ヨガ的思考で、結果に囚われない。本当の自由を生きるコツ

ヨガ的思考で、結果に囚われない。本当の自由を生きるコツ

ヨガの大きな目的の一つは、自由を手に入れることですが、私たちは何から自由になるのでしょうか?本当の自由とは何でしょうか?今回は、この自由への考察とともに、自分の心が窮屈だと感じた時に助けてくれる、ヨガの考え方をご紹介します。

“良い結果・悪い結果”という思い込みが心を束縛する

「人生、なかなか上手くいかないな」と思っている時、いったい何が原因なのでしょうか?「努力が足りないな」、「目標が高すぎたかな」、「今の仕事は私に合っていないかもな」と感じる方も多いのではないでしょうか?

思ったように人生がいかないと思うのは、「こうあるべき」と思う理想像に束縛されているからです。

もちろん、目標がポジティブに自分のモチベーションとして働いている時には、思った通りに進んで大丈夫です。しかしなかなか前向きになれない時には、少し考え方を見直してみてはどうでしょうか。

良い結果も悪い結果も平等に見る

良い結果も悪い結果も平等に見る
良い結果も悪い結果も平等に見る

自分のことを「良い・悪い」と一番ジャッジしているのは自分自身です。それは自分自身への執着によって生まれるものです。

執着を捨て、成功と不成功を平等(同一)のものと見て、ヨーガに立脚して諸々の行為をせよ。ヨーガは平等の境地と言われる。(『バガヴァッド・ギーター』2章47節)

自分の中の価値観で、Aという結果は成功、Bという結果は失敗だと決めています。例えば、資格の勉強をしていて、不合格だったら失敗と考えるでしょう。
不合格という結果だけで自分をジャッジするとどうなりますか?

それまで一生懸命勉強してきたはずなのに、「私は努力が足りなかった」と考えてしまうかもしれません。その結果、頑張った自分を全て否定してしまいます。

もし、客観的に見ることができれば、そこまでの努力は事実だったと気が付きます。すでに勉強によって得た知識も身についています。不合格の原因を学ぶこともできたでしょう。それによって、次に別のチャレンジをするときに、失敗を避ける対策ができます。

結果がどのようなものでも、必ずポジティブな面とネガティブな面の両方があります。だから、一方に偏った見方をしてはいけません。

苦楽・得失・勝敗は全て同一

また『バガヴァッド・ギーター』の中でクリシュナは、苦楽・得失・勝敗は全て平等だと説きます。

  • 苦楽を共に見る
  • 世の中にあるものは全て常に変化して無常なものです。快楽と苦痛は常に両方が存在しています。富を得ても失う心配で苦しくなる時もあり、病気になったことで家族の愛に気が付くこともあります。

    常にものごとをマインドフルに見ることで、苦楽を極端にジャッジしないで、ものごとの本質を知ることができます。

  • 得失も平等に捉える
  • 「自分」というエゴや執着心が強くなると、損得でものごとを考えるようになります。自分のものが増えたか減ったかで考えると、いつも自分の所有物を増やして守ろうと必死になって疲れてしまいますね。

    全てのものは世の中を循環し続けていると理解できれば、自分のものにしたいという所有欲は弱まります。例えば、自分が大切に使っていたバッグを娘にプレゼントした時、それが彼女に似合っていたら自分の手元から離れても純粋に喜ばしく感じられます。

    エゴが弱まると、物質的に所有することよりも、周りと一緒に喜ぶことを求めるので、損得で考えなくなります。

  • 勝敗に囚われない
  • もちろんスポーツを行う場合には勝利を目指すことが多いですが、それでもやはり、勝ち負けという結果だけに囚われると精神的に苦しくなります。そこまでの練習や努力、過程で磨き上げた自分の精神の強さも大切にしたいです。

    日常生活であれば、なおさら勝敗にこだわらないようにしましょう。

自分が他人よりも優れている、劣っているというジャッジは誰がしていますか?自分で勝手に人と比べて勝敗を決めて一喜一憂していることに気が付きます。人より優位な時に嬉しいと、条件付きの喜びに縛られると、いつまで経っても心は束縛されたままです。

アーサナでも大切なのは“今”へのフォーカス。結果ではない

アーサナでも大切なのは“今”へのフォーカス
アーサナでも大切なのは“今”へのフォーカス

私たちは、結果に縛られて、本来の能力を制限されてしまっています。ヨガの練習の時間に、それを観察すると、自分の心の働きについて理解しやすくなります。まずはヨガの時間から練習して、日常に活かせるといいですね。

失敗を恐れるとパフォーマンスが下がる

新しい行動をするとき、多くの人は失敗を恐れてためらいを感じます。例えば、初めてシルシアーサナ(頭倒立)に挑戦するときに、「私にはできるわけない」「怖い」「失敗して怪我をしたらどうしよう」という気持ちがあると、筋肉が緊張して、余計にポーズが難しくなってしまいます。

腰が引けてしまうことで、ますますポーズができなくなり、筋肉がこわばっていることで怪我もしやすいです。

ポジティブに自分を信じればいいわけでもない

では、「自分には出来る!」とポジティブにチャレンジすればいいのか?というと、それも危険が伴います。ポーズができるようになりたいと、結果に執着をして無理をすれば、怪我を招く可能性が高くなります。

ポーズの完成が目的になると、結果によってしか自分を評価できない狭い心にもなってしまいますね。

結果よりも「今・この瞬間」に集中する

では、どうすればいいのか?先生に促されたら、ガイドに従って、自分の身体の声を聞きながらできることを挑戦するだけです。怖くて筋肉が強張っていたら、正直に先生に伝えればいいです。

身体のコントロールができないと思ったら、危険な挑戦はしなうようにしましょう。まだ準備が整っていないのかもしれません。どこまで挑戦できるのかは、自分の身体が一番答えを知っています。

自分の感覚や呼吸の声を聞けば、その時に自分に必要なチャレンジが内側から感じられるようになります。そのためには、アーサナの練習中に、この瞬間の感覚に意識を向けることが最も大切です。

人生を選択する自由に気が付く

人生を選択する自由に気が付く
人生を選択する自由に気が付く

結果に囚われなくなると、自分に与えられた本当の自由に気が付くことができます。

たまたま得たものに満足し、相対的なものを超え、妬みを離れ、成功と不成功を平等(同一)に見る人は、行為をしても束縛されない。(『バガヴァッド・ギーター』4章22節)

一生懸命に取り組んだことは、結果がどうであっても、すでに素晴らしいとクリシュナは教えてくれます。結果は思うようにコントロールできません。「たまたま得たもの」は、想像以上に良いものの場合もあれば、期待した形で現れない場合もあるし、忘れたころに効果があるものもあります。

だから、自分でコントロールできない結果に束縛されるのは終わりにしましょう。

結果への執着がなくなった時、私たちの心は完全に自由になります。私たちが、今この瞬間なにをするのかは私たちに与えられた自由です。

例えば、朝ヨガをしたいから、仕事の付き合いを断って帰宅して早く寝ることも自由です。一時的に「交友関係を失う」という一見ネガティブな結果が現れるかもしれません。

しかし、今まで楽しいと思っていた飲み仲間が減った代わりに、朝から充実した時間を過ごす、別の価値観の交友関係が築ける可能性も増えますね。

自分の行動の結果には、必ず失うものと得られるものがあります。しかし、どちらの結果が現れても受け入れる覚悟ができれば、今日からの自分は確実に変えることができます。

ヨーガの修業によって除去すべきものは未来への苦である。(『ヨガ・スートラ』2章16節)

精一杯に生きているから後悔はない、と思える生き方ができれば、未来はまったく怖くありません。苦しみの原因は自分の中の執着心であると知れば、未来を恐れずに今を生きることができます。

まずはヨガの練習の時間から。自分がアーサナの完成に束縛されていないかと観察して、自分自身の心の癖を知りましょう。自分の心の傾向を知るためには、ヨガの練習が最適です。

ヨガジェネレーション講座情報

ヨガ哲学経典を4時間で腑に落とす!