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自分を変えたければ呼吸をコントロール
生まれてから死ぬまで、当たり前のように繰り返し続けている呼吸。生命に欠かせない働きだが、ヨガで言う呼吸法=プラーナーヤーマとは、いったいどう違うのだろうか。
呼吸は酸素を取り入れて、二酸化炭素を排出する、いわばガス交換。それに対し、呼吸によって生命エネルギー(プラーナ)を意識的に体内に入れ、コントロールして巡らせる。これがプラーナーヤーマだ。
キーワードは「意識的」に。意識しない日常の呼吸では、肺は30%の機能しか使われないという一説も。ところが、意識的に呼吸を巡らせることで、肺活量はグンと増え、機能もアップする。肺を通じて、約60兆個もの細胞に届くのだから、そのエネルギーは絶大だ。
呼吸が変わると私達はどうなる⁉︎
では実際に、呼吸が変わると、私達の体はどのように変化するのだろうか。
着目したいのは、自律神経への作用だ。生命維持に必要な神経を調整する自律神経だが、自らの意識で支配することはできない。
自ら血圧を下げたり、体温を下げたりすることはできないが、唯一、自律神経をコントロールできる方法が、呼吸法なのだ。
緊張や不安を取り除きたい時、呼吸法が自律神経を調整し、ベストなコンディションを引き出してくれる。近年、アスリートや経営者にも呼吸法が注目させる理由がここにあるだろう。
代表的な呼吸法をおさらい!
腹式呼吸
〜ヨガの基本!お腹を大きく動かそう〜
ストレス社会の中、浅くなりがちな現代人の呼吸に最も推奨される呼吸法。横隔膜の上下運動により行われ、鼻から息を吸ってお腹が大きく膨らみ、吐いて凹む。副交感神経が優位になるので、心身がリラックスして落ち着きやすくなる。
続けると、幸せホルモン「セロトニン」の分泌、免疫力がUPや、内臓機能の向上で血流がよくなる効果も。
胸式呼吸
〜胸が広がりエネルギーが生まれる!〜
お腹を膨らませずに胸(肋骨の間にある肋間筋)へと息を取り込む呼吸法。腹式呼吸とは反対に、交感神経を優位にする働きがあるため、心身が活発になる。
ピラティスの呼吸法としても一般的。胸のさらに上部にある肺へ呼吸を移すと、鎖骨式呼吸になる。心身が活動的になり、運動効果、ダイエット効果が期待できる。
完全呼吸
〜細胞の隅々まで目覚めさせる〜
腹式呼吸、胸式呼吸、鎖骨式呼吸を連動することで、呼吸筋をフル活動させ、各細胞を活性化させる呼吸法。肺を最大限に使うため、ヨガのウォーミングアップとして用いられることも多い。
脳を活性化したり、基礎代謝アップ、負の感情を和らげる効果もある。完全呼吸をマスターして、もっと肺のキャパシティーを広げていこう。
ウジャイー呼吸
〜ノドの奥でシューッと摩擦音!〜
「勝利の呼吸」と呼ばれる、勢いのある呼吸法。ノドの奥を細くして、圧をかけ、シューッと音を立てるように胸式呼吸をする。古代のヨガ経典『ハタヨガ・プラディピカー』のウジャイー呼吸では、両鼻いっぱいに吸って、クンバカ(息を止める)をし、左鼻で吐く、を繰り返す。
この呼吸では、集中とリラックスが両立できる。また血流がよくなり、体が温まり、不眠症改善にも効果的だ。
カパーラバティ
〜サンスクリットで「輝く頭蓋骨」〜
短いスパンで鼻から強く生きを吐き、自然に吸うことを繰り返す呼吸法。ヨガの動きとは連動させずに、座りながら単独で行う。
横隔膜を断続的に動かすことで、血流がよくなり、頭がスッキリ。やる気を引き出し、腹部の脂肪燃焼効果もある。朝、または空腹時に行うと効果的だ。ただし、高血圧や心臓疾患、妊娠中の人は避けるようにしよう。
片鼻呼吸(ナーディーショーダナ)
〜ヨガで最も大切な呼吸法と言われる〜
左右の鼻の穴を交互に閉じ、吸って、吐いてを繰り返す呼吸法。ヨガでは、右の鼻が太陽、左の鼻が月とつながっていると言われ、交互に呼吸することで、エネルギーバランスが養われる。
自律神経の乱れを整える効果があり、右から吸うと、体が温まり活力があふれ、左から吸うと、クールダウンして気持ちが穏やかに。気持ちを整えたいときに取り入れてみよう。
呼吸法こそ、簡単手軽で効果大な健康法
多忙な現代人にとって、一番身近なのに、忘れがちな呼吸。呼吸法はいつでもどこでもできる健康法。しかも無料で効果大なんて、取り入れない手はない。
普段の無意識の呼吸を意識的に行うだけで、私達の体は少しずつ変わっていく。その毎日の少しの変化の積み重ねが、私達の心と体、ひいては人生までも変えるかもしれない。
さあ、今すぐ、意識的な呼吸を始めてみよう。
しゅみっつちえこ。シュミッツ千栄子呼吸法デザインセンター主宰。全国で呼吸法、瞑想の指導、講演会などを開催。瞑想歴30年。わかりやすく丁寧な指導で、初心者からインストラクター、アスリートまで幅広い層から人気を誇る。