんと体質が似る。

授乳期から離乳食期は、赤ちゃんの腸内環境をゼロから作り上げていく大切な時期。いつも以上にバランスのいい食事を心がけたい。

Topic2:食事は楽しむことが大事!

私達がストレスを感じる時、コルチゾールというストレスホルモンが分泌される。コルチゾールはアドレナリンを出し、交感神経を優位にするため、胃腸の働きが低下する。つまり、ストレスは腸内環境を悪化させるのだ。

いくら食事の内容に気をつけていても、「この人と食べたくないな」、「これを食べたら太るかも」などと思いながら食事をするのは、ストレスになるのでよくない。食事中に子どもを叱るのも、子どものストレスになるので、できれば避けたい。腸内環境を整えるという観点では、とにかく楽しく食事をすることがベストだ。

Topic3:腸内細菌は時間に敏感

腸はとても時間に敏感。休日だけ昼間まで寝ていたり、朝食を抜いたりするイレギュラーなことが起こると腸内細菌はすぐに反応する。

いつも働いているはずの時間にその細菌が働けなくなると、その細菌は腐敗し始めてしまう。環境が変わったり、生活リズムが変わったりすると便秘になりやすいのはこのためだ。

腸内細菌を元気に保つためにも、自分のできる範囲で規則的な生活を心がけたい。

Topic4:レンジでチン、腸内細菌はいなくなる

サッと温めて食べられる電子レンジはとても便利。今や家でも職場でもなくては困る! という人がほとんどでは? しかし電子レンジは腸内細菌にとっては大敵。

電子レンジは飲食物や入れ物に付着したさまざまな腸内細菌まで、すべて完全に殺してしまう。なので、電子レンジで加熱した飲食物を口にしても、細菌をまったく体の中に取り入れることができないのだ。

菌が死んでしまうという点では、加熱調理も同じ。腸内細菌を取り入れるという観点で一番いいのは、野菜も魚も加熱処理せずに生のまま食べるローフード。いつもの食事に少しでも生の食材を取り入れて腸内フローラを育てよう。

Topic5:その腰痛、実は腸内環境が原因かも

腰痛は運動不足や姿勢の悪さが原因と思いがち。でも実は、腸内環境の悪化が腰痛を引き起こしていることも。腸内環境が悪いと下腹部が冷える。冷えは内臓まわりの筋肉を硬くし、腰痛を引き起こしやすくなるのだ。

そんな時は、食事と運動で腸内環境を整えていくのと同時に、温かい風呂と水シャワーとの交替浴がオススメ。温かい風呂に入ると血管を広げて熱を放出しようとする。そこに水シャワーで血管を元に戻す。このように血管の伸収縮を繰り返すことで、血流がよくなり、腰痛の改善につながる。

今日から始めよう! 腸活習慣

「腸活」とはよく言うが、日常生活のちょっとしたことで腸内環境は整ったり、乱れたりするものなのだ。

考え方、休日の過ごし方、食事を取る時間、調理方法、ちょっとしたことを変えるだけで、私達の腸内フローラは育っていく。

花畑の花を丁寧に育てていくように、腸のためにも毎日丁寧な生活を心がけたい。

教えてくれた人=山坂元一
やまさかもとかず。ストレス&コンディショニングトレーナー。VIDO代表取締役。アメリカの最新情報を加えた独自の理論により、プロゴルファーやプロ野球選手、オリンピック選手など100人以上のトップアスリートを指導。

イラスト=macco
文=Yogini編集部