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秋は回復の季節
アーユルヴェーダでは、一年で最も「体力」、「消化力」が落ちる夏が終わり、徐々に回復していく季節を秋としている。消化力が落ちると食欲が落ち、消化力が上がると食欲も出る。「食欲の秋」とも言うが、誰もが感じるシンプルな感覚が、アーユルヴェーダの本質。
人間がすごくシンプルな生き物だと感じさせられるとともに、アーユルヴェーダは、地球のリズムに合わせて生活すればいいだけの、シンプルな健康法であることを再認識させられる季節でもある。
しかし、この時期は、まだ私達の「体力」も「消化力」も完全に回復はしていない。だから無理や食べすぎには要注意。人間の愚かさと、心の暴走に、アーユルヴェーダの知恵が優しく手を差し伸べてくれるはずだ。
アーユルヴェーダ的、秋の過ごし方
アーユルヴェーダ的に秋は、夏の暑さと熱を持つPitta(ピッタ)の季節から、冬の冷たく乾燥してVata(ヴァータ)の季節への移り変わりの時期。
暑さは少し和らいできましたが、まだまだ暑さ対策は必要。夏の間に蓄積したPittaが増大し、胃炎や炎症などを中心に、体調不良を起こしやすい季節でもある。
体力も徐々に回復していく季節なので、体の中にたまった熱を出し切るためにも、積極的に断食や発汗法などのデトックスを行うと効果的。
同時に、台風の影響を受けるなど、天候や気候が変わりやすく、心も体も乱れやすい時期。「風」の要素を持つ、Vataが乱れやすいので、温かく、安定的な生活を送ることも忘れずに。雨に濡れた後や運動後は体が冷えないように、すぐに拭くのを心がけよう。
心と体を安定させる秋の味覚
秋が旬の果物や、野菜は甘味を持ったものが多い。カボチャやサツマイモ、柿など、甘くて適度に水分を含んだような、どっしりとしてた食材は、心と体を安定させてくれる。
ただし「甘味」は体を冷やすので取りすぎには要注意。温かいカボチャポタージュや、秋の野菜がたっぷり入ったスープなどでいただくのがオススメだ。豆のスープも、安定感を与えてくれる。
ショウガやクミンなど、消化力を上げ、体の中から温めてくれるスパイスやハーブも積極的に取り入れたい。
お月見でエネルギーバランスを整える
秋と言えば、お月見。アーユルヴェーダの古典書では、秋には月光浴を勧めている。月のエネルギーは熱を覚ます。秋の夜長に、お月見で昼間のほてった体を冷やすのもいい。冷えすぎないように服装には気をつけよう。
食事だけでなく日々の生活の隅々に至るまで、どこまでも優しく見守り、温かい知恵を教えてくれるおばあちゃんのようなアーユルヴェーダ。知れば知るほど愛おしく感じる。
今回は、旬のカボチャを使い、エネルギーが低下した体を優しく包み込んでくれ、消化力を上げてくれるレシピをご紹介。
Recipe
体の中からポカポカに
「カボチャとココナッツのポタージュ」
アーユルヴェーダの病院でもよく食べられている、南インド・ケララ州の代表的な料理。「カボチャのクートゥ」を簡単アレンジ。甘味はVataを抑え安定感を、クミンは消化力を上げる。暑い日や体のほてりがある時は、冷やして飲んでもよし。
[材料(2人前)]
・カボチャ(ざく切り) 200g
・ココナッツミルク 400g
・クミンパウダー 小さじ1
・塩 小さじ1/4程度
※テンパリング(お好みで)
・ココナッツ油(なければサラダ油) 小さじ2
・マスタードシード 小さじ1/2
・カレーリーフ 10枚程度
作り方
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すべての鍋に入れ、火をかけ、カボチャが崩れるくらいにコトコト煮込む。
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塩で味を整える。
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テンパリング(お好みで)。別の小さめのフライパンに油を敷き、マスタードシードを入れる(中火)。
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マスタードシードがパチパチと弾けたら、カレーリーフを入れ、焦げる前に2の鍋に一気に入れる。
写真=Kazuya(冨岡和也)
文=Yogini編集部
アーユルヴェーダセラピスト・栄養士・Natural Lifestyle代表。栄養士/RYT認定ヨガインストラクター、アーユルヴェーダセラピスト、KIJ認定クシマクロビオティックフードコーディネーター。南インドの古典楽器Sarasvati veena(サラスワティ・ヴィーナ)の奏者でもある。ヨガインストラクター養成講座(RYT500/200)の講師、及び教材作成も務める。