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右鼻と左鼻、どちらをメインに使うかで、脳の活動部位を左右し、さらに睡眠のリズムにまで影響を及ぼしていることをご存知でしょうか?
ヨギは早くからこのことに気づき、左右の鼻のバランスを整える呼吸法を生み出してきました。今回は、左右の鼻と脳・睡眠との関連を理解した上で、自分にあった呼吸法の見つけ方を紹介します!
免疫力をも左右する、鼻呼吸の真実
鼻呼吸の呼吸量は左右均等ではありません。身体がさほど酸素を必要としていない時には、一方の鼻は休んでいます。およそ2〜3時間ごとに使う側と休む側が入れ替わっており、これをネーザルサイクルと言います。
こうすることによって、呼吸を省エネで行え、更には免疫の最初の要である鼻粘膜を休ませることができるのです。
ネーザルサイクルは自律神経によってコントロールされており、脳の働き、さらには睡眠にも深く影響し合っていることが知られています。

このため、ネーザルサイクルが乱れると、睡眠の質が低下したり、心身の不調に繋がったりすると考えられています。実際に、統合失調症の患者さんでは、健康な人に比べると左鼻に偏って呼吸している人が多いことを示す研究結果1)もあり、ネーザルサイクルの重要性が伺えます。
ヨガが説く呼吸の真理に、科学が追いついてきた!?
上記のことが科学的に発見されたのは19世紀の後半ですが、ヨギは何世紀も前から、左右の鼻腔の役割について気づいていたようです。そして、左右の鼻腔のバランスがとれている時、心理的にバランスが取れ、精神的に落ち着くことを説いています。
今度は伝統的なヨガの説明でネーザルサイクルを考えてみましょう。プラーナヤーマによって体内に取り込まれるプラーナ(生命エネルギー)は、ナディと呼ばれるエネルギーの通り道を巡ります。
右鼻で呼吸する時使われるナディはピンガラ、左の場合はイダと呼ばれており、それぞれ下記の物を象徴しています。

さて、これを科学的に理解したことと合わせて考えてみましょう。
<左鼻で呼吸>
- 現代科学:“右脳”や“直感”、“疲労回復”と関係
- ヨガ:“女性性(女性は直感を得意とする)”や“浄化力”
<右鼻で呼吸>
- 現代科学:“左脳”や“論理的思考”に関係
- ヨガ:“男性性(男性は論理的思考を得意とする)”

左右の鼻のバランスが取れている時、心身の調和へと導かれるという点も、現代科学とヨガで一致しています。それぞれ使う言葉は異なりますが、ヨギたちは、現代科学でわかってきていることを遙か昔から気づいていたことに驚きますね。
左右の鼻バランスを整えるヨガの呼吸法
更には、ヨギはネーザルサイクルを整える効果のある呼吸法を生み出しています。代表的な3つの呼吸法を紹介します。
※全ての呼吸法で、右手の人差し指と中指を眉間にあて、親指を右の小鼻に、薬指と小指を左の小鼻に添えて片方の鼻を交互に閉じながら行います。
ナーディ・ショーダナ・プラーナヤーマ(ナディを浄化する呼吸法)
- 薬指と小指で左鼻を閉じる
- 右鼻深く息を吸い、親指で右鼻を閉じる
- 左鼻から息を吐き切る。
- 左鼻から深く息を吸い、薬指と小指で左鼻を閉じる
- 右鼻から息を吐き切る。
※これを8~10回繰り返す。
スーリヤ・べダナ・プラーナヤーマ(太陽の呼吸法)
- 薬指と小指で左鼻を閉じる
- 右鼻から深く息を吸う
- 親指で右鼻を閉じる
- 左鼻から息を吐き切る
※これを10~20回繰り返す
チャンドラ・べダナ・プラーナヤーマ(月の呼吸法)
- 親指で右鼻を閉じる
- 左鼻から深く息を吸う
- 薬指と小指で左鼻を閉じる
- 右鼻から息を吐き切る
※これを10~20回繰り返す

睡眠や脳の働きUP:呼吸法の使い分け方
これら3つの呼吸法は使い分けが重要です。まずは、あなたのネーザルサイクルを調べてみましょう。唇の上へ軽く当てた鏡に向かって鼻から息を吐き出してみてください。
すると吐いた息が2つの結露となって見ることができます。より大きな結露、もしくは長く残る結露が出た方が、今メインに使っている鼻です。慣れてくると、鼻の下に人差し指を添えるだけで、メインの鼻がわかるようになってくるでしょう。
1日のうち数時間ごとに調べてみて、自分のネーザルサイクルの特徴を調べてみるのがおすすめです。こうすると、あなたに今必要な呼吸法がわかってきます。
スーリヤ・べダナ・プラーナヤーマ(太陽の呼吸法)がオススメのケース
- 1日のうち左鼻で呼吸している割合が極端に多い場合
- 朝、目覚めが悪い時
- 日中、集中したい時、活動的になりたい時
- 左脳(論理的思考・分析力)を使った活動をしたい時
チャンドラ・べダナ・プラーナヤーマ(月の呼吸法)がオススメのケース
- 1日のうち右鼻で呼吸している割合が極端に多い場合
- 夜寝る前(睡眠は左鼻の呼吸が関連するノンレム睡眠からはじまるため)
- 疲れている時やリラックスしたい時
- 右脳(芸術的感性・直感)を使った活動をしたい時
この2つの呼吸法は極端に崩れたバランスを整えたい時、もしくは意図的に右脳もしくは左脳を使いたい時に有効です。このような特別な事情がない日常的な練習では、ナーディ・ショーダナ・プラーナヤーマで左右のバランスを整えておくと良いでしょう。
参考資料
- Ozan E, et al. Neurol Psychiatry Brain Res 2010; 16: 135-138.
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